カルタと言えば、百人一首、いろはカルタ
など、戦後の子どもたちの遊びの定番であ
った。最近は、家庭でカルタ遊びをする光
景は見ることがなくなった。競技カルタや
学校行事で行われる様子が、テレビの映像
で見るくらいだ。
招かれて隣に更けし歌留多哉 漱石
漱石は和歌は作らなかったが、百人一首に
は興味を惹かれたらしく、歌を材に取った
句を読んでいる。「東風や吹く待つとし聞
かば今帰りこん」などだ。隣に招かれて、
夜更けまで遊んだのは、百人一首であった
ようだ。それとは別にいろはカルタでも遊
んだことがあった。娘の筆子さんの話によ
ると「屁をひって尻つぼめ」「頭かくして
尻かくさず」の札が何故か好きで、この2
枚を前に並べ、誰にも取らせないと威張っ
ていた、という。子供たちが作戦を立てて、
その札を取ったところ、その悔しがること
は半端でなかったという。明治のその時代
も、一家で遊ぶ定番はカルタであったよう
だ。