野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

「半夏生」と「ヘメロカリス」

2012-06-30 06:25:11 | 
「半夏生(ハンゲショウ)」と「ヘメロカリス」

★ 何時も同じことを思うのだが、この白い葉っぱを見ると「不思議な花もあるもんだ」、と。なんで、このように中途半端に白い葉を持つ花「半夏生」と、赤黄色の原色を厚く塗ったような花「ヘメロカリス」が、しかも同時期に咲くのか。でも、今にも雨が落ちてきそうな天気の下で、二つの花が並んで咲いている姿を見ると妙に似合うから不思議だ。

  「半夏生」、象の鼻のように垂れ下がっているのが花で、花の付け根の白い葉が花弁の役割を果たすらしい。花に虫を誘うために葉を白く進化させたのではないかと言われている。季節限定、しかもほんの数週間だけ楽しめる、この半夏生の白い肌は、「ここまで来ると厚化粧もちょっとな」という気持ちになる。しかし、その葉の白い部分は、花が咲き終わった夏の盛りに少しずつ色褪せて緑色に戻る。役割を終えたということなんだろう。白い葉にはちゃんと理由があった。






  昨年も書いたが、「半夏生」を非常にうまく表現している興味深い随筆(團伊玖磨の随筆(昭和58年7月15日のアサヒグラフ誌))なので、気に入っている。

  「半夏生の語源は、どの暦の解説書にも、辞典にも、丁度この頃半夏が生えるからだと記してあって一寸不思議な気がする。暦の上で半夏という候があって、その頃に生える植物の名が半夏生になったのなら判るが、半夏の方が植物の名として先にあって、その植物が生える頃だから半夏生という候が暦に載るというのだから、順序が逆な気がする。それにしても、半夏生の名はどうも半化粧の方が感じが出る。
   ……その先端の二、三枚の葉を白化させているのを見ていると、花魁(おいらん)か芸者か知らないが、玄人筋の女が鏡台の前で厚化粧に取り掛かっている最中に、用を思い立ってふと立ち上がったような姿に見えてならない。
   ……もう少し論理的な見方は、この葉の白化は、注意深く見ると表側だけで、葉の裏側は淡い緑色をしているので、表側だけ化粧して、あとの半分、裏側は化粧していないと見て半化粧の名が付いたのではと考えることも出来る。古和名の片白草はそうした観察から付いた名であろう。中国では三白草と呼び、上の一枚が白化した時には小麦を食らい、二枚目が白化した時には梅や杏を食らい、三枚目が白化した時には黍(きび)を食らう、などと言う」



★ もう一つの花は、「ヘメロカリス」。
  赤と黄色の原色の絵具を厚く塗りたくったようで、如何にも初夏に似合う。  「ヘメロカリス」は絵具を塗りたくった色具合だから、玄人筋の女が口紅やホホを赤や黄色に厚化粧した姿を思い出させる。しかも、面白いのは原色の花弁には皺(シワ)があるのだ。



「半夏生」と「ヘメロカリス」の対比は実に面白くてユニークだ。
「半夏生」を花魁が鏡台の前で厚化粧に取り掛かっている最中に、用を思い立ってふと立ち上がったような姿とすれば、 「ヘメロカリス」は用が済んで鏡台に戻ってきた花魁が、急いで付けた口紅やホホの厚化粧となる。







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夏の食材

2012-06-28 06:31:50 | 
5月末のブログで、夏に向けて植えている食材を一部紹介したので、その後を記述しておきたい。

「茗荷」
5月末に、高さ30cmぐらいだったのが、今はその倍の60cm近くになった。
葉が一杯に茂り、葉の下の雑草は光が遮られ次第に枯れて無くなりつつある。
雨が降るたびに背丈が伸びるように感じるが、花芽(食材)が出てくるのは、まだ先で7月になるだろう。
昨年はたくさんの茗荷が取れるには取れたが、一昨年の物に比べ幾分小さかった。
それで、昨年末、葉が枯れた頃に掘り起こしてみると、土の中は目詰まり状態だったので、根を整理し約半分は捨てた。
掘り起こした土に肥料を混ぜて、乾燥した茗荷の根を再度埋め直した。
それから約半年、殆どの土中から出芽したように思う。

7月には、シャキシャキ感と香味を楽しめる。花芽の大きさはどうなるか、根を整理した効果がでるか楽しみに待つことにするか。
とにかく、茗荷には薬効があると聞くと尚更好きな部類の野菜になってしまう。

「茗荷の香りの成分は、働きとしては、眠気を覚ましたり、発汗を促したり、呼吸や血液の循環を良くしたり、消化を促進したりする。
 辛味の成分には、口内炎やのどの痛みを抑える効果があり、熱を静めて、毒を制する働きがある」と書いてある。

             


猫の額ほどの庭に、少しだけだが家族が食べる野菜を分散して植えている。
昨年の種が落ちて「紫蘇」の葉っぱもアチコチの隙間から芽が出てきた。青紫蘇は結構旨いので重宝している(左図)。
また、杏の木の下に、「パセリ」の種を播いたら芽が出て沢山増えた(右図)。
その横には宿根の「アスパラ」もあるが、ほっといても大きくなっていくので適当に採っては食卓に上る。

   


今年も、「ゴーヤ」と「キュウリ」の苗をホームセンターで購入し空き地に植えた。
ゴーヤの苗一本が根つきが悪いが、他のは成長が早い。ゴーヤは、西日の遮断になるように、台所の窓前に植えた。
未だ成長の途中だが、伸びる速度は著しく早いので、何となく満足してしまう。
キュウリも毎日数本が採れるようになった。
キュウリは全体の90%以上が水分で、栄養素の低さたるや「世界一栄養が無い野菜」としてギネスブックに登録されるほどであるが、
食感が良いので、好物だ
 
            


