常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

花ひとつ

2019年01月03日 | 日記

正月3日も穏やかである。朝方、細やか

な雪がしんしんと降った。暖房をしてい

る室内には、君子蘭の小さな花芽が頭を

もたげた。3が日が過ぎると、世間では

日常が戻ってくる。仕事始め、年始の挨

拶まわりなどで、また道は車が行きかう

ようになる。少しづつ読み継いできた

『芭蕉庵桃青』は、奥の細道の旅が終わ

った。ひとつひとつメールの交換が楽し

い『村上さんのところ』は残り少ない。

『大和物語』の156段「更科の姨捨」の

伝説を読む。物語は、更科に住んでいた

男がまだ小さいころ両親を亡くし、叔母

に育てられた。親に代って、手の届く世

話して育てた叔母であったが、男の嫁に

疎まれるようになる。叔母の腰が曲がり

まるでふたつ折になったような姿を憎み、

男に山へ捨てるように言いくるめた。し

かたなく男は、お寺で偉いお坊さんの法

会があると嘘をつき、叔母を負ぶって高

い山の奥で、一人では下りて来られない

ような険しい所へ置いて逃げ帰ったきた。

妻から言いくるめられて叔母を捨ててき

たものの、家に帰って自分を育ててくれ

た叔母のことを思うと悲しくていたたれ

ない。夜、眠ることもできなかった。

わが心なぐさめかねつ更科や

をば捨て山に照る月を見て

男はこう歌に詠んで、たまらずにまた山

へ行って、叔母を連れもどしてきたので

あった。このことがあってから、この山

が姨捨山と呼ばれるようになった。

 

コメント
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