常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

しら魚

2019年01月28日 | 芭蕉

明ぼのやしら魚しろきこと一寸 芭蕉 

白魚を初めて食べたのは、50年も前

秋田へ旅した時で、男鹿の宿で踊り食い

というものが出た。目が大きく見え、

勢いよく跳ねるのを見て食べることが

できなかった。今思えば惜しいことだ。

 

芭蕉がこの句を詠んだのは、秋10月

桑名の浜で舟遊びをして、白魚を

掬ってとった時のことである。

白魚の成魚は二寸、季語は春だが、

一寸と詠むことで、時期が秋であること

を示している。つまり白魚がまだ成魚に

なる前の命のはかなさが主眼である。


芭蕉は「野ざらし紀行」の旅で帰郷し

たのは、亡くなった母の追善のためで

あった。老いた母の白髪を思い、その

命のはかなさと小さな白魚の命を重ねた

ところに句の意味がある。

 

コメント (2)
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