ロシアによるウクライナ侵略は止むこともなく、その侵略経路と規模報道が新聞の日時報告となった。
プーチンの停戦条件も当初条件より次第に吊り上がってきているそうだ。これではいつ終わるのか、新聞やネット情報も予想もつかないのか書いていない。 ウクライナからロシアを追い出せとか、プーチンを追い詰めろという論調が多いが、プーチンが突然ウクライナを侵略したように、西側の経済制裁でジリジリと追い詰められたプーチンがやけになって突然核を使う決断をする可能性も否定できず、プーチンだって権力を失った独裁者の末路を知っているはずだから、昨日7日の日経平均もNYダウの急落をみると、遠い日本にいて面白半分には見られない状況になってきた。
で、世界の専門家はどう見ているんだろうと、戦争等の取材では一家言あるので信頼している英国のBBCの解説を探したら、7日、「
ウクライナでの戦争の結末は 5つのシナリオ」があった。ウクライナでの戦争結末「5つのシナリオ」を解説している。それによると、シナリオ「①短期決戦」「②長期戦」「③欧州戦争」「④外交的解決」ときて、最後に「⑤プーチン失脚」とあった。
「今、一歩引いて、ウクライナの紛争が今後どうなり得るか、考えてみようと思う。各国の政府幹部や軍部の戦略担当はどのようなシナリオを検討しているのか。自信をもって未来を予言できる人はほとんどいないが、実現可能性のある展開をいくつか並べてみた。そのほとんどの見通しは暗い。
シナリオ① 「短期決戦」
このシナリオでは、ロシアは軍事行動をエスカレートさせる。ウクライナ全土で無差別の砲撃が増える。これまでの作戦では目立たずにいたロシア空軍が、壊滅的な空爆を開始する。国の主要インフラを狙った大規模なサイバー攻撃が、ウクライナ全土に及ぶ。エネルギー供給と通信網が遮断される。市民の犠牲は数千人に達する。首都キーウ(キエフ)は果敢に抵抗するが、数日で陥落。政府はロシアの傀儡(かいらい)政権に取って代わられる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は暗殺されるか、ウクライナ西部へ脱出。あるいは国外に逃亡し、亡命政権を樹立する。ウラジーミル・プーチン大統領は勝利を宣言し、一部の軍を撤退させるが、一定の支配力維持のための部隊を残す。数千、数万人の難民が引き続き、西へと脱出を続ける。ウクライナはベラルーシ同様、モスクワの従属国家となる」
シナリオ② 「長期戦」
「それよりもこの戦争が長期化する方が、あり得る展開かもしれない。ロシア軍は、士気の低下、兵站(へいたん)の不備、無能な指導者のせいで、泥沼に陥る可能性がある。キーウの攻防は、道路単位で戦われる市街戦になるだろう。そのような都市をロシア軍が確保するには、上記のシナリオよりも時間がかかるかもしれない。そうなれば、長い包囲戦が続く。このシナリオは、1990年代にロシアがチェチェンの首都グロズヌイを制圧しようとして、長く残酷な苦戦を延々と続けた挙句、グロズヌイをほとんど壊滅させたことを連想させる」
シナリオ③ 「欧州戦争」
「この戦争がウクライナ国外にまで波及してしまう可能性はどうだろう。プーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)非加盟の旧ソヴィエト連邦構成国、たとえばモルドヴァやジョージアなどに部隊を送り込み、かつての「帝国」を取り戻そうとするかもしれない。あるいは、ただ単に誤算とエスカレーションが起こるかもしれない。プーチンは、西側諸国がウクライナ軍へ武器供与するのは、侵略行為であり、反撃が正当化されると宣言するかもしれない。あるいは、ロシア沿岸の飛び地カリーニングラードとの陸上回廊を確立するため、リトアニアなどNATO加盟国のバルト三国に派兵すると、脅すかもしれない」
シナリオ④ 「外交的解決」
「それでもなお、ほかのすべてを置いてでも、外交的な解決はまだ可能なのだろうか。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「今は銃が話をしているが、対話の道は常に開かれていなくてはならない」と述べた。確かに対話は続いている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領はプーチン大統領と電話で話している。各国が外交ルートでたえずロシアに接触を試みていると、外交関係者は言う。加えて、ロシアとウクライナの両政府代表団はすでに2回、ベラルーシ国境沿いで交渉に臨んでいる。交渉による進展は今のところあまりないかもしれない。しかし、交渉に応じたというその一点だけからしても、プーチンは少なくとも交渉による停戦合意の可能性を受け入れているようだ」
シナリオ⑤ 「プーチン氏失脚」
「では、ウラジーミル・プーチン本人はどうなのだろう。侵攻を開始したとき、プーチンは「我々はあらゆる結果に備えている」と宣言した。自分自身の失脚という展開にも備えているのだろうか? まったく考えられないことに思えるかもしれない。しかし、世界はここ数日で変わったし、そういう展開を考える人も増えている。英キングス・コレッジ・ロンドンの名誉教授(戦争研究)、サー・ローレンス・フリードマンはこう書いた。「キーウで政権交代が起きる可能性と同じくらい、モスクワで政権が変わる可能性も出てきた」
「
結論」
「以上のシナリオはそれぞれ、独立したものではない。それぞれのシナリオの一部が組み合わさり、別の結末に至るかもしれない。しかし、今のこの紛争が今後どういう展開になるとしても、世界はすでに変わった。かつて当たり前だった状態には戻らない。ロシアと諸外国との関係は、以前とは違うものになる。安全保障に対する欧州の態度は一変する。そして、国際規範に立脚する自由主義の国際秩序は、そもそも何のためにその秩序が存在するのか、再発見したばかりかもしれない」
ロシアは7日、ウクライナ侵攻を巡り欧米がロシア産原油の輸入を禁止すれば、原油価格が1バレル=300ドルを超える水準に上昇するほか、ドイツに天然ガスを供給するパイプラインを閉鎖する可能性があると警告したと報道にあった。こうなると、ロシアを信用しすぎたドイツは壊滅的打撃をうける。個人的に思うに、今のところプーチンの目論見通りに、核の恫喝をうけたドイツもNATOも報復できないでいる。たぶん数日のうちにキエフは陥落し、ゼレンスキー大統領は亡命するだろう。ロシアは大国のまま北朝鮮のような国家になり、ロシアから恫喝を受けながらも結束していく西側陣営と長期戦になりそうだ。