わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話36 自分で釉を作る5 三角座標1

2013-09-11 21:34:19 | 新釉(薬)の話

前回までに釉の三要素に付いて述べましたが、これらの原料を使って釉を作る際、混合比率によって

釉に大きな違いが出ます。

1) 三角座標とは。

   混合の比率によって、透明釉や失透釉(乳濁、マット)や、釉の熔ける温度に差が出ます。

   この三要素をどの様な割合で混合すると、どの様な釉に成るかを確かめる方法が三角座標を

   使う方法です。尚三要素とは、ガラス質を作るシリカ成分(二酸化物、酸性元素)と、釉を熔け

   易くするアルカリ類(媒熔剤、一酸化物、RO又はR2O)、 釉を安定化するアルミナ類(三酸化物

   中性元素とも言います)です。

  ① 釉の原料を選ぶ。

    上記三要素は純粋の物ではなく、これらの元素を含む複合物を使う事に成ります。

    例えば、シリカ成分には珪石を使い、アルカリ類には石灰(カルシウム)や酸化亜鉛(亜鉛華)

    等を、アルミナ成分とシリカ成分には長石を使います。

  ② 三角座標を作る。

   ) 正三角形を描き、頂点をAとし、底辺左側をB、右側をCとします。

   ) 頂点Aには長石を、Bにはアルカリ類を、Cには珪石とします。

      頂点Aは、長石100%であり、珪石0%を表します。同様にして頂点Bはアルカリ類 

      100%で、長石0%を表し、頂点Cは珪石100%で、アルカリ類0%を表す座標に成ります

   ) 三辺を10等分し各辺に対して平行線を引くと、55個の小さな三角形が描けます。

      必要な事は三本の線が交差した部分です。即ち小さな三角形の頂点部分66個です。

   ) この交点部分は三要素の配合割合を示し、三要素の合計が100%になる様に成って

      います。但し、その割合が重量比、又は容積比と成りますが、一般的には重量比を使います

      例えば、作る釉を100gとすれば、最小単位は10gとなります。(10等分してある為)

      尚、灰釉(長石、わら灰、土灰を使用)の場合、容積比で調合する事もあります。

  ③ 釉の調合。

     上記三角座標を用いて調合しますが、最初から熔けないと予想される調合は試す必要は

     有りません。一般的には以下の範囲内で試します。

    ) 長石は10~70%の範囲内。

    ) 石灰石と酸化亜鉛の混合物では40~60%の範囲。

    ) 珪石とはカオリンの混合物は0~60%の範囲。

  ④ 上記の様な調合はすでに数多く試されている為、おおよその傾向が結論付けられています。

     それ故、新たな三要素の原料を使用する場合には、上記の三角座標で調合して下さい。

     すでに判明している事とは、約1230℃で焼成した場合、良好な釉に成るのは、以下の配合

     比です。

   ) 透明光沢釉として良好な調合。合計で100%になる。

        正(カリ)長石  石灰石  酸化亜鉛  珪石  カオリン

     a)     60%   18%   12%    7%   3%

     b)     50     18    12     14    6

     c)     50     12    14      6    9

     d)     40     18    12     21    9

   ) 良好な半マット釉。

     a)     50     30     20     0     0

     b)     40     30     20     7     3

     c)     30     30     20    14     6

   ) 良好な乳濁釉。

     a)     60      6      4    21     9

     b)     50      6      4    28    12

    参考資料:「焼き物実践ガイド」 樋口わかな著 誠文堂新光社発行。

以下次回に続きます。

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