「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

鬼太鼓のよつぴて響く花野かな 中川浩子 「滝」11月号<滝集>

2014-12-04 03:43:25 | 日記
 佐渡の鬼太鼓と思ったが、鬼太鼓は悪魔を払い、商売繁盛、
五穀豊穣を祈って神社の祭礼に奉納されるもの。「祈る」の
だから、収穫を感謝する秋祭りではない。しかし、淒まじい
形相をした鬼が裏太鼓に合わせて身を震わせ、髪を振り乱し
必死に太鼓を打つ姿がふと雷様に繋がった。いや作者はその
前に悪さをする存在として鬼のイメージがあったのかもしれ
ない。雷鳴と共におびただしく降る雨が、草花の咲き乱れる
美しい花野の明日を思わせ、華やかさの中に秋の哀れを感じ
させられる句である。(H)