潮焼の畳と年を迎えけり 鴨 睦子 「滝」2月号<滝集> 2014-02-28 04:12:59 | 日記 海の近くにお住まいがあるのですね。潮風と日光にさらさ れた畳は、毎日窓を開け掃除をしてきた暮らしを語っている のでしょう。今年も元気に迎えられた新年が誇らし気な「け り」と思いました。壮健で、俳句を詠むのに存分な時間があ って、幸せそうな作者ですね。(H)
独白に了はるシナリオ枯尾花 平川みどり 「滝」2月号<滝集> 2014-02-27 04:09:17 | 日記 独白は劇中の長々とした独り言のようなもので、古典劇で 多く使われてきましたが、私に聞こえて来たのは「北の国か ら」の純の声でした。ラストのあたりで蛍と息子の快が正吉 の住むところへ旅立つ際に、泣きながら電車を追いかける五 郎を見て、純が「父さん、あなたはすてきです(省略)」と、 語る独白です。秋の間、月とともに愛でられ、また風にしな やかになびき、夕日に輝いていた芒も、枯尾花となれば人生 の哀歓に良く合うように思いました。(H)
独白に了はるシナリオ枯尾花 平川みどり 「滝」2月号<滝集> 2014-02-26 03:20:51 | 日記 心に思っていることを相手には知られないように、独り言 で呟く、「ハムレット」のドラマを想像させる。 この句を詠んで以前観た芝居が甦ってきた。井上ひさし作 「化粧」と言うひとり芝居。女座長の半生と心の内を、楽屋 で化粧しながら、自問自答し独り吐露する、その楽屋がその まま舞台なのだ。鏡に向かって真剣に役作りの化粧をして行 くが鏡はないのである。観客の目が鏡なのだ。 観客に向かって自らの人生観を淡々と演じる女優「渡辺美 佐子」の演技は見事であった。枯尾花の銀の穂波が冬日に輝 き美しく壮観である。美佐子を輝かせていた。(今野紀美子)
椪柑の弾む言葉を買ひにけり 庄子紀子 「滝」2月号<滝集> 2014-02-25 02:08:41 | 日記 要するに椪柑を買ったのですが発見の句。たくさんの柑橘 類が一緒に見えてきます。蜜柑・オレンジ・伊予柑・グレー プフルーツ・文旦・八朔etc。店頭には旬がいつなのか分 からなくなるほど沢山の種類が並んでいます。椪柑はたぶん カタカナでポンカンと書かれていて、そのポンカンポンカン ポンカンという語感が面白かったのでしょうね。「弾む言葉」 という俳句的な表現に一本取られた感じです。スキップに良 く合うリズムですよ。なんだか楽しくなってきますね。(H)
椪柑の弾む言葉を買ひにけり 庄子 紀子 「滝」2月号<滝集> 2014-02-24 04:19:38 | 日記 インド原産の柑橘の一種、果頂部が突き出ているので凸柑 とも言われる。台湾などが主産地で、我国は鹿児島、高知、 愛媛などで栽培され甘く、香りが良い果物。 「ぽんかん」と言う響きのよい破裂音を「弾む言葉」と表 現し明るさを感じられた作者。そのネーミングに甘さや香り を感じ思わず手に取られたのでしょうね。「弾む言葉を」買っ たという、意表を突いた句。(今野紀美子)