29日、FBに面白い動画が投稿されていた。
全日本モトクロス選手権チャンピオン経験者、新井宏彰選手、横山遥希選手、山本鯨選手のオンライン対談。3本構成だが、全日本モトクロス選手権を争う、また争った最高峰ライダー3選手が、全日本モトクロス選手権の現状をオンライン形式で対談している。素直な意見が多く、聞いていて、現状の全日本モトクロス選手権を知る上で大いに参考になった。対談は①~③とある。
#4【対談①】2020年 全日本モトクロスチャンピオンを取った2人の対談!
かっての鈴なりの観客が押し寄せた’80年代、90年代のモトクロス黄金時代に全日本の覇権を争った日本企業4社のワークスチームは、近年、スズキチームが2018年にワークスチーム活動から撤退、連れてレースこそ我が企業のDNAだと長年公言していたホンダも説明もないままあっさりとワークス活動から撤退し、時期を同じくカワサキもワークス活動を中止した。唯一のワークスチーム活動を継続しているのはヤマハだけとなった現状の全日本モトクロス選手権に多いに失望しているモトクロスファンも多いとは思うが、現状、IA1エントリー数20数名と言えど、毎戦、ライブタイミングでレースを拝見しているファンの一人にとって、これはこれで結構面白く楽しいものだ。で、何であれ、全日本の出場している現有選手が、世界とは差が付き過ぎたと思えども、現在の日本を代表する最高のライダーに変わりなく、面白いと思って見てきた。
対談では、モトクロスの日本人選手と海外の一流選手との対比で、モトクロスを戦う環境の違いが技量の違いになっていると語っている場面もあるが、しかし、日本人モトクロス選手が世界の舞台で活躍した事例は、過去、世界選手権で渡辺明選手がチャンピオンになった例もあるので、大昔の日本人モトクロス選手は実力的に世界のトップクラスであったのは事実だが、確かにここ十数年の日本人モトクロス選手の実力は目を覆いたくなるほど惨めなのも事実。毎年開催される「Motocross of Nations」の国別世界順位から言うと予選20位通過もままならず、世界のモトクロスシーンから蚊帳の外に置かれて久しく、日本GPに招聘されてくる外人選手に数秒遅れの日本人は外人選手を見て「すげぇ~」と訳のわからぬ言葉を発するのが精一杯で、欧米の上位ライダーに肉薄することもなく、そして、その結果を単純に受け入れてしまう怖さが日本側に残念ながらあるようにみえていた。
唯一、こうした低迷している全日本のモトクロス界を飛びだし、世界最高のライダーが集まるアメリカを舞台に活躍しているJo Shimoda(下田丈)選手をみると、ごく最近の米国のIRONMAN NATIONAL250㏄クラスでは総合2位を獲得した。超一流が集まる米国で、総合2位を獲得できる実力とはチャンピオンに近い選手である事と意味するから、トップ級が争う環境で戦えれば、ワークスライダーのように日本企業の支援がなくとも自力でトップ争いが出来る支援を獲得できる。そうみれば、技量向上には確かに環境が一番影響する可能性が高いとみるのは正しいひとつの意見かもしれない。
かって、日本企業は日本人選手の技量向上を図るべく色々トライしてきた時代があった。
当時、全日本選手権GP大会に出場する世界のトップライダーを見る度に、日本人と外人ライダーとの技量差は歴然とあり、何とかこの差を詰めたいと考えていた。そのために、日本の契約ライダーをアメリカに長期出張させアメリカンライダーと競争させる試み等を何度もトライしてきた。が、最も効果が認められたのは、外人ライダーを全日本選手権に出場させて、全日本選手権の場で直に競争させることであった。ラップ寸前程の差があった技量差が、これを機にアメリカンライダーとも競合できるレベルに成長したのは事実で、全日本選手権も大いに盛り上がった。これを機に日本人ライダーの技量は確実にUPし、レースも活性化たことは事実だ。