常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

二月尽

2013年02月28日 | 日記


二月も今日で終わる。思えば新年を迎えてからこの日まで、時間の経過の早さに驚く。この冬は雪の少ない冬であったと思っていたが、月末になって思いもよらない大雪にも見まわれた。雪掃きの作業を久しぶりにした。陽がさすと、見る見る雪が融けさっていく。太陽のエネルギーの大きさには、人力の虚しさを思い知らされる。

雪原の靄に日が融け二月尽 相馬 遷子

アベノミクスなる造語が踊り、円安が進んだ。不景気のなかで望んでいた円安だが、ガソリンや輸入食品の値上がりが目につく。デフレを脱却しなければという一方で、生活費への圧迫が喧伝されている。原発に頼り過ぎたエネルギー政策の見直しは、ここへ来て怪しくなっている。万人が納得するような国の舵取りは不可能であろう。だが、一番大切なものを守ることを基本に、国のあり方を変えていくことは避けては通れない。

松本哉『永井荷風ひとり暮し』を読む。父の遺産と著作の印税で得た現金を握って、終戦を迎えた荷風であったが、その暮らしぶりは異様なものに写る。戦災で焼け出された荷風は、一時知人の家に住むが、その家の一室で自炊をしている。飯盒で米を炊き、その上に野菜の
細切れを放り込んで味をつけた雑炊のようなものであった。

浅草への出遊は、荷風の日課であった。起きるのが遅かった荷風が浅草に着くのは昼である。アリゾナで昼飯を食い、親しくなったストリップ小屋の楽屋で踊り子たちに囲まれながら、幕間の寸劇の台本を書き、興にのって寸劇に出演さえしている。ひとり暮しの老人が、買い物袋を携え、東京の街をひょうひょうと歩く姿は孤独の影を色濃く反映したものであった。

最後は浅草への出遊もかなわず、市川の自宅付近の食堂大黒屋でカツ丼と清酒1合を飲んで帰った夜、気分が悪くなって、胃から血を吐き、息ができなくなって急逝した。掃除の小母さんが、死んだ荷風を見つけたが、うつ伏せになっていたが、首にマフラーをかけ、背広を着たままであった。その死に様は、一人暮らしの老人の最後を象徴している。

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ミツバ

2013年02月27日 | 日記


先月、藤枝のs君から頂いた水耕栽培のミツバの根を、グラスの水に浸けておいたが、そこから若芽が伸び始めた。黄緑の小さくかわいい芽である。根の持つ生命力を間近で見せて貰った。本体はとっくに刈りとらて根だけが残ったのに、その刈り取られた部分に芽が顔を見せた。

花を育てるのはとはまた違って、ミツバの根が呼吸しているのを感じる。同じころ、スーパーで買い求めた豆苗も、刈り取ったあとは、また苗が出ますとあった。こちらも、緑の苗が順調に育っている。

現在の気温2℃、曇り。昨日までの冷気は、一転して暖かく感じる。今日は3℃まで上昇の見込み。明日はさらに上昇した雨の予報である。一雨ごとに春の足跡が近づいてくる。

春寒と言葉交せば人親し  星野 立子






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クンシラン

2013年02月26日 | 日記


雪の峠を越して、おだやかな気候になる。実家の義母が湯の里へショートステイに出かける。この3日間は施設の管理に任せられるので安心だ。わが家の室内には、クンシランが大きな花を咲かせ始めた。未開の蕾が5,6個あるから、満開になると見事な花になるだろう。

窓の外には雪があり、森の木には今も凍てついた氷雪が着いている。そんな季節に室内で花を見ることは、楽しいことだ。鉢のなかで花を育てるののは、ペットを飼う気分に通じている。花を観賞するというより、花ととも生きるという気分である。

雪のなかで森の木を見るときも、その冬芽に生きている木を感じる。こんな感覚が日本に伝わっている、自然と生きる、あるいは自然に生かされているということなのかも知れない。

クンシランの生命力は旺盛である。根の先から新しい株を次々に生み出す。それゆえ、植えつける鉢は大型になる。3、4月に花をつけるが、株分けした鉢は真夏に花を咲かせることもある。根は空気を好み、鉢の上に白く跳ね出してくる。この鉢は以前親しくしていたYさんから頂いたものだ。

君子蘭の鉢を抱へる力なし 阿部みどり女
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大雪続報

2013年02月25日 | 日記


昨日の大雪から一夜が明けると、青空のもとベランダから今年一番の雪景色が広がっていた。新聞には山形気象台が発表した各地の積雪量が載っている。山形市64㎝、新庄194cm、米沢153cm、金山町220cm、真室川274cm(いずれも24日午後5時現在)。

新幹線のつばさ144号が、24日午後3時30分ころ、米沢市大沢駅の手前で立ち往生し、乗客420人は、3時間にわたって車内に足止めされた。午後7時過ぎに米沢駅に引き返したという。青森の八甲田山系の酸ヶ湯では、過去最も多い529cmの積雪を記録しているという。



ベランダから、国道112線の様子を撮った。市内へ向かう上りのルートで渋滞が起きていた。夜の雪は小降りになったと見えて、また除雪車の活躍で、さほどの影響は出ていない。だが駐車場の車には、雪が積もり、車を出すのに15分ほどの時間を要した。



公園の雪はいっぱいになっている。木立の間から青空が覗き、とてもきれいな風景だ。ここに至る道もきれい除雪されて、雪は踏み固まっている。晴れ間が出て雪は峠を越えたというが、午後3時には再び雪雲が広がり、また降ってきている。

天にても地にても雪の余るらし 相生垣瓜人



千歳山は松の上に雪を頂いた景色が端正で美しい。わずか500mほどの山で、街に近いせいもあって、この山に登るのを日課にしている人が大勢いる。だが、冬季は山道の雪が氷りつくと注意しなけれならない。転倒して、骨折などの事故が頻発する。きのうからの大雪で、ここを登る人も絶えたのではないか。


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大雪

2013年02月24日 | 日記


朝から雪が降り続く。自宅前の駐車場で20cmぐらいの積雪がある。その後雪は止まず、今にいたるも降り止む様子もない。妻の実家の雪掃きに行って来る。圧雪の道は、降る雪でホワイトアウトの状態になり危険だ。警察の車両を見かける。多分スリップ事故が多発しているのではと、想像する。予報では明日も雪ということなので、積雪は平地でも増えそうである。

今朝の新聞では、昨日の山形の積雪が50㎝を記録したため豪雪対策本部が設置されたとある。昨年に比べて雪が少ないと思っていたが、ここにきて大雪になった。家の前で雪を片付ける姿があちこちにある。隣のコンビニでは、除雪のトラクターが駆動した。3時間ほどかかっただろうか。夕方には除雪したあとに、新雪が10cmほども積もっている。

掻き上げし雪の上なほ雪が降る 対馬千代子
コメント (2)
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