庭の片隅に、「茄子」の苗を3本、未だ小さいが既に採れるようになった。
その横のプランターには、「ニラ」を植えている。ニラは採っても採っても伸びてくるので楽しい。
ニラの葉は、採取せずに伸び放題にしておくと葉が硬くなって食べるのに苦労した経験もあるので、適当に刈り取らねばならない。
また、「小型キュウリ」の種を貰ったので、プランターに蒔いたら芽がでて、結構大きくなっている。

   


「紫ツル草」を東側窓の遮光用に植えている。同じ場所に、昨年は朝顔を植えていたが、今年は紫つる草を植えた。
昨年の紫つる草の種がそこいら中に散らばって、今頃になると庭のアチコチで芽が出ている。
窓の下に移植したのは、昨年の種から芽が出たもの数本を植え直したものだが、これから結構大きくなって目隠しにもなるはず。
紫つる草は葉と茎を食用にする。味はホウレンソウに似るが、独特の粘り気があるので、これも好物の一つ。
つるが紫色で、炒めると汁が赤くなる場合があるが、おひたし、味噌汁や薬味として使用している。
栄養価が非常に高く、ホウレンソウよりも優れているらしい。ビタミンAやC、カルシウム、鉄などのビタミンやミネラルを非常に多く含むとある。

                      

 

これ等以外にも、二階のベランダに、大きなプランタ2個に「青トーガラシ」を植え、「サラダ菜」もプランタに種を蒔いている。
食べれるまでに結構早く成長するので、毎日採っては食べている。
また近所には、貸農園で夏野菜を作っている人もいて、ウォーキングがてらに合うと分けてくれる。

よい季節が巡ってきた。




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差別化とは宗教化することかな

2012-06-26 06:28:09 | 二輪事業

24日、ドゥカティのDiavelを駆ってドラッグレースに出場した、MotoGpライダーのV.ロッシが面白い発言「ドゥカティって宗教みたいなんだよね」をしている。「本当に信じられないようなことなんだけど、 ドゥカティのマシンを買う人って言うのは別に技術的な面だけで選んでるんじゃなくって、その背後に哲学があるって言うか… いや、もう、ほとんど宗教みたいなもんなんだよね。ここのファミリーから離れるなんて辛いことでしょうねぇ… このままここで続けて、デスモセディチ機を強いマシンにできたらスゴいだろうなぁ。イタリア人の間でも、その方が具合が言いわけだし。」

ドゥカティは既にドイツのアウディに買収され、ポルシェ、ランボルギーニ等と同じVWグループに加入した。そして、「高性能バイクのドゥカティ」としてのブランドイメージを更に確立させることで、低迷している二輪市場、特に米国での販売を大幅に伸長させている。ブランド・ロイヤリティを得て顧客の囲い込みを確実化しつつある欧州の二輪企業だ。(「米国ドゥカティの2012年1月~5月までの販売台数」は4,844台で昨年比+19%、2010年比で見ると+98%もの大幅増)
 
二輪の販売を伸ばしたいなら、製品を前面に出すのでなく、その背景を売れ、ブランド信仰、つまり宗教化すること・・・かな。
「ドゥカティ信仰論」、V.ロッシはドゥカティと言うブランドを極めて上手に表現した頭の賢いアスリートだと思う。
さすが、世界高額アスリート・トップ100の20位にランクされることはある。

これと同じことをハーレーダビットソンの項でも書いた。「安定して高い収益性を確保している二輪企業の代表がハーレーダビットソンだが、その好調さを維持し続けている理由の一つとして、 ハーレーはアメリカの歴史や強大なアメリカそのものを背景にしている」「日本の二輪企業がハーレーと類似の製品を開発できても、 ハーレーのもつアメリカの背景や泥臭い匂いまで売ることはできない。」
 参考:「ハーレーでなければダメなんですか」」
ハーレーの日本向け販売は少し低下したようだが、世界的に見ると依然好調に推移している。

このような事例は何処にもあって、例えば、スターバックスはコーヒーの味というスペックで競争していない。
 スタバが特別な存在で、高いコーヒーを売り続けられるのは、コーヒーを売るのではなく、
 「サードプレイス」という場所を提供すると言うコンセプトが他にはマネのできないこと。 

6月24日の日経ネットに、「富士重工の吉永社長のインタビュー記事」があった。
「スバル」好調の理由を、コンセプトによる「差異化」と強みへの「絞り込み」だと言う。
「レガシィ」や「インプレッサ」が販売店から足りないと言われるくらい、今売れているらしい。
 自分たちが好きな車だけを造る事から方向転換し、消費者の声や不満をひたすら聞きつつ、技術志向は失わないようにする。
 スバルがスバルで無くなったら、魅力を失い、国内最小の自動車メーカとしての個性が埋没してしまう。
 業績好調の理由を「差異化」と「絞り込み」の結果としている。

「差異化に関して、足して2で割るような開発はしない。
 そして誰も手掛けていないコンセプトを織り込んで、他社と比べられないようにしている」と語っている。
 そのコンセプトは「安心と楽しさ」と言う切り口で、スペックではなく、コンセプトで差別化する。

「絞り込みに関しては、フルラインアップの品ぞろえをやめて、強みに特化。
 トヨタの傘下に入ることによって、スバルはスポーツカーの開発に経営資源を集中することが可能となった。」

「考えるべきはコンセプトによる差別化、コンセプトで差別化された商品は、高くても売れる。
 スバル車のアメリカでの値引き額は800ドル程度と業界平均の3分の1になっている」とインタビューで語っている。

 
★吉永社長は日経ビジネス4月16日号の「編集長インタビュー」にも登場し、製造業の経営者としては珍しい哲学を披露している。
それは、「コスト競争は大の苦手」、「安全と楽しさで差別化追求」だった。 「価格」と「品質」を金科玉条のようにオウム返ししている幾多の製造業社長の中にあって、異質な発言だ。 経営戦略って、「ヒトの行かない裏道に桜を探す」という行為である。
 
また、こんな発言もしている。
「輸出比率の高い当社にとっても円高進行は打撃だ。それでも好調な要因は、主として三つある。  高単価を維持できるブランド力、工場のフル操業が続いていること、値引き販売をしないことだ。  日米共に販売は好調で、むしろ好調過ぎることが組織の緩みにつながることを懸念している。」

