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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

一年の計

2019年01月02日 | 奥のほそ道

朝方濃霧、日が高くなるにつれて青空が

広がった。元旦は雲が厚く、初日の出も

見ることができなかったが、今日になっ

て西の山々が朝日に輝いた。この年の門

出にふさわしい景観である。       

元日は田毎の日こそ恋しけれ 芭蕉    

芭蕉の元禄2年の歳旦吟である。前年の

姥捨の田毎の里で見た仲秋の名月は、こ

の地の棚田に美しく映し出されていた。

杜国を伴った更科紀行で、姥捨て伝説の

地で見た名月は、芭蕉の新しい句境を開

いた。耕地の少ない山地で、働けなくな

った老人を無駄喰いする者としてして山

に捨ててくる習俗は、この田毎の棚田の

里にも伝わっていた。姥捨山の上に出る

煌々と輝く月を見、ここに捨てられて独

り泣く詠んだ句は

俤やうばひとりなく月の友 芭蕉    

芭蕉の元禄2年の歳旦吟には、その年の

新しい旅の決意が秘められている。月に

替わって、自然の中で日の出も見たいと

の思いを吐露したものだが、旅に生きが

いを求め、古びゆく己の生命に新しい息

吹きをもたらすものと感じていた。新し

い旅、それは奥深い未知の地みちのく、

奥のほそ道の旅である。  

私にとっての一年の計は、今持っている

体力の維持であり、継続する中での発見

である。成すべきことを変えていくほど

に時間は残されていない。見過ごしてき

た価値を注意深く見つけ出す、そのこと

に新しい喜びを見つけていきたい。

 

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