最近発行された”DIRTSPORTS”ネット記事に「 17KX250Fは、1.6秒ラップタイムが削れる!?」という記事があった。
カワサキ発表では、2017年モデルKX250は前年度モデルに比して、テストライダーが1分55秒のラップを1.6秒縮めたそうだ。
「DIRTSPORTS」
一般的に、競争車の次年度モデルの出来具合を表す指標として、ラップタイムの数字を、しかも社内のテストライダーのタイムを、評価基準として説明時に出すのは異例で、あまり聞いたこともなかったので興味が出てきた。で、正式の広報資料にはどう書いてあるのか見ると、カワサキモーターズジャパンの広報資料「KX250F」には、「高性能パーツにより、高出力とスムーズなパワーデリバリーを実現。 2017モデルではエンジンはよりパワフルに、車体はより軽くスリムになり更なる進化を遂げています」とある。また、オフロードモデルの大市場アメリカの販売会社KMCの広報資料「KX250F」には、
「WITH MORE SUPERCROSS AND PRO MOTOCROSS WINS THAN ALL OTHER OEMS COMBINED,
NO ONE ELSE COMES CLOSE TO THE CHAMPIONSHIP-WINNING POWER OF THE KAWASAKI KX™250F MOTORCYCLE.
THE TRADITION CONTINUES IN THE ALL-NEW 2017 KX250F, THE BIKE THAT BUILDS CHAMPIONS.」とだけ書いてある。
両社の広報資料にはラップタイムの記述はなく、”DIRTSPORTS”誌が「1.6秒ラップタイムが削れる!?」に”?マーク”を付けた理由か分かった。
競争車の場合は特にそうだが、ライダーが最も速く走れる仕様、つまりラップタイムを稼げるベスト仕様は、ライダーによって必然的に異なるのが普通。何故なら、評価ライダーの体格、技量レベル、好みは各自異なるので、ある評価ライダーが最も走りやすい仕様でも別のライダーが走行するとタイムが低下する場合がある。上級ライダー、特にプロクラスになればなるほど各ライダーのベストスペックは異なっているが一般的で、1.6秒短縮できたといっても、この値を信じて購入した全ライダーに恩恵があるかというと一概にそうでもない。だから、今回のラップタイムが短縮できるとした資料に興味が沸いたわけだが、詳しい説明を見つけられなかった。
競争車の量産仕様は国別仕向地向けに変えることぐらいが一般的で、ライダー毎に仕様を変えて販売することはまずできない。
従って、社内の評価ライダーが試乗してタイムを1秒強短借したというのは事実だろうけど、「これは正常進化しましたよ」程度なんだろう。
各社の競争車も次年度モデルでは同様に正常進化するので、各社の評価ライダーのタイムを出して説明しても、最近話題になった軽自動車の燃費表示値と同じで、末端ユーザーにとってはあまり重要でないのではと勘ぐってしまう。
それでは、開発中のマシンが他社競合車と同等以上のポテンシャルを確保したかを確認する術があるのかというと、開発の前線である競争の場でそれを確認するしかない。すでに、ホンダもヤマハも全日本モトクロス選手権の場は次年度以降モデルの開発の場と公式に表明しているので、全日本選手権で競争者と対等に戦い、そして勝てれば、マシン性能を十分に引き出す事が出来る優秀なライダーが乗っても十分に勝てる能力を持った車として確認できる。(少なくとも、各社が持つ最高の技術を争っている場で、優れた技術を出し惜しみする企業は多分ないので、全日本選手権で勝てば、勝てるポテンシャルを確保したと納得できる)加えて、評価ライダーがテストコースで評価する場合、もっともタイムを稼ぎやすいベストラインを走ることができるが、実際のレース本番ではそう簡単ではない。レースを戦っている時、自分のベストラインを相手が先に取れば、当方は必然的に遅くなる。つまり勝つための要素は、自由なライン取りができる、所謂「懐の深さ」の高いマシンが勝ち負けに大きく影響する(競争しない一般車には要求されない事だが)ので、競争車は実際の競争でレベルアップを図り確認していく以外にない。これが、競争マシンに要求され最大の課題で、だから、国別で言うと20位に届かないモトクロス後進国日本のレースを、欧米のモトクロス専門誌が注視している理由でもある。
