わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話45 自分で釉を作る14 ゼーゲル式5(計算2)

2013-09-24 21:30:41 | 新釉(薬)の話

5) 2軸座標のある一点のゼーゲル式を求める方法。

   ゼーゲル式は RO・ n Al2O3 ・ m SiO2 で表わされます。

   即ち、ROが1モルに対し、 Al2O3 が nモル、 SiO2が mモルです。

   2軸座標の一点を指定すれば、n、mの数値が自動的に決まります。

   但し良い釉を作るとすれば、 0.1 < n < 0.6 、 1 < m < 6 の範囲内にある事です。

    尚、Al2O3 の1モルは102gで(2x27+3x16)、SiO2の1モルは 60.1gです。

  ① 釉の材料を選ぶ。 

    一般的に使用される材料は、正長石(カリ長石、福島長石)、珪石、それに、媒熔剤として、

    石灰、酸化亜鉛(亜鉛華)、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バリウム等です。

    尚、媒熔剤として、3種類以上を選ぶとより効果的です。

  ② 計算は長石の割合から取り掛かると、都合が良いです。

    基本的には、どの材料から取り掛かって良いのですが、長石はアルミナ成分、シリカ成分の他

    媒熔剤のカリを含む為、調合時に他に影響を与えます。そこで他に影響を与える物質を先に

    決る事は、二重手間を省く事になります。

   ) 正(カリ)長石は次の様な化合物(化学式)です。  K2O・Al2O3・6SiO2。 

       長石の1モルは556.8gで、内訳はK2O=94.2g、Al2O3=102g、6SiO2=

       360.6gです。即ち長石556.8g中に、Al2O3が1モル(102g)ある事になります。

     ・ nモルの、Al2O3を取る為には、長石がnX556.8g必要に成ります。

     ・ 尚、ソ-ダ長石の化学式は、Na20・Al2O3・6SiO2 1モルの重量524.5gです。

   ) SiO2の計算。 二酸化珪素は珪石からとります。珪石はアルミナやアルカリ類(媒熔剤)

       を含まず。100%のシリカ(SiO2)と見て良いでしょう。

       それ故、必要量はmx60.1gです。但し、上記計算より、長石からnX360.8gを得て

       いますので、追加する量はその差 mx60.1ーnx360.8gとなります。

   ) 媒熔剤1モルの計算。長石よりカリ成分を得ています。その量は、nx94.2gで、他から足す

      必要はありません。媒熔剤は3種は必要なので、便宜上CaCO3(炭酸カルシウム)とZnO

      (亜鉛華)を使う事にします。カリ成分はnモルですので、他の成分は1-nモルとなります。      

     a) 石灰石の計算。石灰石はCaCO3ですが、CaOとCO2の化合物と見る事もできます。

       即ち石灰石の1モルは、100.1gで、CaOの1モルが56gと CO2の1モルが44.1gの

       合計になります。 CaOの必要量をeモルとすれば重量は、ex56gとなりますが、

       石灰石ではex100.1g加える事になります。 但し e<1-nで無ければ成りません。

     b) ZnOの計算。 必要なモル数は (1-n)-e と成ります。

       ZnOの1モルは81.4gですので、必要量は(1-n-e)x81.4gとなります。

     c) 以上まとめると、次の値となります。

       正長石: nx556.8g、 珪石: mx60.1ーnx360.8g、

       媒熔剤: KaO= nモル: 長石に含まれている為追加不要。

             CaO=eモル; 石灰石でex100.1g 

             ZnO=(1-n-e)モル: 亜鉛華で(1-n-e)x81.4g

6) 既存の釉の配合例(重量比)から、その配合例のゼーゲル式を求める。

以下次回に続きます。        

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