柿の秋城下の辻の丸ポスト 江戸裕子 「滝」1月号<滝集> 2012-01-31 06:54:30 | 日記 色彩の豊かな句。見事に実をつけた柿。城下町の白い壁が 続く辻に丸くて赤いポスト。その上に秋澄みの空が高く高く ある。欲張りとも思える程を十七音にきっちり収めた旅の一 景。(H)
水鳥の吹寄せられて花のごと 堀籠益子 「滝」1月号<滝集> 2012-01-30 06:57:21 | 日記 水面に漂う水鳥が風に吹寄せられて花のようだという。そ の色彩ではなく、花筏のようだと感じたのかと思う。「水 鳥を吹きあつめたり山おろし 与謝蕪村」が思い出され、時 々羽根を逆立てるような強い風を感じますね(H)
藁塚の連なる空の広さかな 浅野 稜 「滝」1月号<滝集> 2012-01-29 18:00:47 | 日記 コンバインが稲を刈りながら、藁は短く裁断して田んぼに バラバラ落としていく、そんな稲刈りが主流になり、私の住 まいの近くでは藁塚を見ることはなくなったが、幼い記憶の 中の藁塚が蘇ってくる。連なる藁塚、何処までも広い空。カ メラを向けたくなるような光景です。(H)
生きてるの穴惑ひなの死んでるの 松ノ井洋子 「滝」1月号<滝集> 2012-01-28 06:39:21 | 日記 作者は遠目に大の苦手の蛇を見ているのですね。というよ り蛇らしき物に総毛立っているように思えます。もう少し近 づけば疑問は解決するはずなのに恐いのです。棒切れかも知 れないし、トラックから落ちたロープかもしれません。でも 気持ちは良く分かります。私は蝶が大嫌いで、紙きれがヒラ リと舞っただけでゾッとします。ちょっと待っていて、爬虫 類も両生類も大好きだから見てきてあげます。(H)
野仏のついてきさうな秋の暮 中鉢益男 「滝」1月号<滝集> 2012-01-27 06:56:12 | 日記 秋の寂しさを象徴する季語が「野仏のついてきそう」と良 く合っている句だとおもった。そんな感覚が何となく分かる。 野仏の人恋しさに通じるものが作者の中にもあったのかもし れない。一歩一歩に暗さが増していく逢魔時。(H)