わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る5(轆轤で作る2)

2011-06-19 17:45:33 | 失敗と対策
大きな作品(大物)を作る話を、続けます。

4) 轆轤で大きな作品を作る。

  大きな作品を作る際には、硬めの粘土を使います。特に背の高い作品の場合、硬くないと、土が

  上に高く伸びません。但し、土練や、土殺し、土を上に挽き上げる時には、かなりの力を要します。

  轆轤作業が、力仕事と言われ、主に男性の仕事であったのも、その為です。、

 ① 背の高い作品を作る。

 b) 繋ぎ合せて、高い作品を作る。 

   繋ぎ合せて作れば、少ない土の量と少ない力で、背の高い作品が出来ます。

  ・ この方法で、なぜ大きく出来るのかは、以下の理由によります。

    前回述べた様に、土の量と高さの関係は、正比例しません。即ち、少ない土の方が高くなる率は、

    大きくなります。皆様も、作品の上部を切り取って、再度土を挽き上げても、切り取る前の高さに

    成た経験があると思います。頭が軽くなった為、上に伸びたのです。

  ・ この理屈により、土を分けて少ない量で挽き上げ、継ぎ足す事により、より大きな作品を、

    作る事が出来ます。

   繋ぎ合せて作るにも、幾つかの方法があります。

  ) 一つは、下段に成る部分を、形作り乾燥させ、強度を持たせてから、上段に土を載せて、

    轆轤成型する方法です。

  ) 他の方法は、筒状に挽き上げた土の上に、同じ様な筒状の土を載せ、高さを高くしてから、

     轆轤成型する方法です。

  但し、轆轤が1台しか無い場合には、轆轤上で作った作品を一度取り除く(疎開させる)必要があり

  亀板上で製作する必要があります。出来れば、再作業の時、中心が「ぶれない」亀板を使う事です。

  では、詳細について述べます。

  )の方法:

   大きな作品に取り掛かる前に、繋げる作業とは、どんな物なのかをお話します。

    例として、切継ぎの方法を取り上げます。轆轤は1台で済み、亀板も要りません。

   大抵の陶芸教室などでは、1kg単位での作業が多いと思われます。

  イ) 1Kgの土を一気に挽き上げても、前回お話した様に、22~23cm程度しか上がりません。

    この状態で、形作りに入り、胴径を大きくしてい行くと、高さがどんどん下がり、最終的には、

    良くても、15~17cmの作品に成って仕舞います。(径が大きくなれば、高さは低くなります。)

  ロ) そこで1Kgの土で、更に高い作品に仕上げる方法が、切継ぎの方法で、高さが20cm程度、

    形によっては、23~25cmの作品を作る事が出来ます。(即ち軽い作品に成ります。)

  ハ) 土殺しの終わった土の、上部の約1/3程度を土取りし、やや肉厚の高さ5cm程度のドーナツを、

     轆轤挽きし、糸で切り離します。 ドーナツの内径は、4本指が入る大きさにします。 

     切り取った部分の、外径を測っておきます。

  ニ) 轆轤上には約2/3の土が残っていますから、これを筒状に挽き上げます。

     この土の量で、高さが17~18cmに伸びます。ここから作品の下部を作ります。

     当然背は低くなりますが、高さ12~15cm程度の大きさに成ります。

     口縁(真上)は、やや肉厚にし、ハ)で作った切り取り部の外径に、合わせます。

  ホ) ニ)で作った作品を乾燥させます。(ドライヤー等があれば、弱の熱風で、7~10分程度で、

     強度が増し、上に土を載せても、変形しない程度になります。)

     但し口縁部は、乾燥させない様に、濡れた布切れを被せておきます。

  ヘ) ドーナツ状の土を、上に載せます。口縁部の肉厚より、ドーナツ状の下部の肉は、厚くなって

     いるはずですので、繋ぎ目付近の土を、指で上から下へ移動させます。外側、内側両方行います。

  ト) 次に両手に、水で濡らした布切れを持ち、内外両側から、繋ぎ目1cm上から、1cm下まで、

     上から下に、手を数回移動させ、繋ぎ目の凸凹を平らにします。これで、繋ぎ目は消えます。

     上部と下部が同心円に成る様に、轆轤を回転させ、上部を同心円にした後、形作りに入ります。

  チ) 上部は、乾燥していませんから、自由に形を作る事が出来、肉厚に成っていますので、

     土も伸びます。その結果、1Kgの土で、20cm程度の作品を作る事も、可能に成ります。

  リ) この方法のポイントは、下部が十分乾燥し、上に土を載せても、変形しない事、繋ぎ合わせの

     面が水平な事、径が同じ事(若干上部が大きい方が良い)、「のりしろ」部分が十分有る事、

     繋ぎ面を乾燥させない事、繋ぎ部分は、解からない様にする事などです。     
以下次回に続きます。

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