わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

化粧土と色土54 色土の技法5 松井康成の技法1

2013-12-10 22:06:39 | 陶芸入門(初級、中級編)

色土を使った「練上手(ねりあげで)」の技法で人間国宝と言えば、笠間の故松井康成(まつい

 こうせい、1927~2003年)氏がいます。松井氏に関しては当ブログで、現代陶芸34~36

(松井康成1~3)(2012-02-01~03)で取り上げていますので、参考にして下さい。

 尚、以下の記事は、以前の記述と重複している部分もありますので、ご了承下さい。

 松井氏の代表的な作品には以下の様な作品があります。

  練上嘯裂(しょうれつ)文大壺「風船」1981年 茨城県陶芸美術館蔵 

  三層象裂瓷(しょうれつじ)壺「岳」1978年 茨城県陶芸美術館蔵

  練上玻璃光(はりこう)大壺 1999年 東京国立近代美術館蔵 

  萃瓷練上(すいじねりあげ)壺

1) 嘯裂(しょうれつ)文

  ① 円形に積み上げた数種の色土や、平行なタタラ状の色土を貼り合わせ、筒に巻くなどして

   筒状の粘土を作り、底を付けてから轆轤にセットします。

  ② 筒の側面に針や櫛で円周方向に刻みをいれます。

    この刻みの荒さが、作品のひび割れ状態に反映しますので、細かくするか荒くするか、浅く

    するか、深めにするかを考えて作業します。

  ③ 轆轤を回転させ内側から膨らませます。轆轤の回転に合わせ、土は螺旋状に捩れます。

    表面のみを乾燥させ、内側から「柄コテ」を当て、膨らませると表面に螺旋状の亀裂が入ります

    但し、外側は指で触れると、折角出来た亀裂模様が消えますので、触らない様にします。

    片手での馴れない作業なので、綺麗な円形の壷にする事は難しいです。

  ④ 表面に亀裂を入れる方法には、ガスバーナーの炎で短時間(数秒~十数秒)炙って乾燥させ

    てから、膨らませる方法も有ります。この方法が一番無難な方法と思われます。

2) 三層象裂瓷(さんそうしょうれつじ)壺

  象裂瓷とは、タタラ状の異なる色土を二層三層と色土を重ね、円筒に巻き轆轤成形した後に

  外側の層に縦や斜めに、切り込みを入れ、更に轆轤挽きで全体を膨らませ、切り込みの幅を

  広げて複雑な裂け目を入れる技法です。裂け目から下層の色土が現れて見えます。

  この場合も、「柄こて」を使って内側のみ触る事に成ります。

  尚、瓷器(じき)とは磁器の事で、白色の磁土を使う事により、色も鮮明になりますし、焼き締まりの

  強度も堅くなります。三層とも磁土を使う場合と、表面の一層のみを磁土を使う方法があります。

  ・ 嘯裂(しょうれつ)文が粘土を使うのに対し、三層象裂瓷は磁土を使います。

    粘土は可塑性に優れていますので、円周方向に刻みをいれても、さほど問題には成りませんが

    磁土の場合可塑性が劣ります。その為、容易に亀裂が入り易く、切り口もすっきりした状態に

    成ります。又円周方向に刻みを入れると、切れる恐れがありますので、縦や斜めの亀裂を

    入れる事に成ります。又、円筒形の中央をやや肉厚にしてから、轆轤挽き した方が安全です。

以下次回に続きます。

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