常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

体幹の話

2021年12月30日 | 日記
高齢化して転倒するのは体幹が弱っているからだ、という話をよく聞く。体幹とは何か。広辞苑を引いてても体幹なる語彙は出てこない。ネットを検索してみるとこの言葉がよく使われるようになったのは、ここ10年くらいのことらしい。体の幹と書くから、意味するところは胴体である。さらに詳しく見ると、この胴体は層をなした筋肉で被われている。外側に外腹斜筋、その下に腹直筋、その下には内腹斜筋、そして一番奥に腹横筋。奥の腹横筋はインナーマッスルと言われる。

体幹を鍛えるというのは、このインナーマッスルを鍛えることでもある。自分が使っているスマートウォッチに呼吸エクササイズというのがある。スマホの絵を見ながら複式呼吸を3分間行うものだ。実はこのエクササイズがインナーマッスルを鍛える基本となる。空気を深く吸い込んでお腹を膨らませ、吐くときは息を全部吐ききるようにお腹を凹ませる。詩吟や太極拳、ヨガなどでもこの呼吸法が推奨される。横隔膜や骨盤底筋などのインナーマッスルを鍛えるができる。この基本に組み合わせてストレッチと体幹トレーニングを毎日5分行うことで体幹が鍛えられる。

正しい姿勢。日常の、見た目にも美しい姿勢が体幹を鍛える。顎を軽く引いて立つ。この時、耳、肩、股関節、膝、くるぶしが一直線になっている。この正しい姿勢を保つと腹に力が入り、体感が自然に鍛えられる。今年もあと数時間を残すのみ。ここに到達できたことは感慨深い。書店で見つけた木場克己『体幹の話』に魅せられた。大晦日は買い出しが忙しい。細かなものを買い忘れて近所の店に何度も行くことになった。最後の日の歩数カウンターも1万歩を越えた。本に書いてある体幹トレーニングの実行してみる。初歩の第一歩からきつい。来年の目指すものが見つかった気がする。初歩からの体幹トレーニング。正しい姿勢。いい姿勢の歩き方。80歳を越えた身体は、どこまで筋肉の強さを取り戻せるか。新しい年の大きな課題だ。
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大切な言葉

2021年12月29日 | 読書
80歳を過ぎて、本を読んで何の益になるか。時々感じる疑問である。いつか同級生が言ったの言葉が衝撃だった。「本は読んだ先から忘れていく。どの本も内容はほとんど覚えていない。」昔、読んだ本を取り出して眺めていると、こんなことが書いてあったんだ、と驚くこともしばしばである。身に覚えがあるために、友人の言葉に衝撃を受けたのであろう。新藤兼人のこんな言葉が励ましになる。

「わたしを孤独から救いだしてくれるのは一冊の本だ。新しい本をひらくのはヒミツの扉をひらく気がする。古い本もまたいい。そのときどきの生きた時代に出会える。そのむかし、わたしの心をゆり動かしたものが、いまどんな姿をしているだろうか、別れた恋人に出会うような気持ちである。」(新藤兼人『老人読書日記』)

1941年と言えば、自分が生まれた年だが、この年の12月27日博物学の巨人、南方熊楠が亡くなった日である。夏目漱石や正岡子規らと同期で大学予備門に入るが、体操不要を主張し授業を欠席したため退学となった。写書や採集を基本とする学問を続け、アメリカ、イギリスの留学を終えて博物学の大家となった。

「東京のみに書庫や図書館あって、地方には何もなきのみならず、中央に集権して田舎ものをおどかさんと、万事、田舎を枯らし、市部を肥やす風、学問にまで行わるるを見、大いにこれを忌む。」(南方熊楠「友人への手紙」)

昨日、散歩のおり書店に寄り、エマニュエル・トッド『パンデミック以後』を買う。この人の言説には、独特の視点があり、世界の見方がある。パンデミックが世界に危機をもたらしたのではなく、世界の危機的状況を露呈させた、という貴重な指摘がある。
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歩く人

2021年12月28日 | 日記
降り続く雪は4日目に入った。近所の公園にも、雪が深くては入れなくなった。ここへ越して来たのは昭和55年。その年のクリスマスイブが豪雪に見舞われた。昼近くに降り出した雪が、ずんずん積って、午後には自動車が走れなくなり、早めに帰宅したが、20分ほどで家に着くバスが2時間もかかった。雪のなかで動かなくなった車を乗り捨てる人が続出して交通はマヒした。その一日の降雪量は、山形市内で1mを越えた。それに比べれば、まだ交通がマヒするほどの積雪ではない。市内の積雪は今日の11時現在で40㎝だ。

  • 1. 青森県 酸ケ湯243cm
  • 2. 福島県 桧枝岐150cm
  • 3. 福島県 只見146cm
  • 4. 群馬県 藤原145cm
  • 5. 山形県 肘折133cm
現在の降雪量のランキングである。5位までに北海道の豪雪地が姿を消し、福島の会津や群馬の山沿いにまとまった雪が降ったことを示している。酸ヶ湯は不動の首位だ。どんな気圧配置になっても、ここは逃さずに降るらしい。冬、日本海に面した地方は、海を上を渡る風が湿気を含み、列島に聳える山までに雪を降らせる。居座る寒気は尋常ではない。中国のウィグル地方で-46℃を記録、羊の群れを率いていた牧童が4人寒気に気を失い、羊も行方不明という。その後、この4人は救出、羊も無事に保護された。

