常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

2018年山行回顧

2019年01月26日 | 登山

山友会の新年会に向けて、昨年一年間の山行記録を表にまとめた。山行の記憶が走馬灯のように自分のなかで駆け巡っている。実に楽しいひと時であった。雪の品倉山、石見堂岳のイワウチワ、早池峰山のウスユキソウ。そして笙ヶ岳から見る鳥海山、瑞牆山の岩峰、憧れの槍ヶ岳。懐かしい尾瀬、紅葉川渓谷の紅葉と書きだすときりがない。ひとつの表のなかに、山の四季がはっきりと移ろっていく。その移ろいは、雪のなかに新緑を、緑のなかに秋を、ひとつの季節に次の季節をはい胎しながら、微妙な変化をみせていく。かけがえのない日本ならではの季節の移ろいである。

徒然草で兼好法師は書いている。「春はやがて夏の気を催し、夏より既に秋は通ひ、秋は即ち寒くなり、十月は小春の天気、草も青くなり、梅も蕾みぬ。木の葉の落つるも、先ず落ちて芽ぐむにあらず、下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり。迎ふる気、下に設けたる故に、待ちとる序甚だ早し。」この繊細な自然の移ろいを、山中で間近に見届けることのできる幸せ。それが、すなわち山登りの楽しみである。今年、山の会で計画したした山行は36回。そのうち私が参加したものは、28回にのぼった。

日本百名山は7座、山形百名山は15座。他に福島、宮城、岩手、秋田県の山にも行っている。自身の体力を振り返れば、夏の北アルプス以後、強くなったような気がする。重点的に脚の筋トレが効果を生んだか。しかし、過去に登った山も試みているが、体内の記憶とは完全に異なっている。10年前殆ど感じていなかった疲労が、去年の山行では、「おや、こんな厳しかったか」と感じることもしばしばである。今の体力を維持することが、今年の山行を楽しいものしてくれる。

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春遠からじ

2019年01月25日 | 日記

大寒も一週間を過ぎれば、

節分が視野に入ってくる。居座っている

寒気も、日の光も時に春を予感させる。

日没が日に日に長くなり、朝の目ざまめ

も、少しだけ早くなっている。

 

冬来たりなば春遠からじ。

この季節、誰もが想起するこの詩句は

イギリスの詩人シェリーが、イタリアの

激しく吹く西風に寄せて謳ったものだ。

 

すっぽりと列島をおおい尽くす雪雲の

なかで、人々は春への思いを強くする。

遠野の里には、里の子どもたちが

岡へ出て、雪の上で橇遊びする。小正月の

ころ、夜雪女が出るから、早く家へ

帰れと戒められた。

雪国では、雪の上で遊びながらじっと

春を待った。

 

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徒然草

2019年01月24日 | 日記

大寒に入って雨が降ると

いう日があり、今日は雪になった。

雪が降る日。何故か心楽しい気がする。

小さな雪の粒は天から落ちて来る

季節の便り。

 

雪の日には、本を読むという楽しみが

ある。選ぶ本も思い切って古典。

兼好法師の『徒然草』を手にする。

 

つれづれなるままに、日ぐらし、

硯にむかひて心にうつゆく

よしなし事を、そこはかとなく

書きつくれば、

あやしうこそものぐるほしけれ。

 

小林秀雄は「ものぐるほしけれ」

という心境について、

書くことで眼がさえかえって、

いよいよ物が見え過ぎ、物が分かり

過ぎる辛さであるとした。

 

兼好法師はその見え過ぎる眼で

己の死を見つめている。

[我等が生死の到来、ただ今

にもあらん。」

このことを忘れて日を暮らすことは

愚かなことである、と書く。

 

西洋にもメメントモリという

ことわざがある。

古典は深いところで生命の本質を

教えてくれる。雪の日の一日を

掌中の古典のページを繰る

ことで過ごすのも楽しみのひとつだ。

 

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暮るる山の雪

2019年01月22日 | 詩吟

室内には、クンシランの花が咲いてきたが

まだまだ寒中。山にはこれからも雪が降り積もる。

蔵王の樹氷は、これから見ごろになる。

そんな季節に詩吟教室で教わった吟題は正徹の「暮るる山の雪」

 

渡りかね雲も夕をなほたどる

跡なき雪の峯のかけはし

正徹


先日、大岡山で雪景色を楽しんできたばかりだったので

脳裏の景色と、歌に詠まれている景色が

重なり、深い感動を覚えた。

歌意を記すと、「白一色の無人の世界。そこに雲だけが、

足跡のない雪の美しさを踏みかねて、迷うように浮き、かす

かに動いている。」

正徹とはどのような歌人か、気になるところだ。

調べて見ると、室町時代の歌僧で、生年1381年~1459年。

歌を冷泉為尹、今川了俊に学び、藤原定家をいたく尊崇した。

和歌ばかりでなく、古典学者としても高名で将軍足利義政に

「源氏物語」の講義している。正徹による「徒然草」の写本は

現存する最古の写本として名高い。


詩吟は本来漢詩の節をつけて吟じるものだが、

近年、和歌、俳句なども吟じられるようになった。

漢詩ばかりでなく日本の詩歌を取り上げて、詩吟愛好家の

増加を期待したものだ。

 

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こぞの雪いまいずこ

2019年01月21日 | 日記

はらはらと庭木に積もる雪に

思わず声を出しそうな美しさがある。こぞの雪とは

去年降った雪のことだが、白い雪に美人の容姿を重ねた詩が

フランスの中世の詩人ヴィヨンにある。題して遺言詩集。

 

                   言ってくれ いまどこに、どの国にいる。

                 フローラ美しきローマの遊女。

                 アルキビアーダ、さらにはタイース、

                 同じ血につながったその従妹。

                 あるいはエコーの上 沼のおもてに

                 物音がすれば語り返して、

                 人間の及びもつかぬ美貌だったが 

                 されど去年の雪はどこは行った? 


雪の日は家にいて、小林秀雄の『古典と伝統について』をゆっくりと。

テレビでは藤井7段の将棋とテニスの全豪オープン。

大阪なおみ1セットダウン、頑張って! 

 

 

コメント (2)
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