そして、 富士重が生き残るための戦略は何かの質問については、 「明白なのは、スケールメリットを追い、上位メーカーと同じ土俵に乗ってはいけないということ。  コスト競争では勝てない。基本方針は、「スバル」の個性を維持することだ。 趣味性の高いユーザーを味方につけるための投資は惜しまない。  そうはいっても、やがて世界のメインストリームが環境対応車になったときに、即座に商品投入できる“手段”は準備しておかなければならない。  トヨタ自動車と資本提携しているのもハイブリッド技術で支援を得るためだ。」

★一方、社長インタビューとは別に、「米国販売が伸びた理由は下記2点にあるとする現場の意見もある。
 ●インセンティブ依存症からの脱却。
  販売を正常化するために、価格を1000ドル下げてインセンティブが必要なくなればいい。クルマの価値を変えずに値下げすれば、米国で一般的なリース販売でも顧客に有利な条件が設定できる。販売店にとっても歓迎すべき話だった。
 ●マーケティングも変えた。
  従来のテレビCMは「大草原か雪道を走り、最後には値引きや自動車ローンのキャンペーンに触れる」といったマンネリ化したものばかり。そこで「安心」「安全」「頼りがい」といったイメージを訴求する一方、メーカーが展開するCMでは価格には触れないことにした。

これ等の方法が販売店には大好評だったとある。

富士重工業インタビューからは、米国販売好調の理由を「差異化」と「絞り込み」にあるとし、コンセプト戦略の勝利と分析しているようだ。ハーレー、ドゥカッティやスタバに見られる「ブランド背景」なるものの存在についての分析がなされていないのも興味を引く。
いずれにしても、世界販売に占める国内生産比率同規模のマツダが大幅赤字(営業利益 △387億)を計上したのに対し、富士重工業は黒字(営業利益440億)を計上した。この違いはなにか、何か面白い分析が出てくる可能性も期待でき、今後の動きを注視し続ける価値はありそうだ。

「差別化」と言う、何れの企業でも、ごく当たり前に使用されてきた用語を成功に導いた好例で、参考になった。


★ハードを全面に押し出すのではなく、ソフト戦略を前面に出すことにより顧客を囲い込む事でハードの販売に結び付ける術は、実は身近にもあったように思う。 かって、カワサキの国内販売社が国内販売7万台を達成した時代の手法と似通っているが、どうであろうか。
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荊州を争う

2012-06-24 07:30:11 | その他
「魯粛と周瑜。天下の英雄、酒を交し天下を語る」

赤壁では、江東の周瑜指揮下の孫権・劉備連合軍5万は曹操軍83万を火計をもって打ち破った。
敗北した曹操軍が撤退した後の、空白地帯となった荊州北部を、孫権と劉備が奪い合うことになる。

天下の主導権は荊州を得た勢力が握ると言っても過言ではなく、曹操、孫権、劉備が夫々の思惑を持って狙っていた。
赤壁に敗れた曹操が許都に帰り兵を整えている間、赤壁で連盟を組んだ劉備と孫権は夫々に荊州獲得に動く。
その駆け引きは、何れの陣が荊州を治める事の理があるかの論とその弁舌が面白い。

そんな中にあって、BSフジ三国の第4部「荊州争奪」の節では、魯粛は別格の取り扱いで、この節の主役は魯粛のように思える。
周瑜とは両極端の性格であるが、周瑜は遺言で大都督の後任に魯粛を任命するように言い残したほどの人物。
周瑜と孔明の間では、荊州を巡ってしばしば紛争が起こしていたが、魯粛は劉備と同盟し、曹操に当たることが呉の将来のためである信じ、
劉備には常に友好的な態度で接し、事を荒立てないようにした。
しかし、常に毅然とした態度で臨み、最終的には兵を用いずして荊州南部の三郡の取返しに成功した人物。

「荊州争奪」では、呉の孫権は魯粛を、劉備は伏竜の孔明と鳳雛の龐統を得て、いよいよ荊州から西蜀へ入るための準備を進めることになる。
劉備の西蜀戦略をもって、三国が徐々に形成さる方向に動く。


前のブログにも書いたが、「漢民族には苦手な武力戦を避けて謀略や政治・心理戦によって戦わずして戦争目的を達成しようとする思想があって、
例え、戦争になったとしても「武力戦は最小限にし、努めて「遠交近攻」など外交戦による解決」を追求する思想がある」らしい。
この戦略思想を絵に書いたように展開したのが、「荊州争奪」の節だった。



★話は変わるが、中国の歴史には興味があって、関係する書籍を購入したり、図書館で借りたりして読んでいた。
 中でも、三国の時代から、更に140年ほど続いた「五胡十六国時代」へと続くが、その攻防の歴史はすさまじい。
 面倒なぐらい次々と変わる王朝、しかもその主役を演じたのは漢民族ではなく、今の満洲、モンゴル、チベット人等の異民族だった。
 当時も、殆どの民人は百姓だけど、一部の人のみが、それも大陸に住む漢人に加えて異民族も絡んで、お金を名誉のために殺し合って領土を奪い合っていた。



★三国志を含め、中国の歴史では、領土いわゆる城を確保することで支配地域を拡大し、次第に領土が拡大していくのだが、領土意識は強烈にあるようだ。

例えば、武田邦彦の「尖閣・千島 お隣の国、 占領されると領土が拡がる中国」では、中国(漢人)の領土解釈について、面白い解説がある。
「前漢や後漢の領土として知られている地図は、もともと「国境」がハッキリしていないのだから、「固有の領土」なるものはなく、
 「ここは我が領土と書いた方が勝ち」で最大版図がその王朝の領土であったことになったとする」

