14日午後6時からの首相記者会見で、39県の緊急事態宣言が解除された。
残り、関西では大阪、京都、兵庫は解除されず、21日に再見直しとあった。報道では「4月7日に7都府県に宣言を発令し、16日に全国に拡大して以降、解除は初めて。重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」のうち茨城、愛知、岐阜、福岡、石川の5県と、特定警戒以外の34県を解除した」とある。今回、政府は初めて具体的な数値的解除基準を設定し、「直近1週間の10万人当たりの感染者数が0.5人以下」とした。この水準なら、地域でクラスター感染を追跡することで二次感染の拡大を防げるという。しかし、解除されて県には0.5人を超えている所や兵庫県のように0.5人以下になっても解除されない県もあり、東京、大阪の同経済地域として考慮されたようだ。10万人あたり0.5人の根拠は「拡大前の水準」と説明があった。しかし、ドイツは10万人あたり50人未満でロックダウンを解除しているので、日本の解除条件が、その1/100とするのは相当厳しい条件のように思う。
大坂の吉村府知事も14日の夜、記者会見し、”大阪モデル達成”したので 16日から休業要請を大幅解除するとあった。兵庫県も大阪に準拠するとあるので、関西は16日から次第に明るさが戻ることになる。
14日の記者会見で、面白い見解を尾身会長が解説していた。
それは、日本は欧米に比べてコロナの感染者や死者が少ない理由はとの記者質問に、BCG説を否定し、こう答えている。「欧米と比べて日本では重症者や死亡者が急激に増加していない理由について、
医療体制や初期段階でのクラスター対策、国民の健康意識の高さを挙げた」それであれば、欧米、特にコロナ感染者、死者ともにダントツに多い米国のトランプ大統領に、「日本人の健康意識の高さを見習え」と説教したらよいではないかと笑ってしまった。
素人なりに色々なデータを見ながら、大阪・京都・兵庫も緊急事態宣言解除の方向になると勝手に思っていた。と言うのは、過日、安倍首相が、「わが国は、諸外国のような爆発的な感染拡大には至っておらず、全国の『Rt実再生産数』も1を下回るなど一定の成果があらわれ始めているものの、現時点では、いまだかなりの数の新規感染者数があり、感染者の減少も十分なレベルとはいえない。」と述べたとあったので、欧米の解除条件がRt<1であった事もあり、政府が初めて出したコロナ感染の具体的な数字Rtを解除基準だと考えていた。感染者の実効再生産数(感染性の指標, Rt)の変化を示しているブログ「
Rt Covid-19 Japan」から、大阪・京都・兵庫の実再生産数をしらべるとこうだ。(本ブログによると、Rt値は、1人の感染者が何人に感染させるかを表しており、1.0以上だと感染拡大へ、1.0未満だと収束へと向かう:値は推定値)
この表によるとその再生産数値は4月15日前後を期に、Rt<1以下に推移しており、収束の方向となっている。5月14日以降、感染者が増加しないとは言えないが、収束の方向にあるのは事実で、「今なお感染者が増加している」とは少し違うように見える。
一方、緊急事態宣言そのものの効果、つまり8割削減の少ないとする意見も多くあった。
例えば、「
新型コロナは沈静化しつつある!?」は読んでみると中々面白い。このブログに「下の日本全体のグラフ(日付は感染日ベース)を見てください。青の曲線がRt(実効再生産数)となります。青の点線は値が1のラインを示しているので、実際の値がこの点線の下になるようにコントロールできればいいことになります。この数字が大幅に下がったのは、A:1月末の数日、B:2月下旬から3月上旬にかけて、そして C:3月末から現在までの3回です。では、これらの時期に人との接触が何割も減ったのでしょうか? 志村けんさんが亡くなったのは3月29日で、小池都知事が都民に自粛をお願いしたのは3月25日です。ですから、この数値が3月末から大きく下げたのは当然のことで、不思議でもなんでもありません。ただし、東京都のデータでは、この時期には数値の低下の根拠になるほど自粛している様子(8割減)は見られないようです」として、「Rt(実効再生産数)が増大した時期には、①2月の第一波は中国(武漢)からの帰国者、②3月のより強力な第二波はヨーロッパからの帰国者であることは、ウイルスの種類の調査により明らかです」と「これらの結果から判断できるのは、もともと新型コロナのRtは1より小さく、何もしなくとも感染は終息するということです」と結んでいる。実際、ドイツがロックダウンを解除する根拠の一つはRt(実効再生産数)=1以下になったことだが、日本の緊急事態宣言が発令された4月7日にはすでにRtは1以下に収まっていた。だから、緊急事態宣言の意味はあまりなく、この時期は収束傾向にあった。
政府が緊急事態宣言解除の先例に参考にしているとされる欧米の解除条件、特にドイツはどうしているは参考に調べてみた。
「ドイツのメルケル首相が6日、新型コロナウイルス感染拡大阻止のための制限措置を大幅に緩和し、全店舗の再開を許可すると発表した。時事通信などが報じた。サッカーも無観客での再開が許可される。ドイツでは3月中旬から事実上のロックダウンを開始したが、欧州主要国の中ではいち早く、社会・経済活動の正常化に向けて大きく舵を切ることになった」とある中で、ドイツの死者数は7633人、日本は696人(13日)で日本の約11倍超でピークより半減するも、日本と比べると、かなり高い水準だ。そのロックダウン解除の背景には、経済への深刻な影響があるとみられるとして、ドイツの観光業界は3社に2社が倒産の危機に直面し、マイナス成長や失業者の増加が予測されているとある。ちなみに、下記は札幌医科大学の資料だが、ドイツ(緑色)の100万人あたりの死者数(過去7日間の増加)はピークの4月5日が467.5人、5月13日が76.5人。日本(紫)の100万人あたりの死者数(同)はピークの4月17日が35.58人、5月13日が5.30人となっている。現実の世間の評価は、
コロナ優等生と言われるメルケル首相、一方
安部総理のコロナ対応は厳しいものがある。
「
札幌医科大学」
もう一つ、
ニュージーランドの女性首相はコロナを撲滅した国として評価が高い。ニュージーランドは人口490万人で、早期に外国人の入国を禁止し、コロナ対策が成功した国だとされており、感染者は1500人、死者21人(3日現在)。同じく兵庫県の人口550万で、感染者は697人、死者37人(13日現在)で、人口密度の高さからすると兵庫県のコロナ感染者や死者数はニュージランド以上に発生するはずと推測するも、結果はニュージーランドとほぼ同等。しかし、ニュージランドの女性首相は国際的に高く評価され、その対応の遅さにネット上では酷評だった兵庫県知事、何がその差として出るんだろうか、ものすごく興味がある。