流彩様より以下の質問を頂戴しましたので、私なりの回答をいたします。
釉薬調合に関する質問 (流彩) : 2014-08-17
タタラ作りとろくろで主に盆栽鉢を作っています。
灯油窯で 1230度~1240度あたりで焼成しているのですが、訳あって日本陶料一号釉が20kg手元に
あります。
色々な材料を添加して1230度~1240度で焼成できる釉薬を多種類作りたいとおもっています。
アルカリ類を添加すると溶融温度が下がるという事ですが、何を何%添加すると何度下がるのか、
あるいはシリカ類を何%添加すると何度くらい上がるのか、単純に足し算引き算で良いのか、
結晶剤はアルカリ類なのかなど、その辺りの事をお分かりになる範囲で結構ですのでアドバイス
して頂けると幸いです。
チタン結晶釉、白こうち釉、鶏血釉などを作りたいとおもっています。
宜しくお願いします。
明窓窯より
1) 日本陶料のホームページを見ると、1号釉は基礎釉で石灰系の透明釉です。
主に磁器への施釉に使用されます。焼成温度は、1260〜1300℃とされています。
2) 上記釉を1230~1240℃で使いたいとのご希望です。
日本陶料の3号釉は、1230~1280℃となっておりますので、3号釉に改変する事になります。
① 灰の成分を増やす。
元々1号とか3号の意味は、1合、3合からきています。即ち元釉10合(1升)に対し
1合又は3合の灰(柞灰、土灰、松灰、藁灰など)を混ぜる事で、釉の熔ける温度を調整した
物です。但し、現在では、号が合に対応していない場合が多いです。
② 石灰系の場合、灰の代わりに石灰で代用します。
石灰は灰に比べ、不純物が少ない分熔かす力が強く、灰の約7割程度で済むと言われてい
います。但し、灰や石灰(カルジウム)の種類によって当然差が出ます。
③ 熔融剤の酸化亜鉛(亜鉛華)を使う。
灰も石灰もアルカリ成分で、強力な熔融剤ですが、手っ取り早いのは、酸化亜鉛を10~15%
程度入れる事です。但し入れ過ぎると亜鉛結晶釉に成っていまいますので注意。
2) 何を何%添加すると何度下がるのか、あるいはシリカ類を何%添加すると何度くらい上がるのか
との質問ですが、その様なデーターが公表されているのを、私は見た事も有りません。
多分、個人的には部外秘で持っている人もいると思いますが・・・
・ 強いて知りたければ、ゼーゲル推(コーン)の成分表から推察する事になります。
これは、アルカリ1(モル)に対し、アルミナとシリカの比(モル)によって、熔ける温度が
どの様に変化するかを表した一覧表です。
但し、釉として使用するには、100℃程下げた値を参考にする必要があります。
3) 結晶剤はアルカリ類(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム)に含まれませんが
前記の酸化亜鉛はアルカリの働きと同じ働きをします。
4) 1230~1250℃の基礎釉が出来たら、この釉を元に色々の釉を作って下さい。
① 酸化鉄(べんがら、黒浜)、酸化銅などの金属を使い色々な色釉が出来ます。
これらの金属を混ぜても、釉の熔ける温度に影響はありません。
a) 黄瀬戸釉・・弁柄2%又は、中国黄土10%添加。
飴釉・・ 弁柄7%
そば釉・・ 弁柄7%とマグネサイト5%
黒釉・・ 弁柄10%
黒マット釉・・弁柄10%とマグねサイト20%
b) 織部釉・・ 酸化銅を3~7%程度添加。 還元焼成すれば、赤い辰砂釉になります。
c) 瑠璃釉・・ 酸化コバルト1%。
d) 瑠璃なまこ・・酸化コバルト1%、合成藁灰100%と松灰40%添加。
e) 青磁釉・・ 弁柄2%、炭酸バリウム20%(還元焼成)
② 酸化チタンを10%程度添加すると、白濁したパール状のチタンマット釉を作る事ができます。
