「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

深爪の疼き十五夜待ちにけり 小林邦子 「滝」11月号<滝集>

2014-12-02 04:41:00 | 日記
 七音節の途中に軽い切れあり、三つある濁音でリズムを繋
ぎ、最後できっぱりと切れている。心がキュツとなるような
切なさを感じる。「深爪の疼き」という無意識が招いた不用
意と、「待つ」という時間の干渉が、屈折した印象として残
るからだろう。上弦から夜ごとにふっくらとふくらんでいく
十五夜を待つ数日。指先の脈打つような痛みは、心臓から心
へと連想がなり、恋病みの作者かも知れない・・・。(H)