「清朝はもともと満州民族が作ったのだから、支那は満州に占領されていたのが清朝だ。
 その清朝が衰えて、満州に帰った。そして、もともと漢の時代に「中国」の領土だった「支那」の地域に中華民国ができた。
 すると、それは「中華民国」が「満洲は俺の領土だ」と宣言したから面白い。異民族に占領されていくと、「支那の領土」つまり「漢人の領土」となると言う。」

「つまり、武力にも工業にも頼ることができない支那の人はそれなりに生きるすべを身につけていた。
 それは「自分のものは自分のもの、他人のものは自分のもの、自分の土地を占領した人の土地は自分のもの」という「なんでも自分のもの」という主義である。
 これを中華思想という。」


実に面白い論理なのだが、「中国人が考える領土とは」をもう少し調べてみた。
Yahooにも面白い解説があった。これも分かり易い。

つまり、秦朝から数えて約2200年の歴史のうち、漢族が全土を支配したのはたかだか1000年にも満たない。
残る1000年以上は『五胡十六時代』といわれ匈奴、羯、鮮卑、氐、羌族が胡人として中原を一時的に交代で支配し、
漢族は南方に押し込まれたり、あるいはモンゴル族や満州族を始めとする北方民族や金族や女真族といった朝鮮系の異民族によって、
人口において億を超す漢族の王朝がこれまた遠い南方にまで押し流され、時に滅ぼされている歴史を繰り返している。

もとより、この考え方には、中国の歴史学会でも異論百出である。
というのは、もしこの説が正しいとするなら中国人とは漢族のみということになるからで、そうではなく、
たとえば五胡といわれる民族群も女真族も金族も中国内部の一地方族であり、その地方部族勢力が天下を統一ないしは半統一したのであって、
これは民族抗争ではない地域国家の政権戦争なのだと主張する学者もいるのである。

しかし、いずれにしてもその人口、その文化文明力は圧倒的に勝っていても、戦に限っては、漢族は極めて弱いことを証明しているといえないだろうか。
これは世界史においても例外的なことだろう。
2200年を超す歴史のうち、その半数以上の年月を少数民族に支配されているのは、ひとり中国史における漢族だけだと思われる。
しかし負けながらも漢族は滅亡せず、モンゴル族も満州族も女真族も支配したはずの漢族の文化に逆に溶け込んでしまい、その結果、
独自の文化や文字どころか領土までをも失ってしまったのだ。

漢族が作り上げた中原の文化力に溶解してしまったのである。漢族は『負けるが勝ち』を実演しているのである。
ただし、先に述べたように、このような見方を中国の歴史学界は否定するわけだが・・。
これも仮の話だが、日本が中国に勝利していたら、モンゴル族や満州族のように中国文明の中で溶けてしまっていたに違いない。

 

★ところで、BSフジ三国での、曹操の部下掌握術は他の将に比べても群を抜いて上手い。

そこで、戦闘状態に近い組織下で、直接の部下から見た、戦闘時のリーダーシップはどういう質の人材が望ましいか、
航空自衛隊の指揮官でもあった、軍事評論家の佐藤 守が記述している。
これは、学者が唱える「リーダー論」では無く、戦闘状態にあるとする組織での、リーダーに求められる資質を実体験をベースに述べている。

「我々戦闘機乗りの合言葉は「ステイ・ウイズ・リーダー」。つまり、どこまでも編隊長についていくという「編隊精神」である。
 そのためリーダーたるものは、部下以上に修養を積み、知識技能はもちろん、人格も円満でなくてはならない。 
 航空雑誌に求められて、戦闘機パイロットに向かない者を上げさせられたが、
 私は「強がりをいう。弁解する。依頼心が強い。うそをつく。人間的に信用できない」者は絶対に向かないが、 
「誠実で努力がみられる者」は技術的には下手でも教官が引き上げる、と答えた。

 さらに私の4年4か月にわたる戦闘機操縦教官としての体験で言えば、「平常心」「几帳面さ」「敬天愛人の精神」「節制心と自制心」が大事だとも付け加えた。
 つまり、3次元の世界でパニックに陥ると一巻の終わりだし、几帳面さがなければミスプロシージャーに気が付かない。
 そして厳しい3次元の世界に畏敬の念を抱き、酒や○○におぼれない自制心が大切。
 結論として、現代の指導者に欠落しているものは、「判断力」と「勇気」、そして「人間的魅力」だと結んだ。
 いずれにせよ、3次元の世界では人間性は隠しようがないし「はったり」は通用しない。
 「このリーダーなら、どこまでもついていける!」と部下が感じるか否かだ。」


・・・戦闘状態を仮定して組織を纏めるリーダーに求められる資質として大いに参考になる。

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プロボクシング-世界タイトル統一戦。

2012-06-22 06:30:02 | スポーツ

 「WBC,WBAの統一チャンピオンになった 井岡一翔」

最終ラウンドの壮絶な打ち合い。左目が塞がった八重樫の強打はまだ衰えない。井岡は左ジャブでけん制。
リング中央、足を止めての殴り合いが続く。ラスト10秒は、お互いノーガードで死力を尽くした打って打たれての“死闘”。

1ラウンドから3ラウンドぐらいまでは、互角かやや八重樫優位かと思えたが、4ラウンド後のポイントは井岡優位。
1ラウンドの打ち合いで八重樫の左目は腫れだし、徐々に塞がっていく。更に右目も腫れだし、再三、医師のチェックが入る。
それでも、見えると宣言して打ち合う八重樫。見え辛くなった視界をカバーするには接近戦に持ち込むしかない。
八重樫はどんどん攻めてくる。八重樫の強いパンチがドスッと井岡をヒットする度に井岡の足が止まる。

序盤戦から目を離せない展開が続いた。
井岡は塞がった八重樫の右目を執拗に狙う事はしない。ブローを主に攻める。
良い試合だ。

井岡優位の中での終盤、井岡は真っ向から八重樫のボクシングを封じ込めようと壮絶な打ち合いが続く。
「おー、井岡が打ち合いに応じてるよ!」とリングサイドの解説者。 どちらが倒れてもおかしくない展開になりそうだ。
「どっちが強いか証明してやる」という決意を感じさせるボクシングが展開された。