さりとて、1秒強でも早く走れるようになったのは事実であろうから、正常進化したことまでを全く否定はしないが、しかし、例えば、仮に3秒以上に早くなったら、これは技術的勝利だと言えるかもしれないが、ユーザーは雪崩を打って飛びつくだろうか。
二輪ではないが、こんな記事があった。若者の車離れは、クルマが嫌いだから? 金銭的に厳しいから?『日本自動車工業会の調査によると、クルマを保有していない若者の約6割が「クルマを買いたくない」と考えているそうです。 若者の車離れを裏付ける結果ですが、クルマが嫌いになったわけではなさそうです。クルマを買いたくない3つの大きな理由・・(略)クルマを買いたくない理由で多かったのは「クルマを買わなくても生活できる」「駐車場代などで今まで以上にお金がかかる」 「自分のお金はクルマ以外に使いたい」の3つでした。自動車そのものに対するネガティブな理由はごくわずかですから、やはり金銭的な問題が大きいと考えてよいでしょう』下がり続ける給与所得者の平均年収に、加えて車両価格の問題も影響しており、平均的な自動車価格は年々上昇しているのも購買意欲に影響しているとしている。そのために、低い購買力に合わせた車種も必要かとして、付加価値の高いクルマを売るというやり方は成立しにくくなっており、機能を最小限にし、価格を抑えた車種を用意するなど、購買力が低い事を前提にしたプロダクト戦略も必要となってくると結論つけている。二輪よりさらに利便性の高い四輪車ですら、日本の若者の購買対象となっていないとすれば、趣味性の高い二輪の販売は苦戦するのは必然の様な気がする。
前にも書いたが、若者が二輪に全く興味がないのかと言うとそうでもなく、懐古趣味の話題、例えば40数年前に開発された二輪に群がる情報が飛び交っている所など、これ自体は健全な二輪文化の一部だと思うが、絶対多数の二輪購買層となるべき若者が飛び付く情報を発信できる場が少ないのではと感じられる。現代の若者にとって、高い二輪は敬遠される、二輪は格好よい対象になっていない、もしくは若者を取りこむソフト活動に欠けているいるかもしれない。BSフジプライムニュースに出演した”ジャパネットたかた”の高田社長が面白いことを言っていた。「最近のメーカーは新商品の特徴をさかんに強調するが、重要なのは、その商品を買う事でお客がどんな素晴らしい生活を楽しめるかを十分説明しきれていない」・・・" Let The Good Times Roll"・・・
カワサキ発表では、2017年モデルKX250は前年度モデルに比して、テストライダーが1分55秒のラップを1.6秒縮めたそうだ。

一般的に、競争車の次年度モデルの出来具合を表す指標として、ラップタイムの数字を、しかも社内のテストライダーのタイムを、評価基準として説明時に出すのは異例で、あまり聞いたこともなかったので興味が出てきた。で、正式の広報資料にはどう書いてあるのか見ると、カワサキモーターズジャパンの広報資料「KX250F」には、「高性能パーツにより、高出力とスムーズなパワーデリバリーを実現。 2017モデルではエンジンはよりパワフルに、車体はより軽くスリムになり更なる進化を遂げています」とある。また、オフロードモデルの大市場アメリカの販売会社KMCの広報資料「KX250F」には、
「WITH MORE SUPERCROSS AND PRO MOTOCROSS WINS THAN ALL OTHER OEMS COMBINED,
NO ONE ELSE COMES CLOSE TO THE CHAMPIONSHIP-WINNING POWER OF THE KAWASAKI KX™250F MOTORCYCLE.
