3) 三角座標は釉の三要素をどの様に調合すると、どの様な釉が出来るかが解かる様になって
います。しかし、三要素の材料に変化があると、その結果も自ずから変化します。
③ 基礎釉によって色釉の発色が異なります。
この項目に付いては、 当ブログの「新釉の話22~25 色釉1~4」ですでにお話しています
のでそちらを参照して下さい。
4) テスト焼きの注意点。 調合した釉はテスト焼きをして確かめる事になります。
いかに規則的に調合しても、テスト焼きの方法を失敗すれば、その結果を正しく知る事が
出来ません。
① 焼成温度を設定しその温度で焼成する。
釉を調合するに当たり、予め焼成温度を有る程度予想しているはずです。その温度で焼成
する事も大事ですが、ある程度余裕を持った温度(若干高目)で焼成する事です。
焼成で失敗するとは、釉が十分熔けない事です。透明、乳濁、マットなどになるかどうか、
以前の問題です。高目の温度で十分熔けている事が確認できれば、その状態から、熔け
過ぎかどうか判断できます。又流れ過ぎる場合であれば、最初の予想温度でも良い結果が
得られると思われます。
② 同じ調合の物でもテストピースは複数個作り、窯の各地に置いてその焼き具合を比較
します。大きな窯である程、窯の中の雰囲気や温度分布にバラツキが出易いです。
③ 一度に複数の調合した物は同じ窯で焼く事。窯焚きは一回毎に違いが出る物で、前回の窯と
次回の窯では、釉の熔け具合や、発色の出来上がりに差が出るのが普通です。それ故
同じ条件の窯で焼成しないと、その調合結果の比較が出来ません。
④ 良い調合を見出せたら、その調合の量を増やして再度焼成します。
最初に調合する量は100g未満で十分ですが、ある程度良い結果をえた場合には1Kg
程度の量を作ります。 釉の作り方は次回にお話する予定ですが、少量の場合と量を多く
した場合では、結果が異なる場合が結構多いものです。
5) 三角座標は釉のみでなく、他の項目にも役立つ方法です。
三種類の要素を含む場合、その割合をどの様に配合(調合)したら良いかを決める為の、テスト
(実験)方法に利用できます。
① 例1 異なる粘土を調合して、ご自分の望みの土にブレンドして、仕上げる際にも、三角座標は
利用できます。初心者であれば、市販の土で十分対応可能かも知れませんが、経験を積むに
従い、ご自分に合った土が欲しくなる事も稀ではありません。その際、手持ちの数種の土を
ブレンドする事が多いです。
土には、色、粒子の細かさと荒さ、轆轤挽きのし易い土、細工向きの土、焼成温度範囲、
焼き締まりの大小、亀裂の有無、割れやヒビの発生度合い、釉の載りの良し悪しなどその土
特有の性質があります。又作品の形状によっても土を選ぶ必要もあります。
三角座標を使って配合(調合)すれば、好みの土を見付ける事も可能です。
尚、 作る量は最低1Kg程度は必要です。
② 例2 白化粧土をご自分の土に合う様に調合したい場合にも利用可能です。
化粧土に使う材料として、カオリン(粘土材料)、珪石(ガラス材料)、長石(媒熔剤材料)を
選ぶとすると三角座標に当てはめ、調合後に、素地掛け後や、素焼き後、更には本焼き後の、
素地からの剥がれ、釉との相性、化粧土の「ヒビ割れ」など、多くの項目で比較検討し使用
可能かどうか見極める事が出来です。
尚、化粧土に付いては、後日お話する予定です。
以下次回に続きます。