大相撲夏場所優勝は小結大の里が獲得した。
千秋楽の相手は関脇阿炎、立ち合いを心配したが、阿炎のツッパリを受け止めた大の里はすぐに右下手を押し込むと阿炎を難なく押し出した。12勝3敗。NHKニュースによると、「23歳の新小結・大の里が12勝3敗の成績で初優勝を果たしました。初土俵から7場所目での初優勝は幕下付け出しの力士としては最も早い記録となります」 勝った大の里は、土俵下に降りてしばし冷静にしていたが、暫くすると涙が止まらないのか、両目を盛んにタオルでぬぐっていた。観客席で大の里の相撲を見ていた大の里の父親も涙が止まらずだった。新入幕以来、3場所連続11勝以上で、来場所の優勝や勝ち数によっては特例の大関昇進の声があるかもという報道もある。
「NHK」
兎にも角にも強い。大相撲界に大の里と言う若手のスターが現れた!
前にも書いたが、今場所のように横綱、大関陣が負け続けると、大相撲は引き締まりが無くなり陳腐化しているようにも感じられ、個人的に抱いてきた大相撲のアイデンティティと言うものが希薄化していると感じていたので、横綱稀勢の里が引退し、日本人横綱が居なくなって寂しくなった大相撲だが、その救世主としての大の里にかける期待は、限りなく大きいと思う。かっての強い時の稀勢の里がそうであったように、花道から登場すると、場内の雰囲気が一変するのがテレビを介して感じられるのは、おそらく、現在の相撲取りの中では大の里以外には思いつかない。物怖じしない気の強さと、鋭い眼光、強い力士をものともしない飄々とした仕草に、ピーンとした緊張の空気が漂ったあと、歓声が場内に響きわたる。そんな大の里になって欲しいと、大相撲ファンの一人として思う。大の里は、我々相撲ファンが期待する本当の相撲取りたる風格を生まれながらにして備えている希有な人材だと思う。「気は優しくて力持ち、真面目で努力家、潔い」-金太郎のような「お相撲さん」になって欲しい。