2) ゼーゲル式の活用。
ゼーゲル式を活用する際、グラフ化すると理解し易いです。その方法がAl2O3-SiO2図と
呼ばれる座標(アルミナーシリカ図)です。この座標は2軸座標とも呼ばれています。
① Al2O3-SiO2図(2軸座標)とは。
) 縦軸にAl2O3のモル数を目盛り、横軸にSiO2のモル数を目盛る座標です。
即ち、Al2O3とSiO2の配合割合(比)と量(モル)を表しています。
) 縦軸には0.1~0.6モルを、横軸には1~6モルの目盛りを等間隔で振ります。
尚、縦軸で0.6モル以上、横軸で6モル以上の範囲では、釉が十分と熔けません。
) ゼーゲル式で表される釉の全ての現象は、この座標の中に入る事に成ります。
② この座標から釉の現象を見て行きます。
) 透明、乳濁、マットなどの釉の状態を見る。
ここでは、Al2O3とSiO2の配合割合(比)を見て判断できます。(Al2O3:SiO2の比)
a) 透明釉の場合。
石灰系の釉(CaOを多く含む釉)では、Al2O3:SiO2=1:6~1:10の時、光沢のある
良く熔けた透明釉に成ります。Al2O3とSiO2の比率がバランス良い状態です。
b) 石灰系の乳濁釉では、Al2O3:SiO2=1:10以上です。
c) 石化系のマット釉では、Al2O3:SiO2=1:6以下です。
尚、石灰系以外の釉については、後日お話します。
d) 極端にAl2O3又はSiO2の一方が多くなると、釉は熔け不足に成ります。
) Al2O3-SiO2図を描く。
a) 2軸座標の原点より、Al2O3:SiO2=1:6になる直線を引き、Al2O3:SiO2=1:10
になる直線を引くと、座標は三分割されます。
b) その中央部が透明釉で、左側(Al2O3側)がマット釉に右側(SiO2側)が乳濁釉の
領域です。但し、SiO2が多過ぎる場合には、乳濁ではなくマット釉に成りますが、SiO2が
熔けずに残った為のマットですので、不安定な状態です、この領域でのマットは使わ
ない方が安全です。
) 釉の熔け具合を見る。これはAl2O3とSiO2の量から解かります。
上記)では、Al2O3:SiO2=1:6~1:10の時、光沢のある透明釉に成る事が解かり
ます。比率ですから1:6=0.1:0.6と同じです。この事は2軸座標の原点側に近づく事に
なります。この座標はRO(アルカリ成分)を1モルとしていますので、0.1:0.6に成る事は、
RO成分が10倍に成った事を意味します。ROは媒熔剤ですので、相対的に量が増える事で
熔け易い釉に成る事を示しています。
◎ 座標の原点に近い程、熔け易い釉と言えます。例では透明釉としましたが、乳濁釉、マット
釉でも、同じ事です。逆に原点より遠くなるに従い、RO成分が相対的に少なくなる為、
釉が熔け難くなり、釉としては不完全な熔け不足となります。
) 流れ易い釉と流れ難い釉。
以下次回に続きます。