常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雲の峰

2016年08月01日 | 雲の名


今日は、周囲の山の上に、様々な形をした雲の峰が現れた。青空を背景にして、湧き上がる雲が険しい峰の形なって現れ、雷や激しい夕立になることも多い。雲の峰は陶淵明の詩に「夏雲奇峰多し」という句から、この名が出た。芭蕉の、「雲の峰いくつ崩れて月の山」という句から、日本人の身近な雲の名になったのではないだろうか。冷たい風が吹き、黒い雲が空全体を覆うようになると、激しい雨の前兆である。最近の豪雨は、経験したことのないような激しいもので、各地に大きな被害が出ている。

雲の峰思ひの丈を競ひをり 福永 耕二

梅雨あけとともに、空の様子が一気に夏モードとなった。連日30℃越えの猛暑が続いている。このように湿気が多くむしむしした暑さを溽暑(じょくしょ)という。机にもたれて、時おり吹いてくる風を頼りに昼寝をするのが、昔の人の習いであり、また消夏でもあった。
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羊雲

2015年08月03日 | 雲の名


きょう、山形の最高気温は36℃と予想され、本当なら3日続きの猛暑日になる。うだるような暑さであるが、空には秋の気配が漂う。5000mの上空に-6℃の寒気が入り、午後からは不安定な気象となりそうだ。「羊雲が現れたら、明日は雨」という諺があるが、確率的には70%当るというから、天気予報並みの確率と言える。

羊雲は秋の雲の代表選手で、俳句では秋の季語になっている。つまり、地上は36℃を超えるような猛暑日が続いていても、上空は秋の空気になりはじめた、ということらしい。この雲を見ると、何故か山口百恵の唄った「いい日旅立ち」の歌詞のフレーズが、メロディとともに思い浮かぶ。

ああ、日本のどこかに
私を待っている人がいる
いい日旅立ち羊雲をさがしに
父が教えてくれた歌を道連れに

羊雲は上空で空気が入れかわっていることを示す。漁師たちはイワシ雲と言った。小さな船に命を託す人にとっては、雲を観察して、天気が変わっていくことを知るのは、きわめて大切なことであった。
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積乱雲

2015年06月23日 | 雲の名


上空に寒気が入り、地表との温度差が40℃を越えると、上昇気流が起き積乱雲ができる。雲の頭は10000mにも達することがある。大部分は水滴の集まりであるが、頭付近は氷の結晶になっている。上昇気流による突風、水滴が落ちてくる豪雨、氷のところが落ちると霰、そして発雷が盛んである。山形も1時間ほど前に、雷が多発して、かなりの落雷あったもようである。写真は真っ黒な雷と雨を降らす去った空の風景だ。これから地上の温度が下がってくるので、発雷の可能性は少なくなったものと思われる。

日本に雨をもたらす梅雨前線はインドで発生する。この時期のインドの天候は不安定である。雨の降り方も気まぐれで、雨期が遅れれば旱魃となり、雨が多いと洪水が起きる。高温が続いて千人単位で人が死ぬ。経済もこの天候で左右されるので、モンスーン・ギャンブルなどというありがたくない言葉が生まれた。
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夏の雲

2014年08月03日 | 雲の名


きょう、山形地方は夕立の予報である。東のそらにかかる積雲は1時現在で発達を続けている。ものの本によれば、各地で呼ばれる積乱雲に、和名がつけられていた。江戸で坂東太郎、大阪で丹波太郎。播磨では岩雲と呼ばれ、九州で比古太郎。江戸では川の名が、九州では山の名が取られているのも面白い。

「坂東太郎」について、幸田露伴は「夏の日などのみゆる恐ろしげなる雲なり。夕立雨の今や来たらんといふやうなる時、天の半を一面に蔽ひて、十万の大兵野を占めたる如く動かすべくもあらぬさまに黒みわたり・・・」と書いている。山形に現れた積乱雲は、水蒸気の供給が少ないのか、上の方が千切れて中空に流れた。

積乱雲は公的な呼び名であるが、これにもいろいろな呼び名がある。大むくむく雲、夕立雲、かなとこ雲、かさほこ雲、太郎雲、いたち雲、雷雲、入道雲、岩雲。などなど、いずれにしてもこの雲が現れてか夕立になるまでの間には、青空と雲の峰が音もなく立ち上がっていく静かな時間がある。

しづかさや湖水の底のくものみね 一茶


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ひつじ雲

2013年09月07日 | 雲の名


秋に現われる高積雲、別名ひつじ雲である。雲は時々刻々と変化する。太陽に横にうろこ雲があると思って散歩していると、集まってひつじ雲になっているという具合である。空を見上げながら、雲を詠んだ歌人に斉藤茂吉がいる。

岩ふみて吾立つやまの火の山に雲せまりくる五百つ白雲

小旗ぐも大旗雲のなびかひに今し八尺の日は入らむとす

いなびかりふくめる雲のたたずまひ物ほしにのぼりつくづくと見つ

(赤光 雲)

明治40年に、茂吉の師にあたる伊藤左千夫が、新聞に「雲」と題する和歌を募ったのに応じて14首の「雲」を詠んでいる。やはり、いつも見ている雲とは違った瞬間を捉えようしたのであろう。いろいろの場合を求めて、長い時間をかけて大変苦労して詠んだと述懐している。伊藤左千夫から誉められ、励ましも受けた。

二葉亭四迷が日本で初めて言文一致体の小説『浮雲』を書いたのは、明治20年1月のことである。四迷(本名長谷川)はこの年19歳であった。土蔵のなかに引きこもり、暗い片隅にテーブルを置き、箱の上に蒲団を置いて椅子にして、この小説に取り組んだ。ツルゲーネフの『父と子』の翻訳を参考にし、坪内逍遥に助言を求めた。
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