←#026:エストニア・タリン街歩き 旧市街路地裏散歩からの続き
タリン旧市街から港の方へと向かい、そのままトラムの走る大通りを15分ほど歩くと、近代的なビルが立ち並ぶタリン新市街の中心部に出ます。
中世からそのまま時が止まったような旧市街とは打って変わって、タリン新市街は力強く経済発展を成し遂げる若い資本主義国エストニアの勢いを感じさせる賑やかさ。
旧ソ連邦時代の建物はほとんど姿を消し、クルマの行き交う大通りに沿って高級ブランドのロゴを掲げたデパートやガラス張りのオフィスビルが林立する光景は日本やヨーロッパ先進国の都市とほとんど変わりません。
これもまた、タリンという街の素顔の一つなのです。

新市街のデパート前の大通りが、タリン市内の路線バスの集まるターミナルになっています。
ここから2番の路線バスに乗車。
2番のバスは、タリンの港から新市街を抜けて郊外の空港までを結ぶ、旅行者にとって利便性の高いルートを走ります。
バス停には路線ごとのルート表があるしバスは必ず前面に路線番号を表示しているので、外国人でも迷うことなく乗ることが出来るのもいいですね。

バスに乗ったら、運転手さんに申し出て均一運賃の乗車券を購入。値段は1回1.6ユーロ。
運転手さんからではなく、乗車前にバス停近くのキオスクや郵便局で買うと割引になるようですが、こういう時に限ってキオスクが見つからない…
ちなみにバス車内に貼り出されていた料金表によると、路線バスでもしっかりEチケットが使えてこれも割引運賃が適用されるようです。
さすがIT立国“eストニア”、路線バスも抜かりなくIT化されています!
路線バスは賑やかな新市街の目抜き通りを走りますが、ほんの10分も走るともう郊外へ出てしまいました。
タリンは本当に小さな街なんだということがわかります。
タリン空港の一つ手前のバス停で下車。ここは巨大なショッピングモールの真ん前で、買い物帰り風の人もバス待ちをしていました。
このショッピングモールの隣に、今夜泊まるホテル
…先週、エストニアに着いた日の夜にも泊まった空港近くのホテルがあります。
明日はタリン空港から早朝のフライトに搭乗してエストニアを後にしますので、念の為にと思い空港に近いホテルに泊まることにしたのですが、結果としてエストニア最初の日と最後の日は同じホテルの世話になりました。

ホテルの部屋からは噴水と、道路の向こうに大きな湖が見えます。この湖はウレミステ湖という人口湖らしいのですが、この辺り一帯の地名もウレミステというようですね。ホテルの名前もウレミステでした。
さて、無事ホテルにもチェックインして、後は明日の早朝フライトに備えて部屋でのんびり休息を…
と思ったのですが、せっかく大きなショッピングモールが隣にあるのでちょっと遊びに行ってみることにします。
それに、ショッピングモールの先にはタルトゥからタリンに戻って来る時に乗ったエストニア鉄道の駅もあるので、駅で列車も見たいですね。
という訳で、ホテルを出て駅の方に向かってぶらぶら歩いていると、機関車の汽笛が聞こえていきなり列車がやって来ました!
大型のディーゼル機関車に牽引された長大編成の客車、あの列車は…
間違いありません、タリン発モスクワ行きの
国際寝台特急「タリン・エクスプレス」号です!

現在、エストニア国内を走る唯一の夜行寝台列車であり国際列車である「タリン・エクスプレス」号。
タリン滞在最後の日に、1日1本だけの特別な列車を偶然見ることが出来ました。何という幸運!
しかも駅に停車しているのではなく、郊外の線路をスピードを上げて遥かロシアを目指し疾走する雄姿です。

目の前の駅を通過していく「タリン・エクスプレス」号。
青に白帯の寝台車が日本のブルートレインを彷彿とさせます。これはカッコイイ列車です!
いつかは乗りたい…と思ってしまいますねぇ。
それに「タリン・エクスプレス」号は、
昨日ヘルシンキ中央駅で見た「トルストイ」号と同じモスクワのレニングラーツキー駅に発着していますので、「タリン・エクスプレス」号と「トルストイ」号を乗り継いでエストニアからロシア、そしてフィンランドまでの周遊旅行も出来るなぁ…
ああ、いつの日かあの列車たちに乗って北の大地を駆け巡りたい!
いきなりいい列車が走って行く様子を見られてテンションが上がってしまいましたが、改めてショッピングモール隣の駅を見てみる事にします。

駅名も湖や地区名と同じウレミステ駅です。
コンクリート打ちっぱなしの無人駅ですが、デザインはかなり洗練されていてお洒落です。

市街地のタリン駅方面行きと郊外のタルトゥ方面行きの対向式プラットホームがあるだけの、シンプルな駅です。
でも、プラットホーム上の待合スペースや照明灯のデザインも斬新で凝っていますね。この駅構内デザインはタリン近郊の駅では共通のようです。

ウレミステ駅の構内の隣には、広大な貨物ヤードが広がっているのが見えます。

プラットホーム上に掲示された時刻表を見ると、タリン都市圏の近郊区間ではそれなりに多くの本数の列車が運行されています。
そうこうしているうちに、早速、近郊列車がやって来ました。

缶ビールをあおるおじさんの後ろから現れた、タリン駅発の近郊列車。
パンタグラフを上げているので、電車です。

何ともカラフルな塗装の電車です。
よく見ると前面の運転室窓下にRVRのロゴがあるので、ソ連邦時代にラトビアにあったソ連の鉄道工場で造られたものであることがわかります。
先日、タルトゥから乗った気動車列車にもよく似た、いかにもソ連製らしい無骨でもっさりした印象のデザインです。
塗装はやたらと派手ですが(笑)
タリン駅発の電車が行ってしまうと、今度は行き違いにタリン駅行きの電車がやって来ました。

さっきの電車と同じ系列だと思われますが、前照灯のデザインや細部の仕様と塗装のパターンが若干異なります。
タリン近郊線の電車は、かなりバリエーションが豊富なようですね。

タリン駅へと向かって走り去る電車を見送ると、つい「あの電車に乗って、もう一度タリンの旧市街へ行きたい…」と思ってしまいます。
まだ真っ昼間のように明るいですが、もう午後7時を回りました。
そろそろホテルに戻りましょう。
おっとその前に、ショッピングモールで夕飯を買い出しして行かないとね。
→#028:旅先での食事事情に続く