「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

扇風機昭和の風に浸りけり 佐々木經義 「滝」10月号<滝集>

2011-10-31 21:02:25 | 日記
 近年あまり使われなくなっていた扇風機だが、原発事故の
ための電力不足で国をあげて節電に取り組んだ。おかげで扇
風機の需要に入荷が追い付かず、当店も入手に苦労した。リ
モコン付きの扇風機が人気である。羽根のない扇風機や電動
工具のバッテリーが電源の物もある。掲句の扇風機は、かつ
て使っていた物を出してきたのですね。「昭和の風」に浸っ
て子供の頃の夏を思い出しているのでしょうね。(H)

藻塩焼く竈の煙蛍草 阿部花代 「滝」10月号<滝集>

2011-10-30 08:09:12 | 日記
 塩竈在住の作者の藻塩の句。その竈の煙への感慨は察する
に余りある。震災の津波で浸水し、66日ぶりに設備が整い再
開された。復興にかけるメッセージを塩の結晶型エコバルー
ンに結び一斉にリリースするイベントも行われている。蛍草
の青が藻塩の白に映えて美しい。(H)

短冊のハングル文字や星祭 高橋千代美 「滝」10月号<滝集>

2011-10-29 19:34:32 | 日記
 各方面からの尽力もあって今年も仙台七夕祭が開催された。
七夕飾りを潜る人、氷菓を求める子供たちで大通りは賑わっ
ていた。日本、世界各国からの応援メッセージが数多く見ら
れた。その中に力強い書体のハングル文字があった。短冊に
は「がんばろう東北‼」と書いてあったに違いない。(鈴木幸子)

鬼やんまぴしぴし曲る水の上 村上幸次 「滝」10月号<滝集>

2011-10-27 20:37:37 | 日記
 先日久し振りに鬼やんまに出逢った。実に数年振りのこと
だ。黒ひかりのする勇姿、体長十センチもあろうか、悠然と
飛ぶ鬼やんまに暫し見惚れた。あの太い尾尻の発する音は、
たしかに「ぴしぴし」だ。旋回をくり返して暮れ初む大空へ
消えて行った。(鈴木幸子)