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「ウィキペディアより」
三菱自工の不正燃費表示に関し、4月20日に三菱自工からコメント「
当社製車両の燃費試験における不正行為について」がでている。これによると、「当社が国土交通省へ提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、
不正な操作が行われていた(下線:管理人)ことが判明した。また、国内法規で
定められたものと異なる試験方法がとられていたことも判明した」更に、「次期車の開発にあたり、日産自動車が該当車の燃費を参考に測定したところ、届出値との乖離があり、当社が試験で設定した走行抵抗値について確認を求められた。社内調査の結果、
実際より燃費に有利な走行抵抗値を使用した不正を把握するに至った」とあった。不正な燃費操作が発生した起点の具体的な日付は書いてないので、今後の対象機種の広がりや、燃費不正だけの問題で済むのか、排ガス値にまで影響あるのかの説明はない。また、不正燃費表示該当車を購入されたユーザーに対し、「誠実に対応をする」と明記されているので、三菱自工の補償すべきコストは、訴訟に至る可能性も加味すると、その費用は膨大な物になると推測される。結果、おそらく企業存亡の危機さえも議論されると思われるので、三菱自工の関連者は夜も寝れないだろう。
今のところ、不正燃費値をカタログに記載しただけの問題だが、もし排ガス値に異常値がでるとなれば、問題は更に複雑になって深刻になる。所謂、リコール(公害防止上の規定(道路運送車両の保安基準)に適応しなくなるおそれがある状態、又は適応していない状態で、原因が設計又は製作の過程にある場合)に相当し、リコール隠しの三菱と言われた過去のむし返しとなって、企業として成り立たない程の致命傷となる可能性がある。
実際、カタログ燃費は車を購入する際の参考になる程度の数値にしかすぎないし、車の総合ポテンシャルを考えると、おそらく問題になる程度ではない。それを偽装せねばならないほど他社との技術力において、劣っていないことを示さないと売れないと考えて不正に走ってしまったとなると、ことは深刻だ。問題の車種は、新車もよほど値引きしないと売れないし、中古価格も大きく下がる。つまり企業としての「信頼」が崩壊していくので、車の購入する最大の動機である、ブランドへの価値が失墜したことを意味する。物を購入する動機は、ブランドへの信頼度がまず一番で、信頼の上にある技術的数値はあくまで参考に過ぎない。「信頼」の土台の上に成り立っている価値を根底から崩してしまった三菱、市場はどう判断するのだろうか。
三菱自工によると、発端は軽自動車を共同開発する日産自動車からの指摘だそうだ。日産が次期開発車の排ガス・燃費実測定中、三菱から提示されたデータが違う事が判明した。報道によると、開発部門に所属する性能実験部の元部長(60歳代)が不正の走行抵抗値を指示した事を認めたとあった。しかし、事は2002年からの不正と報道されており三菱のような大企業で、同じ部門の責任者が10数年も担当するとは考え難く、加えて、性能実験部とは名前から推測すると、失礼な言い方だが、開発過程の単なるデータ取り部門なので、開発中の品質保証を担当する一部門に過ぎず、通常は、目標性能未達箇所をしっかり指摘する部門である。だから、不正をせねばならない必然性は全くない。本来であれば、開発部門の品質保証部門、そして量産以降時の品質保証と量産中の品質保証という品質の関門があるので、どこかの関門で問題は見つかるはずだが、走行抵抗測定を複数の部署が別個に測定する無駄は普通しないので、性能実験部がテストした走行抵抗値をどの部門も使った。さすればテスト基準の不正は発見しにくい。で、結局、こんな意見「
三菱自動車という不正を繰り返す企業は社会に必要か?」が出てくる。そうだろうな、日本に自動車最終生産企業が11社もあるのは、米国などに比べても多い。
今回の三菱自工の不祥事、時間つぶしにはもってこいの素材だと思いながら、昔を思いだした。
★三菱自動車のリコール隠しは、徹底した縦割り社会が形成された中で、部門毎の情報の抱え込み、つまり官僚的な要素を強く持った企業だった事に加え、事業トップが市場不具合を認めない等々や、天皇たる人物が存在し企業内を萎縮してしまう事等がリコール隠しの主因と分析されていた。その後、2011年当時、「東京電力の福島原発事故対応」、「九電のやらせメール」、「オリンパスの粉飾決算」、「大王製紙社長による巨額借入」等の大不祥事が露見。また、2016年、経済界最大不祥事だとされる東芝も、経営トップからの強烈な圧力が不祥事発生の根源だと報道されている。これらの底流にある原因は三菱自動車のリコール隠しと本質的に同類だと直感的に当時思えたものだ。面白いもので、福島原発事故が起きたあと、こんな報道もあった。「東京電力はもっとしっかりした会社だと思っていた。東電の「天皇」と呼ばれていた勝俣会長とも会食したことがあるけれど、こんなに無能だとは思わなかった」「いや、日本の大企業はみんなこんな感じなんだと思いますよ」、とか。不祥事を発生させた企業には、大抵の場合、「天皇」と称される言葉が良く出てくるのも不思議。
★ 話は変わるが、もう30数年前の事、従事していた会社の4研ビル事務所の一角での昼休み、大先輩数名が集まってきた。
賭けトランプで遊ぶためだが、当時4研で仕事をしていた若輩の私は記録兼雑用係として参戦していた。熱中すると互いに牽制し合うのが通例で、故江川さんは品証担当だったこともあり、不利な状況になると「この間、○○の不祥事があってな」と例の笑顔で仰る。すると、トランプ仲間が「不祥事」、「不祥事」と言いだして自分にツキが来るように流れを変えようとする。以来、不祥事とは面白い言葉だなと思っていた。集まるトランプ仲間は、当時、会社を牽引していた中心人物ばかりだっただけに、昼休に掛けトランプなど、今聞いたら、眼玉が飛び出すほどの仰天物だろう。それほど当時はまだ自由闊達な風土があった。本来の意味での「自由闊達な風土」からは、三菱のような不祥事は、まず発生しない。ところが、時期が変わると、そんな自由闊達な企業でも「壁に耳あり」に変身し、「天皇」らしき意味不明が闊歩する可能性もあるのだから企業と言うのは恐ろしいものだ。
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「NO SECRETS: THERE’S TALK IN THE PITS」