希望する釉の材料の調合比率が導き出されたら、いよいよ材料を混ぜ合わせて、釉を作る事に
なります。釉の材料で注意する事は、水に溶けるアルカリ類(可溶性塩類)は取り除く事です。
市販されている物では、除去されていますが、ご自分で作った灰等は、何度も水洗いする必要が
あります。 水に溶けるアルカリ類は、釉に悪い影響を与えます。
1) 釉の調整には以下の用具が必要です。
① 秤(はかり): 量る重量によって秤の種類と精度が違います。
) Kg単位で量る場合。 1~2Kgの範囲内の秤では、最小で50g単位で計る事が出来ます
勿論、3~4Kg程度の秤では、100g単位と成るでしょう。
一般家庭で料理で使うバネ秤で十分です。
) 100gまで量る秤。上皿天秤が一般的です。
左右に皿があり一方の皿に必要な重さの分銅を載せ、他方に材料を載せ左右の重みが
一定に成る様に(左右の皿の高さが一定に成るまで)材料を乗せてゆきます。
陶芸で良く使われる秤で最小でも0.01g程度は測れます。
) 化学天秤で量る。 薬剤の調合などで使われる精度良い秤で少量を量るのに適します。
天秤秤と電子秤があります。但し、高価な秤ですので、ここまでの精度は不要と思われます
電子秤で0.1g程度まで量れれば十分です。
② 容器:
) 複数の釉の原料を混ぜ合わせる為の器で、プラスチックや金製のボール等を使います。
) もう一つは、上記器で混ぜ合わせて作った釉を保存する容器(バケツ等)です。
③ メッシュ(篩、ふるい)100~80番: 番号の大きい物ほど、網目が細かくなります。
メッシュに通す事により、釉の「ダマ」(かたまり)を擂り潰します。
④ 水とコップ、攪拌棒(又はゴムヘラ)。
⑤ 乳鉢、ポットミル。
⑥ 沈殿防止剤、化学糊(CMC)など。
2) 材料を混ぜ合わせる。
① 各々の材料を秤で計量する。
② 全ての材料を器(ボール等)に入れ水を注ぎます。
水の量は、材料の合計が1Kg程度であれば、800cc程度です。
水の量はやや少なめですが、施釉する際濃い目であれば、水を追加します。
③ 原料を手(又は攪拌棒)で良く掻き混ぜます。その際、塊があれば手で潰します。
・ ポットミルが有る場合には、ポットミルに材料と水を入れ、擦り潰しなす。
④ バケツの上にメッシュ(篩)を載せ、攪拌した材料を流し込み、手やゴムヘラでこすりながら
篩を通します。(場合によっては二度通します。)
・ メッシュは高価な物で、無い場合には、乳鉢を用い「ダマ」を潰したり、粒子を細かくする事も
出来ます。尚、粉末状態で篩(ふるい)に掛ける事もありますが、水を入れた状態の方が
良い結果が出ます。
3) 原料を擦り潰す際の注意点。
① 擦る事の利点。
粒子の細かさを揃え、各材料を均一に混合する事で、釉の熔融温度範囲を広げ、表面張力を
調整し、釉肌を安定させ、更に色釉の発色も安定化させる働きがありますので、一般的には
良く擂る事が重要で、以下の利点があります。
) 微細な粒子の為、釉が浮遊し易く沈殿し難いです。
) 各材料と完全に化学反応を起こし、均一に熔融します。
) 釉が安定し、釉肌も美しくなります。
② 擦が不十分な場合の問題点。
) 粒子が荒い為、直ぐに沈殿し易くなります。
) 粗い粒子では、十分に均等に熔融せず、釉肌に「ザラツキ」が残り易いです。
) ピンホ-ルや、貫入が入り易くなります。
③ 擦り過ぎた場合の問題点。
) 表面張力が強くなり、釉の縮れ(ちぢれ)現象を起こし易いです。
) 細かい粒子は水分を多く含み易く(水和と言う)、施釉時の乾きを遅くします。
4) 釉の添加物。
以下次回に続きます。
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