常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

四月尽

2023年04月30日 | 日記
百花が咲くなか、四月もまたたく間に終りになった。気温の高低差が大きいためか、身体が季節の変化についていけない。ひ孫の成長も、日の経つのに拍車をかけている。保育園に通うようになり、新しい環境の変化のためか、成長の跡が著しい。ハイハイから、伝い歩きも日に日に活発になっている。ひ孫の成長に元気をもらっているのだが、つい日の経つのを忘れる。

四月逝く百花騒然たる中に 相馬遷子

ベランダのポットにミニトマトの苗を3本植えた。畑に出かけずとも、ベランダからおいしいトマトを採ろうという魂胆だ。昨年、山から採ってきた、山椒の苗が、枝を増やし、柔らかな若芽が茂ってきた。先日、初物のタケノコの煮つけに、葉を添えて香りを楽しんだ。ベランで栽培しているものにバジルがある。ポットに植えて、出てきた葉を、トマトソースの香りづけに重宝。今年はそれに加えてカモミールの苗を買ってきた。来月には花が咲き、収穫してカモミールティーを楽しむ。パセリ、山椒、ミントなど今年はハーブをベランダで作りたい。

立春から数えて八十八夜。立夏がすぐそこまで来ている。今年の春は、24節季の暦の意味がなくなるほどの早い訪れであった。だが、そのなかに、寒気が降りて来る日はなくなっていない。果実の花が早く咲いたところへ、霜が降りて収穫に打撃を受けたというニュースも流れた。八十八夜の別れ霜という言葉もある。畑を作っていたころには、この日を過ぎてから、苗の定植を行っていた。ワラビの次に出る山菜はシオデ。立夏のころ山地で入手することができる。フキ、ネマガリダケ。山の恵みは、一年を通して絶えることはない。山での事故に気をつけながら、春から夏へ、山の恵みも少し取り入れたい。
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花、花、花

2023年04月29日 | 
サクラソウ
スズラン
牡丹

快晴、朝日のなかで咲く花たちがこれほど輝いて見えたことは、長い人生のなかで初めて味わうような気がする。例年であれば、連休後に咲く花たちが、もう咲き始めた。年々、気温が高くなり、花の咲く時期も早まっているのだが、今年はその傾向をさらに強く押しすすめているようだ。根本順吉に『江戸晴雨攷』という本がある。この本は江戸時代の気象を、当時の文人の日記を渉猟して再現したものだ。そのなかの一項に「江戸の生物季節」というのがある。江戸時代の季節の花が、新暦の何月に咲いたかを見ることができる。

3月30日 彼岸桜(東叡寺、山王)枝垂桜(東叡寺、谷中、日暮里)
4月5日  一重桜(山王、小石川、白山社)
4月9日    山吹(大森、蒲田山本園中)
4月12日 桃(隅田川の堤、上野坊中)
4月15日 八重桜(東叡寺、谷中、日暮里)
4月20日 桜草(戸田の原、千住)梨花(生麦村、川崎の先)
5月6日  ツツジキリシマ(根津権現境内)
5月8日 牡丹(深川永代寺、寺島村)カキツバタ(根津権現、寺島村)
5月18日 フジ(亀戸天満宮、茗荷谷伝明寺)

この一覧を見ただけで、江戸の花は今よりもひと月も遅くに咲きだしたことが分かる。北国であるここ山形で、4月中にフジが咲き、ツツジや牡丹、サクラソウ、アヤメが咲いている。江戸でもそうであったが、花はその種によって、順序を決めて咲いていく。今年が異例なのは、一切順序をなくし一斉に咲いたことだ。2日ほど前からカッコウが啼いた。江戸ではホトトギスが立夏の頃に鳴いている。
 
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オキナグサ

2023年04月28日 | 
みはらしの丘、はらっぱ館の近くにオキナグサが咲いている。斎藤茂吉がこよなく愛したオキナグサを、地元の皆に見てもらおうと栽培された。今年は花期が早く、もう終わりに近づいている。

かなしきいろの紅や春ふけて
 白頭翁さける野べを来にけり 茂吉

茂吉の解説では、『おきなぐさ』は即ち白頭翁で、表面に白き繊毛密生し、内面黒きまで深紅の花である。花が過ぎると僧が持つ払子に似た形態になるのを作者はひどく愛している、とある。