終盤は、日本ボクシングの歴史に残る死闘が繰り広げられた。

接近戦での結果、ジャッジ判定は3-0で井岡の勝利。
壮絶な打ち合いで、日本人初の王座統一戦を制した。
超満員8700人のファンは総立ちで、レフリーが制して始めてゴングの音が判ったほどだった。

新聞記事の、王座を統一した井岡一翔のコメントは、
「これまで一番強い相手だった。でも、打ち合いで負けたくなかった。最後は気持ちの勝負。気持ちで負けないようにしようと思った」


素晴らしいボクシングだった。
息き詰る展開、こんな試合は久しく見ていなかった。
「強いものが勝つ。勝った者がチャンピオン」と戦前八重樫はテレビ番組で語っている。
確かに、井岡は強く、チャンピオンにふさわしいが、八重樫も劣らず強かった。
両者とも歴史に残る試合をファンの脳裏に強く印象づけた良いボクシングだった。


ところで、テレビに着く前の印象をブログの前章にしようと事前に書いていた。
「ついに実現した!
 最近、どちらかと言えばチャラチャラしたボクシングが多く興味を削がれていたが、この試合だけはどうしてもテレビ観戦したかった。

 WBCチャンピオンの井岡一翔選手とWBAチャンピオンの八重樫東選手が大阪を舞台に激突する、日本のボクシング史上初めての統一王座を決定戦、
 日本人対決なので、どちらが勝っても史上初の統一チャンピオンとして、ボクシングの歴史に名前を刻むことになる。
 非常にエキサイティングなマッチメイクもさることながら、井岡、八重樫選手の何れも、真面目のボクシングを捉えている姿勢に好感を持たせる。
 しかも、両者の歩んできたボクシング歴が両極端なので、いずれが勝利しても面白い試合になると期待している。」

・・・・・試合展開はその通りになった。



ところで、アメリカの経済誌「フォーブス」が19日発表した「世界高額報酬アスリート・トップ100」にランクされたボクサーは4人。
その1、2位がボクサーで、2位にランクされたのが世界チャンピオンの比人「マニー・パッキャオ」。

井岡、八重樫、目指せ、ラスベガス!


★「マニー・パッキャオ」
     

 マニー・パッキャオはアジア人ボクサーとして初の6階級制覇を達成した英雄で、大好きなボクサーだ。
 パッキャオの魅力は決して逃げないボクシングスタイルで、ボクシングの本場アメリカで絶大な人気を誇り、ラスベガスの試合を常に満席にする。
 こんなボクシングをファンは見たいはず。

 だが、今年の6月、無敗のティモシー・ブラッドリーを迎えて4度目の防衛戦を行ったが、判定の結果、勝利を手にしたのはブラッドリーだった。
 判定に不審ありでビデオ再裁定をするとの報道だが、テレビニュースで観てもパッキャオがやや優位に思えた。どう裁定されるのか。

 
★ 世界の高額報酬アスリート100が6月19日、公表された。
 それによると、1,2位がボクシング選手、3位がタイガー・ウッズ(ゴルフ)・・・18位A・ロドリゲス(MLB)・・・20位ロッシ(バイク)・・39位イチロー(MLB)。
 1位 フロイド・メイウェザー、ボクシング
    総年収:8500万ドル、年俸/賞金:8500万ドル、スポンサー収入:0ドル
 2位 マニー・パッキャオ、ボクシング
    総年収:6200万ドル、年俸/賞金:5600万ドル、スポンサー収入:600万ドル
 3位 タイガー・ウッズ、ゴルフ
    総年収:5940万ドル、年俸/賞金:440万ドル、スポンサー収入:5500万ドル

 ボクシングの選手は、スポンサー収入が少ない、まさに拳のみで稼ぐ、体を張った真のスポーツ。


★真に実力のある、実績のある人材が評価されるスポーツの世界は素晴らしい。
 それとは逆に実力のある素質の人材が評価されない世界も多々ある中で、スポーツの世界は実力の世界。
 それが正当に評価され、高額を稼ぐのだから難癖をつける理由がない。

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野々池貯水池 - ノイバラ

2012-06-20 06:34:17 | 野々池周辺
茎が地面を這って成長するテリハノイバラ。
このテリハノイバラが、野々池貯水池の土手のところどころに咲いている。
夾竹桃が咲き始めた時期なので、夾竹桃の白い花と間違いやすいが、良く見ると全く異なる。

薔薇のような豪華さはないが、清らかで、素直な印象は親しみやすい。
白い花弁は柔らかく、花弁の香りを確かめようと触るとパラパラと崩れやすいので、花全体を一つかみにせねばならないが、良い香りがする。

花の形を覚えるとウォーキングしながらでも良く目立ち、草むらから周囲の草を少し退けて写真を撮った。

      


     


ノイバラは日本の野生バラの代表種で、ノイバラ、テリハノイバラ、ヤマイバラ、ハマナス等、10数種ほど自生するとある。
薔薇は世界で数多くあるが、基本の薔薇は8種で、その中には日本原産のノイバラ、テリハノイバラ、ハマナスの3種が入っていて
薔薇の新種改良の基本種として活用されてきた。

特に、芳香や色合いが優れた球磨地方のツクシイバラは、薔薇改良の台木として乱獲されたため、一時期絶滅の危機になったと聞いた事がある。
日本のノイバラシ種は病気に強く、耐寒性、耐暑性ともに優れているため重宝され、薔薇改良の基本種となって主にヨ-ロッパで改良されたことは有名。


*昨日からの台風4号の影響で、日頃人が多い野々池には誰も歩いていない。
 ウォーキングも出来ないので、2、3日前の晴れた日に撮ったノイバラを書くことにした。
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野々池貯水池 - ネジバナ

