常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

大岡山

2019年01月19日 | 登山

山の楽しみは、四季折々にある。

雪が止んで、晴れ間が見える雪山は最高である。

あらかじめ予定が決められているので、どんな条件で登るか。

それは、運に任せるほかない。朝方、気温が下がって小雪がちらつき

冷たい風が吹いてくる。

登るに従って、青空が見えてきた。新雪の美しさに心を洗われる。

新雪の上に現れるウサギの足跡は、ひとつだけ。雪のなかに目覚めて餌を探して

いる様子である。複数の跡が乱舞する恋の季節のものではない。

空は東の方から晴れてきて、大岡山の北東の峰に朝日が

当たって輝いてきた。


今日は、Oさんから教わったGPSアプリ・ジオグフィカを初使用している。

アプリを起動させ、GPSを作動させると、現在位置の矢印が赤く表示され、軌跡が地図

上に描かれる。ほぼ10分間隔で鳥の鳴き声と、時刻、現在の標高がアナウンスされる。

普段使っているヤマップとどちらがよいか、一長一短。

山頂からの眺望。本来なら、月山や朝日連峰の雪景色が

見えるはずだが、あいにくの雲のなか。それでも、山形盆地の

日に当たって広角で美しい景色をみせてくれている。

車を館山公民館の駐車場に置いて、風間登山口をめざす。

ここから、旧松茸山を経、七曲り峠の鞍部に下り、急坂を登って

大岡山の頂上に至る。積雪は30㌢程度、カンジキも不要だ。

山頂ちかくなって、地元の登山客に行き会う。朝日に光る無垢の山だ。

本日の参加者7名、内女性3名。

登山道には、ところどころに、面白い言葉を書いた看板がある。

少し急な道には「なんだ坂」。「サユリスト」の皆さんへ、と書いて

花を取らないでとの注意書き。

日が高くなるにつれて青空が広がっていく。烏が我々を見つけて

仲間に合図を送るのか、鳴き声を立てて飛んで行く。 

山頂から東側の眺望。面白山、糸岳、小東岳。少し南には

蔵王山が見えるはずだが、まだ雲から顔を出さない。どの山を見ても

もう一度登りたくなる。

帰路は、風間不動を経て南登山口へ降りる。登山道で一部土が露出している

ところがある。靴の滑りが心配であったが、昨年末のソールを張り替えたせいか

快調に下った。今年の山行の、天候に恵まれて1月から楽しいものとなった。

帰りに大野目温泉で汗を流す。


雪の上にかげをおとせる杉木立

そのかげながしわれの来しとき 茂吉

 

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寒波第三弾

2019年01月18日 | 日記

今季、三回目の寒波である。北海道では

暴風雪で、前方がホワイトアウトになって

いるというニュースが相次いで流れてい

る。こちらは、寒波とはいえ、路面にまだ

アスファルトが見えている。こんな気候の

なかでも丹頂鶴はその美しい姿を見せて

いるのだろうか。

人に死し鶴に生れて冴え返る 漱石   

風雪のなか凛として立つ姿、それを人の

生まれ変わりと見て、自分も長寿の鶴に

生まれ変わりたい、との願望を詠んでい

る。こんな句に出会うにつけても、生の哀

れをかみしめる。                

 

寒気は周期をもって降りてくる。計画して

いる山行は、ちょうどその境目あたりにぶ

つかっている。明日は、南からの高気圧

が張り出して、やや寒波が後ろへと下が

る。予報は曇り。大岡山へまた登る。雪

道での山登りは、冬の運動不足を解消し

てくれる。 

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夢の琴

2019年01月16日 | 万葉集

先日の初吟会で箏の演奏があったが、万

葉集には、大友旅人が、夢に出た琴を都

の権勢者である藤原房前に贈ったことが

歌の贈答で知られる。            

言とはぬ木にはありともうるわしき

君が手馴れの琴にしあるべし 大伴旅人

 

旅人の夢枕の現われたのは、琴の化身と

なった娘子である。その娘が言うことに

は、「私は対馬の高山に生えていた桐の

木です。大空の美しい光に浴び、山や川

の陰で遊び暮らしていました。ただ一つ

の心配ごとは、寿命を終えて世に役立つ

こともなく谷間に朽ち果てることでした。

幸いなことに、立派な匠の手で切られ、小

さな琴になりました。とても立派な音を出す

とはできますまいが、徳の高い方の傍に

置かれることを願っています。」

 