その結果を他の日本人選手がどのように受け取ったかと言えば、Eddie Warrenが全日本選手権から引退する最終戦の菅生で、当時のホンダファクトリー東福寺選手が全ライダを代表してEddieに感謝の挨拶をしてくれたことで、カワサキの選択が正解だったことが結果的に証明されている。菅生での出来事は予期せぬ事だっただけに感無量の思いがした。更に加えて言えば、「ダートスポーツ」FB の『砂煙の追憶』には、当時カワサキのワークスライダーで外人ライダーを抑えて何度も肉薄した走りをした、榎本正則選手が含蓄ある発言をしている。それには「彼らにしてみれば全日本で走るのは出稼ぎだったかもしれないが、彼らが思っている以上に結果として多くのものを残してくれたはず。受け継がずに過去のものにするのは、あまりにももったいない。育つものも育たない」と。あれから17年、当時EddieやJeffと共に全日本を戦ったライダーからカワサキの真の意図を改めて聞かされるとは思いもしなかったが、ライダー側からみてもカワサキの決断は正しかったと言うことだろう。
一方、それも日本人ライダーを主体に構成するようになると、次第に元の木阿弥になって、コップ内の争いに終始し世界から大きく引き離される結果となっていく。ルールに則った競争世界で、国粋主義でもあるまいしと思いながらも日本人は異文化を上手に取り込むことで、文化的にも経済的にも成長してきた歴史があるのに、日本人主体のレースはコップの中の争いに終始しがちとなっていく。余談だが、年一回に開催される「Motocross of Nations」で思い出したが、国別代表選手が国旗を背負って競うので、数百年の昔から国毎あるい民族毎の競争に晒されてきた欧州代表選手のモチベーションは尋常ではなく、その闘争心たるや民族間の競争(戦争)の経験が少ない日本では考えられないほどである。それに伴い、観衆の自国民の選手や自国の旗にたいするロイヤリティは異常なほど露骨にでた。そんなことをふっと思い出した。
全日本モトクロス選手権チャンピオン経験者、新井宏彰選手、横山遥希選手、山本鯨選手のオンライン対談。3本構成だが、全日本モトクロス選手権を争う、また争った最高峰ライダー3選手が、全日本モトクロス選手権の現状をオンライン形式で対談している。素直な意見が多く、聞いていて、現状の全日本モトクロス選手権を知る上で大いに参考になった。対談は①~③とある。
#4【対談①】2020年 全日本モトクロスチャンピオンを取った2人の対談!
かっての鈴なりの観客が押し寄せた’80年代、90年代のモトクロス黄金時代に全日本の覇権を争った日本企業4社のワークスチームは、近年、スズキチームが2018年にワークスチーム活動から撤退、連れてレースこそ我が企業のDNAだと長年公言していたホンダも説明もないままあっさりとワークス活動から撤退し、時期を同じくカワサキもワークス活動を中止した。唯一のワークスチーム活動を継続しているのはヤマハだけとなった現状の全日本モトクロス選手権に多いに失望しているモトクロスファンも多いとは思うが、現状、IA1エントリー数20数名と言えど、毎戦、ライブタイミングでレースを拝見しているファンの一人にとって、これはこれで結構面白く楽しいものだ。で、何であれ、全日本の出場している現有選手が、世界とは差が付き過ぎたと思えども、現在の日本を代表する最高のライダーに変わりなく、面白いと思って見てきた。
対談では、モトクロスの日本人選手と海外の一流選手との対比で、モトクロスを戦う環境の違いが技量の違いになっていると語っている場面もあるが、しかし、日本人モトクロス選手が世界の舞台で活躍した事例は、過去、世界選手権で渡辺明選手がチャンピオンになった例もあるので、大昔の日本人モトクロス選手は実力的に世界のトップクラスであったのは事実だが、確かにここ十数年の日本人モトクロス選手の実力は目を覆いたくなるほど惨めなのも事実。毎年開催される「Motocross of Nations」の国別世界順位から言うと予選20位通過もままならず、世界のモトクロスシーンから蚊帳の外に置かれて久しく、日本GPに招聘されてくる外人選手に数秒遅れの日本人は外人選手を見て「すげぇ~」と訳のわからぬ言葉を発するのが精一杯で、欧米の上位ライダーに肉薄することもなく、そして、その結果を単純に受け入れてしまう怖さが日本側に残念ながらあるようにみえていた。