2012-06-18 06:30:49 | 野々池周辺
「自然の雑記帳ブログ」より。

もうそろそろだなと思いながら、野々池貯水池の土手を見ながらウォーキングした。
梅雨に入ると、野々池貯水池の土手にかけてネジバナがピンクの花を咲かせる。
女房に言わせると、以前はネジバナを束になるほど採れた言うが、少なくなったとは言え咲く。
今は、梅雨の出始めなので一部の土手にしかないが、梅雨明けとともに咲く花の数が増える。

注意してみないと見落とすほどに小さいが、スート伸びた細い茎に螺旋状にピンクの花が房状に咲く。
ネジバナを見つけると、本当に感動ものだ。
野ランの一種とあるが、よくよく見ると本当に品のある花姿をしている。

20cmにも満たないので、屈んで撮らざるをえないが、この梅雨の時期、必ずズボンの膝が湿ってくる。
膝を曲げて地面に固定して撮らないと上手く撮れない。
それにしても、愛好家の写真は上手いもんだ。


           






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どうした! 阪神

2012-06-16 06:41:02 | スポーツ
    「熱くなれ!!」

理髪に行ってきた。
ここの店主は熱烈な阪神ファンで頭を刈ってもらっている間、阪神の話が9割。
ここ2年ほどの阪神の不甲斐なさで話が盛り上がり、結局、ダメな選手と監督の采配の悪さで一時間を過ごした。


14日の阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会で、プロ野球阪神の補強策が批判を受けたとの報道があった。
日本一熱狂的な阪神ファン、昨年もそうだったが、例年この時期に、阪神が負け越した時の株主総会は熾烈な発言が多い。

昨年は、「金本の守備はファンに失礼」「借金7で4位という現状に不満」だとして、監督人事やオーナーの進退まで追及された。
それを聞いてか、今年は監督も変り、金本も4番を打っている。

今年の株主総会では、「城島、小林宏は不良債権」と名指しされ、「今年のマートンには熱気が感じられない」、「若手が伸びていない」
と、昨年以上の辛辣な意見が相次ぎ、場内から賛同の拍手が起こったと報道された。
加えて、株主から、「若手が育っていないのが気になる。特に2軍は見に行っても、何も面白くない。選手の声も出ていない。」
また「育成部門に疑問の声が生じても仕方のない状況だ。」との意見が相次いだそうだ。

これに対して、南信男球団社長は「ふがいない戦いぶりで申し訳なく思っている」と謝罪した上で、
「新人をじっくり育ててチームをつくるというのは十分承知している」と育成の重要性を強調したとある。
阪神の社長から阪神の戦績に一喜一憂せねばならないとする苦しい気持ちが十二分に伝わってくる。
更に、阪神が負けた時のスポーツ新聞記事にも目配りせねばならず、阪神は難しい人気球団なのだ。


阪急阪神ホールディングスの株価は、ここ数年変動幅も少なく、阪神の勝敗が株価を左右する等とは誰も信じていないが、
株式を保有している多くは熱狂的な阪神ファンであり、阪神の活躍と優勝という夢を、株式に託している。
ましてや、日経平均株価が低迷している現状では、株主は株価より阪神のAクラス入りを熱望して、そのうちに株価も上がるはずと信じ、
微かな夢を阪神の活躍に置き換えているのだから、株主総会での一般株主の発言は当然のことだと理解できる。



★ところで、14日の西武戦は結果オーライだが、とにかく3点差を跳ね返して勝った事実は何より大きい。
 しかし、その前日の試合、石井一久に完全に抑え込まれ、ただただ沈黙のタイガーズ、見慣れた光景のゼロ行進だった。 
 文句を挙げたらキリがない。
 「打てない!」「3割バッターは誰」
 「テレビを見ていても、全く熱気が感じられない」

 同じ4位でも、ソフトバンクには熱気がある。今年のソフトバンクは自チームを過信しすぎて補強を失敗してしまったが、
 チーム全員がそれを自覚していて、とにかく点を取ろうと一丸となり、一番熱気がある。
 阪神には、それが感じられない。


★プロ野球やJリーグ等、プロスポーツは戦績に対する評価は一般的に厳しい。
 阪神への評価は厳しいと思ったが、Jリーグの戦績に対する評価はもっと厳しい。
 今年は、ヴィッセル神戸の監督も途中解任されてしまった。
 Jリーグ監督の途中交代の効果を調べたら、「Jリーグにおけるシーズン途中の監督交代の効果」の結論では、
 「監督解任は短期では効果があるが、長期的に見れば何の意味もない」ということらしい。

 と言うことは、短期的には効果があると言う事だがら、各節毎に勝負をかけるJリーグには効果があると言う事。
 米国のMLBでも、シーズン途中の監督交代は行われているので、勝負を掛ける、つまり結果を最も求められるスポーツには妥当な判断だろう。
 勝つことが、スポーツビジネスに最も要求されることだから極々当たり前のことなんだ。
 
 その点から言うと、阪神の和田監督は途中交代でも可笑しくない。
 もっと、選手のその日の状況を冷静に判断して起用を決める監督やコーチが適任だと思うのだが。
 故仰木監督もそうだったし、落合なんかは適任監督ではなかろうか。・・・いかん阪神ファンの悪い癖が移った。


 もっと言えば、企業の事業経営も事業部毎やビジネスユニット毎に冷静に判断され、事業体の責任は冷酷に判断されるべきだと思う。
 何のために4Q毎の経営報告がなされ、最終的に株主総会で通期の事業経営結果が承認される大事な会議体だ。
 阪神の株主総会の発言を見て、つくづくそう思った。
 夢のある、夢を感じさせる事業体で在って欲しい。


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外事警察 その男に騙されるな

2012-06-14 06:34:11 | 映画
 「外事警察」

久し振りに映画を見に行った。
「外事警察」、NHK放送も結構面白かったが、暗い画面で言葉も聞き取り難く、ジーッとテレビを凝視せざるを得ない設定だったので、
全部理解出来難かったが、妙に印象に残っていた。 で、映画が出ると聞いて早速見に行った。
ワーナーマイカル明石の#6映写室、ここは初めてだ。  狭い!  後から二番目の席にしたが、スクリーンに近過ぎたので一番後席と交換しに行ったけど不可。
だけど、映画の方は画面も言葉も鮮明でテレビより断然理解し易かったし、こんな映画は大好きだ。

