傾きし地球の軸や林檎落つ 中井由美子 2017-01-30 06:42:40 | 日記 地球を意識する。そんな天変地異が多くなってきている。「林檎落つ」に思う万有引力。惑星も、恒星も、星を構成する物質は互いの重力によって集まっていて、重力がなくなると、自らの遠心力も手伝って粉々になってしまうのだそうだ。 漠然と、思いが湧いたり消えたりする秋愁の感じを受けました。(博子)
エレベーター四隅人寄る寒さかな 冨澤栄子 2017-01-29 05:38:32 | 日記 エレベーターという密室。四隅に人。真ん中に立って、出がけに見た物騒なニュースでも頭を過ったのか、あらぬことを考える。心理的に感じる寒さとして使われた季語に実感があって魅かれる。(博子)
爆笑のうづまく芝居神の留守 鈴木清子 2017-01-28 04:34:34 | 日記 お腹を抱えて、涙を流して笑うようなお芝居だったのでしょうか。「うづまく」が会場の一体感を伝えて、神様が留守である不安を払拭するような句。物語めいた季語だからこそ、その雰囲気とよく調和しているように思える。(博子)
月の浦南蛮井戸に草じらみ 今野紀美子 2017-01-27 05:01:57 | 日記 慶長使節の史跡として唯一残っているのが月の浦の南蛮小屋(跡)と南蛮井戸。この井戸は、サン・ファン・バウティスタ号に関係した南蛮人(外国人)が主に使用したもので、船にも飲料用として積み込んだそうです。背景として置かれた「草じらみ」が佇まいを伝えて来ます。(博子)
売り家の垣根に残る百舌の贄 後藤外記 2017-01-26 03:57:21 | 日記 鵙ではなく百舌の字を当てた事に、よく話していた人の御宅かと想像。そして、鵙が後で食べようと思って忘れた贄。「忘れる」ということに重きがありケアハウスへの転居が思われた。(博子)