6月14日、阪神ホールディングの株主総会が開催された。毎年、この総会に関する報道記事を楽しみにしている。
なぜかというと、この総会では、毎年、阪神タイガーズに関する株主の苦情等が提案されるからだ。
昨年など、“物言う株主”から「もう岡田元監督に代えろ!」などという爆弾発言が大きな話題となって、阪神の社長が必死に弁解する場面もあった。
だが、今年の株主総会では、異変が起こったと記事にある。
記事では、「今年の総会は金本監督が進めている”超変革”効果で、一種の異変が生まれている。
例年、タイガース関連の質問は、総会の最後の方か、少し話題が停滞したときに出るものだが、この日は2番目の質問で、タイガースに関する意見が出た」
それは、「タイガースが超変革をされている、素晴らしい。去年、一昨年と、怖いことを言っている株主さんもいたが、今年は若手を使うなど、ようやっている。
ファンは、これを求めていた。ただ、会社もそうだが、借金はよくない」の声。
また、「借金生活は不満視しながらも超変革を支持する。チーム成績が伴わずファンの間では、強引な若手起用への賛否も出始めていたのだが、
株主は、金本監督の”超変革”を支持している」とのことだった。
唯一出た苦情は「フロントに聞きたい。なぜ打撃コーチが片岡なのか。あれが阪神で活躍したことがあるのか? みんな打てないようにしている。
2軍の掛布監督が打てるようにして上へ上げると、みんな(1軍で)打てなくなる。私も82歳で、もう先が長くない。早く日本一になって欲しい」と。
要は、「負けが込むときもあるが、ようやっていることが目に見える。我々は阪神ファンはこれを求めていた」に集約でき、
現在までのところ、負けが込んでいても”超変革”を掲げる金本野球を支持しているとの結論。
昨年は「2,3位に低迷している監督は変えろ」との声もあったが、今年の負けが込んでも”金本野球”を支持するというもの。
一時的な負けが込んでも、金本監督が信念をもって指揮にあたっている、これが阪神ファンの心をくすぐっている。
確かに、今年の阪神は出だしは良かったが、6月の時点では打てない阪神になっている。この責任は金本監督にはなく、片岡コーチの指導が悪いということ。
株主総会は企業が株主に対し業績や経営内容を報告する場であるが、日本ではまともな議論が行われることは殆どなく、無風で無事こそ良しとする風潮もある。
そんなかで、阪神タイガースの話題は、会社経営の痛いところを衝かれることもないので、格好の息抜きの場、取るに足らない「時間つぶし」と言う意見もある。
呑み屋だとか仲間内の話題でしかないような次元の低いつまらない意見を株主総会で言うなとの意見もあるが、しかし、そうでないところが阪神の素晴らしい所以。
海外ファンドに見られるような「物言う株主」が増えてきたとは言え、球団トップが低迷中の球団批判に対して頭を下げて釈明し、
それがオフの人事にも影響する構図は他球団では考えられないと言うものだが、しかし、それはそれでいいのでないか。
阪神は人気球団がゆえに、関西のスポーツ新聞特有の記事もあって、ファンが常に球団の身近にいることもあり、批判意見も出やすい。
球団内情の一部始終がメディアに公開され、だれでも意見を述べることもできる。株主総会で議論すべき提案では一般的ではないと言え、
株主は勝てない球団への不満を述べ、それに球団社長が回答する。こんな健康的な球団、いや企業の姿は健全で本当に素晴らしい。
一部の阪神ファンの作法の悪さが度々メディアで取り上げられる。しかし、阪神教と言われる如く阪神を信望して止まないファンもまた多い。
勝っても負けても阪神ファンは、聖地甲子園に押しよせ阪神の試合に酔う。こんな球団は他にない。だから阪神ファンをやめられない。
これこそが阪神ファンが阪神という企業に何か付け愛着を持ちつづられる所以でもある。こんなにファンから親しまれる企業がほかにあるか?
やはり、目先の利益にガツガツするより、将来展望のある明るい企業に株主やファンの目は向かっている。
"阪神タイガーズ Let The Good Times Roll" こんな阪神タイガーズ、好きだな。