牧野富太郎博士にオキナグサの解説がある。「わが国の学者はこの草を漢名の白頭翁としていたが、それはもとより誤りであった。この白頭翁はオキナグサに酷似した別の草で、それは中国、朝鮮に産し、まったくわが日本には見ない」と白頭翁説を否定している。

またオキナグサは、地方によって方言があることを書いている。曰く、シャグマグサ、オチゴバナ、ネコグサ、ダンジョウドノ、ハグマ等など。そのうちにネコグサが万葉集に詠まれていることを紹介している。

芝付の美宇良崎なるねつこ草
 相見ずあらば我れ恋ひめやも(巻14・3508)

写真で見る花は、万葉人が女性を想像することも頷ける。妖艶でたおやか。別名ネコグサが、オキナグサと解する根拠とされている。それほど古い時代から、日本人に愛されたきたオキナグサである。牧野博士は朝ドラ「らんまん」主人公のモデルである。風の強いなかで撮った最新のオキナグサ。払子のような綿毛が花の上に多く見られた。

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癒しの言葉

2023年04月25日 | 日記
清々しい朝の光に、美しいリラの花。とある本のなかに、こんな言葉を見つけた。「老齢は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広がる。」(イングマール・ベルイマン)言いえて妙だ。失われて行く体力を補って余りある、広い視野。若い日にには見えなかった、自然の美しさが、老いたるものも目に深く入り込んで来る。

だんだんと体力を失ってきた妻の喜びは、春の味覚を得て、近隣の人へのわずかなお裾分け。「幸福は分かちあうことでふくらんいく」(ラシーヌ)武者小路実篤にこんな詩がある。

生きよ、生きよ、何処までも生きよ。
死んでも生きよ。
永遠から永遠に向かって輝いてゐる一道の光の内に生きよ。
生命の流れのなかに生きぬけ
それを命じているのだ。

朝日のなかを歩きながら、こんな詩の言葉が静かに心を満たしていく。今朝も、十分な睡眠のおかげで、元気が増していく。
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ミドリニリン草

2023年04月23日 | 登山
この季節、山登りの楽しみは、高山に咲く花を見ることだ。マンサクに始まって、春が深まると咲く花もどんどん種類を変え、懐かしい花たちに対面できる。カタクリが終り、今はニリン草が最盛期である。近年注目されているのがミドリニリン草だ。白い可憐なニリン草のなかに、突然変異のような緑の花のニリン草。クローバーの四つ葉のように、変異して、見つけた人に幸運をもたらすという話が広まっている。この花を求めて、ニリン草の咲く山地を訪れる人が増えているらしい。

上高地徳沢で、「幸せのミドリニリン草」と名付けて、客を呼ぶ花として宣伝された。その後、高尾山、北海道旭川、佐渡など日本全域でこの花の報告が集まっている。宮城県白石の青麻山でもこの花がさくことが知られ、この季節、多くの人が入山している。我が山友会でも19日、この花を求めて、下別当登山口から入山した。30分ほど登山道を歩くと、ニリン草の群落に行きつく。山道のわきはには、白いニリン草が、入山を歓迎するように咲きほこっている。この群落にのなかに、ミドリニリン草を探す。やがて「あった!」という声があちこちで聞こえてくる。

ヤマップの記録にも「見つかりませんでした」という報告も目につく。すれ違う人に聞いても、見ていません、という答えがくるなかで、次々に目にするミドリニリン草。幸運であると同時に、この先なにかほかの幸運にも恵まれるかも知れない。山道はだんだん急傾斜になる。ニリン草の群落が絶えると、ツツジが目についてくる。本日の山行も、花の人気が高く14名の団体になった。白ヤシオ、ムラサキヤシオなど、ツツジの女王とも言える。
山は日に日に、緑が濃くなっていく。青空のもとの春の花々は、生きるよろこびを思いおこさせてくれる。急な山道を1時間と少しで山頂に。目を転じると、蔵王の山々は、白い残雪が美しい。頂上では、強い風が吹きつける。少し下ると、風のない山道。長い列となって弁当。頂上からは、電波塔へ下り、周回コースをやはり1時間。無事に出発の駐車場に着く。
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