旅人が読んだ歌は、この琴の化身である

娘に応えて詠んだものだ。あなたのよう

お方なら、きっと立派な方の膝に置か

れる琴になれますでしょう。夢から覚めた

旅人は、夢を思い浮かべ、この琴を都の

権勢家である藤原房前へ、公の便に託し

て贈り届けた。この時旅人は、太宰帥で

65歳の老境にあった。大伴氏に権勢は、

すでに衰退に向い、旅人は太宰府にあ

って梅の宴を開き、讃酒歌を詠んでいる。

藤原氏は光明子を皇后に立てるべく、

邪魔になる長屋王を失脚させる策略を立

てていたが無力な旅人は、この琴を贈る

ことによって、自らの延命を図ろうとしたの

である。

 

言とはぬ木にもありとも我が背子が

手馴れの御琴地に置かめやも 藤原房前

琴を贈られた房前の返歌である。この歌

の通り、琴を愛でるとともに、大納言の

職を授け、都の官に復せしめた。琴は

国の漢詩にも出てくるが、古来から貴

族の楽しみとして親しまれてきた。 

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平成31年 初吟会

2019年01月15日 | 詩吟

Japanese Koto 春の海/Haru no Umi (Spring Sea) Composer/作曲者 Michio Miyagi/宮城道雄

昨日、恒例となっている山形岳風会の初

吟会が天童温泉滝の湯で開かれた。吟

友は、確実に一つずつ齢を重ね、どこか

元気がなくなっている様子が寂しい。また

いつも見る顔が、一人二人と見えなくなっ

ている。若人には、余り興味が持てない

趣味の世界であってみれば仕方のないこ

とか。それでも久しぶりに顔を合わせた吟

友たちは懐かしい思い出話に笑顔がはじ

け、和服の似合う落ち着いた会となった。


初吟会には、特別新しい趣向はないが、

例年楽しみにしているものの一つが、箏と

尺八の合奏である。今年の演目は宮城道

雄の「春の海」。昭和4年に作曲したもので

箏と尺八の二重奏曲である。瀬戸内海を

旅行した折、電車に乗っていた人の会話

から桃の花の咲く様子や海の様子を想像

して作曲した。来日したフランスのヴァイオ

リニスト、ルネシュメーと尺八部分をヴァイ

オリンに編曲して道雄と合奏し、国際的な

高評価をえることとなった。軽やかな箏の

音に合わされた尺八の響きは、新春にふ

さわしい演出となった。ユーチューブに公

開されている同じ曲を共有させていただ

いている。この曲を聴いて、新春の雰囲気

に浸ってほしい、


初吟会には出し物の一つに、各地区の代

表による独吟が披露されるが、今年は初

めて私が拙い吟だが、「あらたまの 本居

宣長」を披露させていただいた。

 

 

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ダンゴ木

2019年01月13日 | 日記

1月も10日を過ぎると、この地方では小正月

の行事が行われる。色々珍しいものがある

が、なかでもダンゴ木の飾りつけが懐かしい。

その地方によって呼び方も多様である。餅

花と呼ばれることもある。ある地方では12日

か13日になって、雪の積もった山から木を切

り出し、だんごや餅を生らせる。切り出してく

る木はエノキかミズキである。木は茶の間の

中柱の上の方に飾られる。一度、村山市大

久保の蕎麦屋で見たことがあるが、蕎麦を食

べる食卓の方までせり出していて、その大き

さに驚いたものである。

また、木に成らせた餅や団子は、冬に家にい

る田の神に供え、家の人たちがともに食べる

神事ともなっている。今では、木に生らせて

発泡スチロールに着色したダンゴや鯛などだ

が、それでもかつての風習が偲ばれる。農業

は神の助けがなければ、いつ災難で苦境に

陥るか分からない、厳しい生業であった。飽

食の時代になっても、この小正月の行事を見

て、日本人が生きのびてきた過去をしっかり

と心の刻んでおくべきである。

 

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