唯一、こうした低迷している全日本のモトクロス界を飛びだし、世界最高のライダーが集まるアメリカを舞台に活躍しているJo Shimoda(下田丈)選手をみると、ごく最近の米国のIRONMAN NATIONAL250㏄クラスでは総合2位を獲得した。超一流が集まる米国で、総合2位を獲得できる実力とはチャンピオンに近い選手である事と意味するから、トップ級が争う環境で戦えれば、ワークスライダーのように日本企業の支援がなくとも自力でトップ争いが出来る支援を獲得できる。そうみれば、技量向上には確かに環境が一番影響する可能性が高いとみるのは正しいひとつの意見かもしれない。
かって、日本企業は日本人選手の技量向上を図るべく色々トライしてきた時代があった。
当時、全日本選手権GP大会に出場する世界のトップライダーを見る度に、日本人と外人ライダーとの技量差は歴然とあり、何とかこの差を詰めたいと考えていた。そのために、日本の契約ライダーをアメリカに長期出張させアメリカンライダーと競争させる試み等を何度もトライしてきた。が、最も効果が認められたのは、外人ライダーを全日本選手権に出場させて、全日本選手権の場で直に競争させることであった。ラップ寸前程の差があった技量差が、これを機にアメリカンライダーとも競合できるレベルに成長したのは事実で、全日本選手権も大いに盛り上がった。これを機に日本人ライダーの技量は確実にUPし、レースも活性化たことは事実だ。その結果を他の日本人選手がどのように受け取ったかと言えば、Eddie Warrenが全日本選手権から引退する最終戦の菅生で、当時のホンダファクトリー東福寺選手が全ライダを代表してEddieに感謝の挨拶をしてくれたことで、カワサキの選択が正解だったことが結果的に証明されている。菅生での出来事は予期せぬ事だっただけに感無量の思いがした。更に加えて言えば、「ダートスポーツ」FB の『砂煙の追憶』には、当時カワサキのワークスライダーで外人ライダーを抑えて何度も肉薄した走りをした、榎本正則選手が含蓄ある発言をしている。それには「彼らにしてみれば全日本で走るのは出稼ぎだったかもしれないが、彼らが思っている以上に結果として多くのものを残してくれたはず。受け継がずに過去のものにするのは、あまりにももったいない。育つものも育たない」と。あれから17年、当時EddieやJeffと共に全日本を戦ったライダーからカワサキの真の意図を改めて聞かされるとは思いもしなかったが、ライダー側からみてもカワサキの決断は正しかったと言うことだろう。
一方、それも日本人ライダーを主体に構成するようになると、次第に元の木阿弥になって、コップ内の争いに終始し世界から大きく引き離される結果となっていく。ルールに則った競争世界で、国粋主義でもあるまいしと思いながらも日本人は異文化を上手に取り込むことで、文化的にも経済的にも成長してきた歴史があるのに、日本人主体のレースはコップの中の争いに終始しがちとなっていく。余談だが、年一回に開催される「Motocross of Nations」で思い出したが、国別代表選手が国旗を背負って競うので、数百年の昔から国毎あるい民族毎の競争に晒されてきた欧州代表選手のモチベーションは尋常ではなく、その闘争心たるや民族間の競争(戦争)の経験が少ない日本では考えられないほどである。それに伴い、観衆の自国民の選手や自国の旗にたいするロイヤリティは異常なほど露骨にでた。そんなことをふっと思い出した。