THE TRADITION CONTINUES IN THE ALL-NEW 2017 KX250F, THE BIKE THAT BUILDS CHAMPIONS.」とだけ書いてある。
両社の広報資料にはラップタイムの記述はなく、”DIRTSPORTS”誌が「1.6秒ラップタイムが削れる!?」に”?マーク”を付けた理由か分かった。
競争車の場合は特にそうだが、ライダーが最も速く走れる仕様、つまりラップタイムを稼げるベスト仕様は、ライダーによって必然的に異なるのが普通。何故なら、評価ライダーの体格、技量レベル、好みは各自異なるので、ある評価ライダーが最も走りやすい仕様でも別のライダーが走行するとタイムが低下する場合がある。上級ライダー、特にプロクラスになればなるほど各ライダーのベストスペックは異なっているが一般的で、1.6秒短縮できたといっても、この値を信じて購入した全ライダーに恩恵があるかというと一概にそうでもない。だから、今回のラップタイムが短縮できるとした資料に興味が沸いたわけだが、詳しい説明を見つけられなかった。
競争車の量産仕様は国別仕向地向けに変えることぐらいが一般的で、ライダー毎に仕様を変えて販売することはまずできない。
従って、社内の評価ライダーが試乗してタイムを1秒強短借したというのは事実だろうけど、「これは正常進化しましたよ」程度なんだろう。
各社の競争車も次年度モデルでは同様に正常進化するので、各社の評価ライダーのタイムを出して説明しても、最近話題になった軽自動車の燃費表示値と同じで、末端ユーザーにとってはあまり重要でないのではと勘ぐってしまう。
それでは、開発中のマシンが他社競合車と同等以上のポテンシャルを確保したかを確認する術があるのかというと、開発の前線である競争の場でそれを確認するしかない。すでに、ホンダもヤマハも全日本モトクロス選手権の場は次年度以降モデルの開発の場と公式に表明しているので、全日本選手権で競争者と対等に戦い、そして勝てれば、マシン性能を十分に引き出す事が出来る優秀なライダーが乗っても十分に勝てる能力を持った車として確認できる。(少なくとも、各社が持つ最高の技術を争っている場で、優れた技術を出し惜しみする企業は多分ないので、全日本選手権で勝てば、勝てるポテンシャルを確保したと納得できる)加えて、評価ライダーがテストコースで評価する場合、もっともタイムを稼ぎやすいベストラインを走ることができるが、実際のレース本番ではそう簡単ではない。レースを戦っている時、自分のベストラインを相手が先に取れば、当方は必然的に遅くなる。つまり勝つための要素は、自由なライン取りができる、所謂「懐の深さ」の高いマシンが勝ち負けに大きく影響する(競争しない一般車には要求されない事だが)ので、競争車は実際の競争でレベルアップを図り確認していく以外にない。これが、競争マシンに要求され最大の課題で、だから、国別で言うと20位に届かないモトクロス後進国日本のレースを、欧米のモトクロス専門誌が注視している理由でもある。
さりとて、1秒強でも早く走れるようになったのは事実であろうから、正常進化したことまでを全く否定はしないが、しかし、例えば、仮に3秒以上に早くなったら、これは技術的勝利だと言えるかもしれないが、ユーザーは雪崩を打って飛びつくだろうか。
二輪ではないが、こんな記事があった。若者の車離れは、クルマが嫌いだから? 金銭的に厳しいから?『日本自動車工業会の調査によると、クルマを保有していない若者の約6割が「クルマを買いたくない」と考えているそうです。 若者の車離れを裏付ける結果ですが、クルマが嫌いになったわけではなさそうです。クルマを買いたくない3つの大きな理由・・(略)クルマを買いたくない理由で多かったのは「クルマを買わなくても生活できる」「駐車場代などで今まで以上にお金がかかる」 「自分のお金はクルマ以外に使いたい」の3つでした。自動車そのものに対するネガティブな理由はごくわずかですから、やはり金銭的な問題が大きいと考えてよいでしょう』下がり続ける給与所得者の平均年収に、加えて車両価格の問題も影響しており、平均的な自動車価格は年々上昇しているのも購買意欲に影響しているとしている。そのために、低い購買力に合わせた車種も必要かとして、付加価値の高いクルマを売るというやり方は成立しにくくなっており、機能を最小限にし、価格を抑えた車種を用意するなど、購買力が低い事を前提にしたプロダクト戦略も必要となってくると結論つけている。二輪よりさらに利便性の高い四輪車ですら、日本の若者の購買対象となっていないとすれば、趣味性の高い二輪の販売は苦戦するのは必然の様な気がする。
前にも書いたが、若者が二輪に全く興味がないのかと言うとそうでもなく、懐古趣味の話題、例えば40数年前に開発された二輪に群がる情報が飛び交っている所など、これ自体は健全な二輪文化の一部だと思うが、絶対多数の二輪購買層となるべき若者が飛び付く情報を発信できる場が少ないのではと感じられる。現代の若者にとって、高い二輪は敬遠される、二輪は格好よい対象になっていない、もしくは若者を取りこむソフト活動に欠けているいるかもしれない。BSフジプライムニュースに出演した”ジャパネットたかた”の高田社長が面白いことを言っていた。「最近のメーカーは新商品の特徴をさかんに強調するが、重要なのは、その商品を買う事でお客がどんな素晴らしい生活を楽しめるかを十分説明しきれていない」・・・" Let The Good Times Roll"・・・