行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

仏界入りやすく 魔界入り難し

2010年11月12日 | 禅の心
普通に考えれば、仏の住む清浄な仏界には行きにくく、道徳もなく怒りと愚痴と欲望であふれ返っている魔界の方が行きやすそうです。
しかし、魔界入り難しというのです。この言葉にはいろいろな解釈ができると思うのですが、人間の心の乱れた世界で、それに染まらず、しかも心の乱れた人々を正しく導いて行くことは簡単ではないということです。逆に、みな正しい行いをして心の清らかな人ばかりいるところに行って暮らすのは容易です。
現在、若い人の人口は減少しているのに、大学の数は増えていき、ほぼ大学全入の時代になったと言われています。私もいろいろな大学の様子を見に行かせていただく機会が多いのですが、学生さんたちが真面目に学問に取り組んでおられるところもあれば、逆に荒れ果てた大学もあります。講義中だというのにやかましく騒いでいたり、教官を取り囲んで暴言を吐いている学生もいます。
まさに前者は仏界で後者は魔界です。大学に限らず、小学校から高校までもそうでしょう。荒れた教育現場で若者を正しく導いて行くには教師としての相当な力量がいるのです。教育現場だけでなく、大人の社会にしてもそうです。しかし、学校の先生や僧職者は、魔界に入っていって人々を正しく導いていくことも大切なのです。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

楽に生きている人の共通点

2010年11月09日 | 禅の心
現代は世の中が複雑になり、ストレス社会と呼ばれています。
どこにでも、引きこもりの若者がいたり、学校や会社に行くことができない人がいるものです。場合によっては自ら命を断つ人も年間3万人程度はいます。
 そんな世の中にいて、多少のストレスを感じながらも、明るく平然と生きている人もいます。そのような人には、ある共通点があります。若い頃は苦労していて、悩み通してきて、ぱっとあかるい光が見えてきたのです。
「世の中思い通りにいかない」という簡単なことが実感できたのです。だからこそ、何かに執着することが、意味のない事のように思えるのです。たとえば、地位、名誉、場合によってはプライドさえも。執着することが苦しみの元になるのです。
 ただ、悲しいことに人間は何かに執着しなければ生きていけない生き物です。が、ある程度年をとってくればどうにもならないことはどうにもならないと見極めることも必要になってくるでしょう。どうにもならないことは、神仏にお任せする。それが宗教心というものです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛とは残酷なもの

2010年11月05日 | 禅の心
法句経というお経に、
愛より憂いが生じ、愛より怖れが生ず。
愛を離れたる人に憂いなし、なんぞ怖れあらんや。

字づら通りとられると困るのですが、釈尊は、とりあえず愛は欲望であり、煩悩であると考えています。愛というものは残酷なものです。相手を自分の思い通りにしようとする側面があるからです。だから、愛と憎しみは同じものの裏表の関係なのです。
記憶に新しい耳かき店の事件のようなストーカーはその極致なのでしょう。
しかし、そうは言っても、釈尊は愛を捨てよと言っているわけではありません。愛にとらわれるなと言っているのです。
現代社会でおこっている様々な不幸な出来事は愛にとらわれていることによるものが多いです。
ストーカーだけでなく、家族をはじめとする様々な人間関係のもつれは、みんな愛にとらわれていることによります。友達であっても、自分の思うようにしようとすれば、関係がうまくいかなくなります。
人間関係とは、ちょっと自分自身を客観的にみて頭を冷やしてみるとうまくいくものかもしれません。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

禅天魔

2010年11月02日 | 禅の心
山に登っても降りてこなければ、大変です。
高い境地に達しても、庶民として生き、庶民の中にあって仏法を実践していかなければなりません。
 「俺は悟ったんだ。みんなとは違うんだ。」という高慢な態度を禅では戒めています。
禅者はプライドを捨てなければ本物とは言えません。高い境地に達しているからこそ、謙虚にならねばなりません。
 このことは、社会一般においても言えることで、社会的地位が上がるにつれて威張るのは、徳のない人です。高く上がっていっても、若い頃のことを思い出し、初心にかえって謙虚に生きていくことが大切です。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする