「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

赤のまま遠目差のモアイ像 今野紀美子 「滝」11月号<滝集>

2014-12-03 04:43:17 | 日記
 チリから贈られたモアイ像を思った。南三陸町はチリ地震
の津波でも甚大な被害を受けており、津波災害三十周年の折、
同じ被災国であるチリとの友好のシンボルとしてモアイ像を
輸入し、志津川湾に面した公園に設置されていたが、東日本
大震災の津波で損壊した。今は、霊力があるとされるイース
ター島の石を使った新たなモアイ像が「これまでの援助の恩
返し」の言葉と共にチリから寄贈されている。何処にでも咲
いて、懐しい記憶と結びつき、ほっとするような風情のある
赤のままが据えられて、「遠目差」という言葉は、新しいモ
アイ像までの年月を辿る時間として選ばれ、遠目にも分かる
モアイ像の以前の像との違いでもあり、大津波によって変わ
ってしまった景観でもあるのだろう。「異変」からの「移変」
を語るかに「差」の文字は、作者の心境を写しているかのよ
うだ。(H)