マネキンの外されし腕白雨過ぐ 浅野 広 (8月号滝集) 2010-08-31 19:02:22 | 日記 新商品の衣裳を着せる為、マネキン人形の腕が外された。 折りしも白雨が街中を洗い流したようサーッと降り去った。 マネキンの白い胴体、白い腕と白雨の白の表現がすがすがし い。「白雨過ぐ」の断定が気持よい。(K)
樟若葉鴉くはへる紙コップ 山田通子 (8月号滝集) 2010-08-31 19:01:23 | 日記 住宅界隈で一番身近に目にする鴉は又一番の嫌われ鳥。し かし頭脳は良く人の顔を認識するとのこと。揚句の鴉は樹下 で紙コップをあさっている鴉の面構えまでが浮かぶ。若葉の 下でのコップの白と鴉の黒の取合せが新鮮。確かな写生句。(K)
咲き誇る泰山木の香をしらず 三浦しん (8月号滝集) 2010-08-31 19:00:56 | 日記 このように詠まれてみると確かにそうである。泰山木の木 は高く見上げて見る花で、まじかに見ることはなかなかでき ない。香も樹下までは届かない。遠い存在の花。「香をしら ず」とはっきりいい切った。素直な表現がよい。(K)
蟇きらめく星と交歓す 小幡浩子 (8月号滝集) 2010-08-31 19:00:32 | 日記 姿がみにくく人間に害を与えることがなく、動作が緩慢で 人を恐れない。どことなく滑稽なさまの蟇。読み手にさまざ まのことを想像させ物語が生じる蟇であることに奇妙な味わ いがある。遠近の手法、夢のあるスケールの大きな句。存在 感がある。(K)
頼ること忘じ薄暑の畑仕事 渡辺民子 (8月号滝集) 2010-08-31 19:00:07 | 日記 頼りたいけれども何香の事情で頼ることができなかった。 一人での農作業「頼ること忘じ」は決して忘れ去ってはいな いのだ。が今では一人が当たり前という境地で明るい前向き の姿勢となっている。「薄暑」の本意が生きた句。(K)