いわゆるスパイアクションや刑事ドラマと違って、思惑あっての正義感無しのストーリーも現実的で良い。
「相棒」や「黒田康作」では、主人公のスーパーヒーローが正義感を持って論理的に事件を解決していく筋道が痛快で面白かった。
一方、「外事警察」は”公安の魔物”住本を中心に、アウトローな存在で事件を一方的に処理してしまう設定だが、結構面白い。
人間心理のリアルさを武器に、日本でもこんな事が本当に起こっているはずと、この世界の日常の裏側を上手に説得力をもって描写されている。


「警視庁公安部」は、国の行政機関である警察庁警備局の実質的指揮下にある、一種の「情報機関」としてWikipediaには解説されている。
本作品のタイトルにある「外事」警察は、右翼や左翼といった国内問題を担当する「公安」警察に対して、防諜や国際テロリズムの調査を行う部署。


本作の主人公である住本健司は、国益を守る為なら平然と嘘をつき、民間人の弱みを握って恫喝し、危険に晒すことすら厭わない。
彼によって、外事警察の協力者に仕立て上げられ、夫をスパイする事になる薄幸のヒロインに加え、
1985年、祖国を原子力の光で照らすという夢を抱いて日本を去った在日二世の核科学者の3組を中心に、
濃縮ウランと起爆装置をテロ組織に販売しようと目論む組織と、韓国で製造されていると言う理由で韓国の国家情報院もこれに絡んで展開する。

韓国と敵対する某国(北朝鮮か)からウランが盗まれ、そして日本の大学から核爆弾の小型化を可能とするレーザー起爆装置に関するHDが盗まれる。
在日二世の核科学者に濃縮ウランと起爆装置を組立させたが、肝心の起爆ボタンがない。その起爆ボタンを取引に使っての展開が中盤にやってくる。
東京とソウルを行き来しながら、諜報のプロフェッショナルたちがウランと起爆装置を奪い合う展開は面白い。
そして、起爆装置は始動し、核爆発に至る時間が設定されたが、誰も起爆装置を解除できない。
でも最後には誰が解除入力をインプットしたか分からないままに、起動ボタンは解除され、ソウルは火の海になる直前で救われる。
(住本が解除したように表現されているが、科学者の正義で解除を初期設定していた可能性もあり、いずれにしても解除された)
インテリジェンス物として、なかなかに良く出来た作品である。

それにしても、韓国国家情報院のスパイから、日本人が解決できる代物ではないから早く手を引き韓国国家情報院に任せろと迫られる場面があった。
これは、現実の世界では、その通りなのかもしれない。



★スパイにとって無法地帯である日本(スパイ防止法がない)で、色んな形の諜報活動が行われているのは疑いようがない。
 何時だったか、BSフジプライムニュースでの平沢議員の発言「北朝鮮の最も質も高いスパイは韓国の諜報活動に従事し、
 最も質の低い諜報員が日本に派遣されている。」が、スパイ天国日本を如実に示している。
 そして、いとも簡単に各種の諜報活動が、この映画のように人知れず日本を舞台に実行されているのかもしれない。


★佐藤 優の「国家の謀略」という本をかなり以前に読んだ。
 その頃、インテリジェンスの考え方や思想らしきものが賑やかだったこともあり、購入して読んでいた。
 改めて、今少しづつ読んでいるが、結構面白く、読み易い。

 謀略と言えば、全く場違いの感覚で、違う世界のことと一般的に捉えられているが、国家としてみると最も重要な要件だと思う。
 民主党政権になって、いかにも心許ない外交であるが、もともと日本は世界最高水準のインテリジェンス能力を備えていたとある。

 「今や後藤田のこの問題意識は、日本の将来を真面目に考える人ならば思想の左右を問わず共通している。
  日本国家が生き残るためには情報力を強化する必要あると言う事は誰でもわかっている。
  ・・・ 日本人はもともと情報力に長けている。・・・極端に強い国家は情報がなくとも戦いに勝つことができる。
  日本人は戦後長らくインテリジェンスへの誤解・無知に侵されて来たと言ってよい。
  ・・・しかし、国家スタンダードで謀略なきインテリジェンスなどないという概念はそもそも存在しない」


★BSフジ「三国」は何故面白く、私の興味を引きつけているかを以前のブログで説明した。
 面白い理由をこう書いた。
 「官渡の戦い・・曹操軍7万が袁紹軍70余万の兵を打ち破り、曹操の地位を確保した中国歴史上でも超有名な戦い。
 古今より圧倒的兵力こそが勝利の第一法則と言われてきた戦法だが、曹操軍の10倍にも優る敵を如何にして打破し曹操は勝ったか。
 軍事戦略と政治・外交戦略を駆使し、さらに権謀術数に長けた策をふるに活用して勝った。

 そして、それを中国の現代軍事戦略思想と比べると、類似点があると書いた。
 「中国の伝統的な軍事思想では、「孫子」など優れた兵法書があり、その「不戦而勝(戦わずして勝つ)」の思想は現代軍事戦略の底流にも生きており、
 それは「漢民族の苦手な武力戦を避けて謀略や政治・心理戦によって戦わずして戦争目的を達成しようとする思想」であり、
 たとえ戦争になったとしても「武力戦は最小限にし、努めて「遠交近攻」など外交戦による解決」を追求する思想である。
 同時に、中国では「戦争は政治目的達成の道具あるいは手段であり、軍事戦略は政治の要求に応じて変化し、政治戦略に従属しなければならない」とする見方が根強い。

 これら政戦両略における武略(軍事戦略)に対する政略(政治・外交戦略)優位の思想、さらに権謀術数に長けた民族性も加わり、
 孫子が「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり」「上兵は謀を伐つ」と述べた如く、「目的達成のために軍事戦略よりも政治戦略を優先すべし」とする戦略文化が
 中国の軍事戦略の根底に流 れ継承されているのである。・・・・・(以下略)

