大相撲名古屋場所も序盤が済んだ。
場所が始まる前の新聞等の報道では、一番に大の里の大関昇進なるかと、それを阻止すべき現大関陣の踏ん張りはどうかとの記事が多かったが、横綱照ノ富士の動向は少なくどちらかと言えば出場に否定的な論調もあった。今日(18日)は五日目、これまでの自分なりに感じた序盤戦の印象が千秋楽にどのように繋がるか、記録してみた。
本場所が始まって5日経過したが、現状の印象では、横綱照ノ富士は往年の力相撲が復活し、これが数場所休場した横綱かと言わんばかりの圧倒的強さで連勝中だ。例えば、初日の相撲、これが横綱だと言わんばかりに平戸海に圧倒的な力の差で勝ち、そして四日目の御嶽海との相撲では、照ノ富士は立ち合いのあと、すかさず左の上手をつかんで、そのまま前に出て、最後は得意の右四つになって寄り切って勝った。初日から5連勝だ。五日目を終えて、勝ちっぱなしは照ノ富士ただ1人。
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一方、大関昇進を期待されて場所入りした大の里相撲はと言うと、これが大関を目指す力士かと言わんばかりの弱さが露見し、5日終了時点で2勝3敗で、しかもその相撲たるや無残な負け方ばかし。先場所連勝街道だった大の里の弱点を、相手力士も研究しているのだろうか、大の里の強さの的である、右を殺す作戦等を駆使している。相撲内容も弱さが目立ち、この相撲では大関昇進ははるか向こうに行き、今場所勝ち越しさえも怪しくなった。そんな相撲を大の里はとっている。相撲の評論家も「大の里は相手を軽くみている、原点に戻ることが必要」という声も目立ってきた。たとえば、初日、初顔合わせの御嶽海との立ち合い、御嶽海は丸い体を更に丸めて大の里の右を封じ、慌てた大の里は何もできないまま一気に押し出された。二日目の若元春との相撲もそうだ。立合いは若元春を一気に土俵際まで追い込んだが押し切らず、左を許して押し倒された。その後も大の里の相撲はそんな感じだ。で、四日目も平戸海にも立ち合いで不意を突かれバタンと手を突く。五日目は立会を焦らず見て立ち大関復帰を狙う霧島を押し出して勝ったが、相手力士も大の里戦略を考えてきているので、勝ち越すのも大変だと思う。
そして、名古屋場所の初日の相撲は荒れに荒れて始まった。
3大関がそろって初日に負けたのだ。大関琴桜は大栄翔の厳しい攻めに押し出され、大関豊昇龍は熱海富士の圧力に屈し、9度目のカド番大関貴景勝は明生に簡単に押し出された。特に貴景勝の相撲は苦しい。古傷の首の故障で強く当たれない、押している様に見えるが多分手だけが動いて体が前に動いていないから力が伝わらず、土俵際に押し込んでも俵に掛かると逆に押し返されて負ける。勝手の強い貴景勝は既になく、仮に落ちたとしても、その地位を維持するのも難しそうにさえ見える。玉ノ井親方も「視点」でこう指摘している。