雪は止まないが、気温は上がってきたようだ。外に出てもそれほどの寒気は感じない。歩く人は珍しいのか、歩いていると不思議そうに、「散歩ですか?」と聞かれる。雪のなかの歩きは、足の力を要するし、凍結などがあると転倒の危険もある。まだ誰も歩いていない裏道を歩くのが好きだ。同じ距離でも、スマホの歩数計は2割ほどアップしている。雪が降ってもウォーキングを続けることに意義がある。

「読み、歩き、書いた」

『日本百名山』を書いた深田久弥の墓は、石川県大聖町の本光寺にあるその側面に彫られた3句だ。生涯読み続けたスタンダールの「ミラノ人、生き、書き、愛した」に因んだものだ。深田久弥は登山を愛したが、山に限らず、どこでも歩く人であった。郷里から見える白山を眺めながら歩くのを好んだ。
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雪の別れ

2021年12月26日 | 源氏物語
天気jp.を開くと、今日現在の積雪量ランキングがある。
  • 1. 青森県 酸ケ湯198cm
  • 2. 道北 幌加内137cm
  • 3. 道北 朱鞠内125cm
  • 4. 山形県 肘折121cm
  • 5. 道北 幌糠110cm
生れた北海道と住み馴れた山形の肘折の雪は、その中に身を置いた経験がある。北海道の印象は、雪の深さもさることながら、気温の低さがそれに加わる。朱鞠内は深川から、ローカル線で山手に入る、人造湖のある地だが、夏湖畔でキャンプをし同級生と泊まった記憶がある。食材を持って、焚火でカレーライスを作った。友達と一緒であったが、煮炊きをしたのは人生最初の経験であった。この季節に、雪の便りが届いて、懐かしい記憶がよみがえる。

肘折温泉は20年ほど前、2家族で正月を3泊するのが恒例であった。県内で一番、日本の豪雪期でも3本の指に入る雪の温泉は格別であった。自炊に毛の生えたような食事でも、上げ膳据え膳が妻たちの喜びであった。夜が明ける前から除雪の音に目が覚め、一番風呂のついでに川が雪に埋もれながら流れる様子はここでなければ見れない雪景色であった。足跡のない川辺の雪の積もった岸に足跡をつけて歩くのは格別の楽しみであった。

秘境の雪は神秘的で幻想的だ。源氏物語で別れの悲しい場面には雪景色が背景として描かれる。明石の君は、源氏との間に生れた姫君の立后への道が開けるよう、正妻の紫の上の養子とすることに同意して、悲しい別れの場面が訪れる。

「雪、霰がちに、心細さまさりて、あやしくさまざまにもの思ふべかかりける身かなとうち嘆きて、常よりもこの君を撫でつくろひつつ見ゐたり。雪かきくらし降りつもる朝、来し方行く末のこと残らず思ひつづけて、例はことに端近なる出でゐなどもせぬを、汀の氷など見やりて、白き衣どものなよよかなるあまた着て、ながめゐたる様体、頭つき、後手など、限りなき人と聞こゆともかうこそはおはすらめと人々も見ゆ」(源氏物語巻4・薄雲)

雪のなかで白い着物の萎えたのを重ね着して、もの思いに沈んでいる明石の君の上品で美しい様子は、この世のものとも思えない。涙ながらに読んだ歌

雪深み深山の道は晴れずともなほふみ通へ跡絶えずして
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牛乳とりんご

2021年12月25日 | 日記
一度降った雪が溶けて芸工大のキャンパスの芝生がたおやかな曲線を見せている。草紅葉を過ぎても、枯芝の色は心を落ち着かせるやさしい色だ。年の瀬になって二つの食品に注目している。一つは牛乳。外食が減って、学校の給食がなくなる年末に余り、廃棄の危機にあるという。岸田首相が飲むことを呼びかけ、小池都知事はコップの牛乳を飲んでみせた。カルシウムや脂肪、たんぱく質を含んだ食品を廃棄するのではもったいない。ウォーキングの後の水がわり、就寝前のホットミルク。身体にいい食習慣がひとつ増えた。

もう一つはリンゴ。最近はじめたアマゾンのネットショッピングがすごく便利だ。東根の産直まで行って求めていた産直リンゴが、クリックひとつで配達される。贈答用の高価なものを選ばず、家庭用のサンフジがいい。この時期は密が詰まって、甘みも上々。10㌔を求めた。アメリカの栄養学の第一人者ジーン・カーパーの『食べるクスリ』にリンゴが取り上げられている。

ベッドに入る前にリンゴ一個を食べれば
医者はパンを乞うようになる (古いうた)

この本によるとリンゴの第一の効用は血中コレステロール値を下げ、心臓を守ってくれること。第二には血圧を下げ、血糖値を安定させる。そして第三はガンの発生を防ぐカフェー酸やクロロゲン酸が多く含まれている。この時期子どもの頃に食べたリンゴは「雪の下」と呼ばれ、冬の間のビタミンを補給する食べものであった。この品種が改良されて今ではおいしいフジになった。青森や岩手産がネットの主流だが、山形産も美味しさでは負けていない。山形の果樹を応援する意味でも、求めるのは山形産。それが、クスリの効用を持つとなれば、毎日1個、いや2個食べても、この冬はビタミン不足にならずに春を迎えられる。
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