 そして、「情報・謀略などのソフト戦力を活用するなどを底流に残しながら、時代の要請によって柔軟に変化を遂げる」だろう」
 (中国の軍事戦略の底流にある思想・文化:―現代軍事戦略の形成過程の分析から― 茅原 郁生)

 この現代中国軍事戦略思想分析は、三国志にみる曹操の軍事戦略と似通ったものではなかろうか。



これ等の資料を少しでもかじり、予備知識をもって「外事警察」を見ると非常に面白い。
何故なら、現実に発生している可能性が高い事件であって、その対処法の一つだからだ。
いざ戦争と言う究極の国家間の争いでなく、相手を不利に導き、最終的に勝利を収める。
戦わなくとも、相手を混乱させ続ける方法は、レースの世界でも経験してきたことで不思議なことでもない。




『あらすじ』
 警視庁外事四課に所属し、手段を選ばない非情さから「公安の魔物」と呼ばれていた住本警部補(渡部篤郎)は警察を追われ、
 今は公安警察官であった父の同僚だった内閣情報調査官の有賀(石橋凌)に匿われて、内閣情報調査室(CIRO)へ出向している。
 その住本は単身、ソウルで在日2世の核物理学者・徐昌義(田中泯)を探していた。
 徐は約30年前、日本の原子炉技術を祖国へ持ち出し、今は韓国に潜伏中。
 その徐を探し出し、住本は朝鮮半島から流出したウランと、震災後の混乱に乗じて日本の大学から盗み出された軍事技術の行方を追うために外事4課へ復帰、
 “住本班”のメンバーを集めて捜査を開始する。

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庭の薔薇

2012-06-12 06:30:23 | 
昨年、薔薇の苗木を4本購入したが、色々あって総数は結局増えていない。
庭に直植した薔薇に加え、菊用の大きな鉢に植えている薔薇もあるが、狭い庭での鉢植えは必要に応じて移動できるので便利。

今の時期、一番花が落ちる前に凋花切りしているので、二番花の芽が出始めている。
しかも、今年は、どの薔薇からもシュートの本数も多く、まだまだこれから楽しめそうだ。
凋花切りした薔薇の花は適当に切り揃えてガラスの花瓶に挿しておくと、部屋全体を良い香りにしてくれるから嬉しい。

夫々の時期、季節が巡ってくる度に、椿、芍薬そして薔薇と似たような花形と色合いを楽しんできた。
何れも、その季節の花なので甲乙付け難いが、花の香りと季節の暖かさとが上手く調和している点で言うと、どちらかと言えば薔薇に分がある。
しかも、凋花切りしてやれば、楽しめる時間は相当長いのでなお良い。

春先から秋までの長い季節を、多様な色合いで、開き具合も一様ではなく、豊かな表情を楽しませてくれる。

ミニバラも複数あるが、今年のミニバラは不作だった。
葉が色落ちし、しかも茎も貧弱、花色も昨年の物と見比べても明らかに何かがおかしい。
来年に向けて何か策を考えねばなるまい。


★以下、Facebook に投稿した順(早く咲いた順)に、同じくFacebookに付けたコメントと一緒に紹介したい。


「ブラックテイー」 とても有名な薔薇だそうだ。
温度の変化によって、花色が変わっていくと聞いていたが、最初に咲いた渋い赤茶系の色が断然よい。
2,3本はベルベットの赤茶系だったが、その後は、茶色にオレンジ系が混ざった色に変った。
名前のように紅茶の香りがするのも、このバラの魅力だろう。
咲き方も面白く、最初は整った剣弁咲きだが、開くにつれて形が崩れていく。



「アブラハムダービー」



「黒真珠」が沢山咲いている。
ビロードのような花弁がなんとも言えない。



「シャルトルーズ・ドゥ・パルム」昨年購入した一本。
紫より濃いピンクだが、芳醇な香りがした。同時に5個の花が咲いて豪華な雰囲気を造ってくれた。



満開の「パパメイヤン」
黒バラ系のビロードのような真紅の花弁の巨大輪。
花弁の大きさは15cm弱、結構長く花姿を維持している。
香りも良し。



「ジュリア(茶)」
アンティークな魅力ある花弁で、茶色系の微妙な色合い。
咲き始めは、なるほどシックでエレガントな雰囲気がある。
が、開ききる頃次第に色落ちて、周りの黒やピンク、赤系のバラに較べるとやや貧弱。



「イブピアッチェ」
満開近くなると、芍薬の様な咲き方をする。
ピンクが先端にいくほどに濃いローズピンクになり、強い香りがしている。



やっと咲いた「ファーストブラッシュ」
他のピンク系の薔薇よりも、より清楚なピンクに近い。絵に描いたようだ。
花持ちも素晴らしく蕾から開き終わるまで花の形が乱れないとあるがどうだろうか。



「ロイヤル・プリンセス 」
白い薔薇はデジカメに収めるのが難しい。
白くて柔らかい花弁をうまく表現できないし、撮影する時間帯を色々変えて撮ってみるも、花弁が光沢をもって撮れてしまう。
実物の花弁がもつ、ソフト感が出てこない。
白色の花弁に少し黄色味を含んだ色合いで、レモンの香りを滲ませた感じがした。



「ローズデキャトルヴァン」
濃赤の花で、大輪の花になる要素が十分にある花姿だが、花弁が少し汚れてきた。
しかも、咲ききらないままで花弁の先端の変色が少しづつ広がってきたので思いきって花瓶に挿した。
庭にある薔薇の中では、最後になってやっと咲いたのだが、咲ききらないのは何故かな。
大きさからいえば、大輪になるのは間違いない。
二番花に期待と言うところ。



「モダンタイムス」
少し濃いめのピンク色に白いストライブ模様が鮮明・
この花模様は雨が似合うような気がする。雨粒にあたった花弁は何となく生き生きしているように見えた。




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「黒真珠」


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コメント (2)
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