「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

啓蟄や瓦礫より日の立ちのぼる 鈴木三山

2020-04-22 03:49:31 | 日記
 この瓦礫は昨年の台風19号が齎した物だろう。「日の立ちのぼる」と、瓦礫は山を成しているかに詠まれている。啓蟄だ、そろそろ農事に取り掛からなくてはならない。そう思いながら、視野には瓦礫。田圃も春耕をするには異物の撤去から始めなければならないのかもしれない。どうぞ、年齢に合わせ、体に合わせながら、ゆっくり頑張ってください。
「蛇籠編む鉄筋工の力瘤 成田清治」
にも、
「重機音鋤き込む空や春田打 鈴木清子」
にも、まだ復旧途中であることが思われる。(博子)

薬局にマスク姿の雛かな 佐藤憲一

2020-04-20 03:59:17 | 日記
2月に詠まれた句。薬局の花粉症用のマスクのアンバサダーとしての雛人形が詠まれて楽しい。しかし、同じころ、横浜港に到着たクルーズ船の乗客から新型コロナウイルス検査の陽性が確認されて以来感染が増え続け、とうとう4月17日、全国に「緊急事態宣言」が出された。不要不急の外出の自粛や、店舗や施設の使用制限など感染拡大防止のための決断が発表された。世界中が未曾有の感染症と戦っている今である。感染予防のマスク不足は深刻で、薬局には「マスクの入荷はありません」と、貼りだされている。早く、掲句を花粉症は大変だけれど、フフっと笑顔で読める日が来るようにと願うばかりだ。(博子)

※家電ルートからマスクの注文を受けるFAX来た。お客様の家で設置作業を行うことが多いからだ。入荷は5月下旬で、枚数制限がある。その頃には各薬局の棚にも並ぶのではないかと電話で訊いたら、そうなるのは8月くらいだろうとのことだった。
マスク生産だけなく、医療に従事されている方をはじめ、新型コロナウイルスの感染に怯えながらも命がけで働き続けて下さっている方々に心より感謝申し上げます。そして、闘病されている皆さまの一日も早い回復をお祈り申し上げます。(博子)



鳥帰る十メートルの嵩上げ地 小林邦子

2020-04-18 04:41:04 | 日記
 もう震災津波の被害に遭わないように嵩上げされた沿岸部を渡り鳥が帰って行く。もう震災から九年。年ごとに復興工事で変わっていく地を雁や鴨の目にはどう映っていたのだろ。嵩上げ地には住宅が建っているのだろうけれど、私は、十歳の時新築して以前の場所からそう遠くない今の住まいに引っ越しただけでも凄く嫌だったことを思い出す。そして、今も生まれた商店街が好きである。小父さんや小母ちゃんに「ひろこちゃん」って呼ばれるのが好きである。時間を戻すことは出来ないけれど、あの震災がなければ、と思わないではいられない。(博子)

春泥や子童どもが夢の跡 山本峰子

2020-04-16 12:44:24 | 日記
「夏草や兵どもが夢の跡 松尾芭蕉」の本歌取りというより、ちょっぴり風刺が見えるからパロディーの句。芭蕉の句は、「今、夏草が深くおい茂るここは、むかし、武士たちがいさましくも、はかない栄光を夢見た戦場のあとである」である。そんな読みに当てはめれば「今、春泥となっているここは、むかし子童(こわっぱ)たちが、泥まみれになることなどもろともせず遊んでいた場所である」くらいの意味になるのだろう。私の子も男の子二人だったので、「それは、それはわんぱくで・・・」と言いたいところだが放っておくと二人とも本ばかり読んでいるので、近くの小学校に連れ出して遊んでやらなければならなかった(当時は校庭が解放されていた)。たくさん洋服を汚したら褒めるようにしていたことが懐かしく思われた。(博子)