「わが山河」は、作者の故郷か。故郷は、幾つになっても
いい。優しい母、頼もしい母、母の膝は恐ろしいものからの
避難場所であった。山も川もあり樹木におおわれていて、水
は冷たく、吹き抜ける風は涼しい。故郷では当然のようにト
マトを栽培している。我が国では、最初は鑑賞用として植え
られ、食用として一般に普及したのは大正末期以後とか。新
鮮なトマトを切るといつまでも匂が手に残っている。「山河」
によって家のたたずまい、そこに住む人達までが写し出され
て来るようである。この句は、生活の一場面を詠んでいるよ
うでいながら、山河の永遠性を詠んでいるのだ。(及川源作)
いい。優しい母、頼もしい母、母の膝は恐ろしいものからの
避難場所であった。山も川もあり樹木におおわれていて、水
は冷たく、吹き抜ける風は涼しい。故郷では当然のようにト
マトを栽培している。我が国では、最初は鑑賞用として植え
られ、食用として一般に普及したのは大正末期以後とか。新
鮮なトマトを切るといつまでも匂が手に残っている。「山河」
によって家のたたずまい、そこに住む人達までが写し出され
て来るようである。この句は、生活の一場面を詠んでいるよ
うでいながら、山河の永遠性を詠んでいるのだ。(及川源作)