③ 金鉱石と呼ばれる酸化ルチールは鉄分を含むチタン鉱石です。
10%程度添加する事で、輝きのある艶消し状のルチールマット釉になります。
その他、ネット上で各種の釉の調合例が載っていますので、検索して下さい。
以上です。 更に疑問がありましたらコメント欄に投稿して下さい。
釉薬調合に関する質問 (流彩) : 2014-08-17
タタラ作りとろくろで主に盆栽鉢を作っています。
灯油窯で 1230度~1240度あたりで焼成しているのですが、訳あって日本陶料一号釉が20kg手元に
あります。
色々な材料を添加して1230度~1240度で焼成できる釉薬を多種類作りたいとおもっています。
アルカリ類を添加すると溶融温度が下がるという事ですが、何を何%添加すると何度下がるのか、
あるいはシリカ類を何%添加すると何度くらい上がるのか、単純に足し算引き算で良いのか、
結晶剤はアルカリ類なのかなど、その辺りの事をお分かりになる範囲で結構ですのでアドバイス
して頂けると幸いです。
チタン結晶釉、白こうち釉、鶏血釉などを作りたいとおもっています。
宜しくお願いします。
明窓窯より
1) 日本陶料のホームページを見ると、1号釉は基礎釉で石灰系の透明釉です。
主に磁器への施釉に使用されます。焼成温度は、1260〜1300℃とされています。
2) 上記釉を1230~1240℃で使いたいとのご希望です。
日本陶料の3号釉は、1230~1280℃となっておりますので、3号釉に改変する事になります。
① 灰の成分を増やす。
元々1号とか3号の意味は、1合、3合からきています。即ち元釉10合(1升)に対し
1合又は3合の灰(柞灰、土灰、松灰、藁灰など)を混ぜる事で、釉の熔ける温度を調整した
物です。但し、現在では、号が合に対応していない場合が多いです。
② 石灰系の場合、灰の代わりに石灰で代用します。
石灰は灰に比べ、不純物が少ない分熔かす力が強く、灰の約7割程度で済むと言われてい
います。但し、灰や石灰(カルジウム)の種類によって当然差が出ます。
③ 熔融剤の酸化亜鉛(亜鉛華)を使う。
灰も石灰もアルカリ成分で、強力な熔融剤ですが、手っ取り早いのは、酸化亜鉛を10~15%
程度入れる事です。但し入れ過ぎると亜鉛結晶釉に成っていまいますので注意。
2) 何を何%添加すると何度下がるのか、あるいはシリカ類を何%添加すると何度くらい上がるのか
との質問ですが、その様なデーターが公表されているのを、私は見た事も有りません。
多分、個人的には部外秘で持っている人もいると思いますが・・・
・ 強いて知りたければ、ゼーゲル推(コーン)の成分表から推察する事になります。
これは、アルカリ1(モル)に対し、アルミナとシリカの比(モル)によって、熔ける温度が
どの様に変化するかを表した一覧表です。
但し、釉として使用するには、100℃程下げた値を参考にする必要があります。
3) 結晶剤はアルカリ類(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム)に含まれませんが
前記の酸化亜鉛はアルカリの働きと同じ働きをします。
4) 1230~1250℃の基礎釉が出来たら、この釉を元に色々の釉を作って下さい。
① 酸化鉄(べんがら、黒浜)、酸化銅などの金属を使い色々な色釉が出来ます。
これらの金属を混ぜても、釉の熔ける温度に影響はありません。
a) 黄瀬戸釉・・弁柄2%又は、中国黄土10%添加。
飴釉・・ 弁柄7%
そば釉・・ 弁柄7%とマグネサイト5%
黒釉・・ 弁柄10%
黒マット釉・・弁柄10%とマグねサイト20%
b) 織部釉・・ 酸化銅を3~7%程度添加。 還元焼成すれば、赤い辰砂釉になります。
c) 瑠璃釉・・ 酸化コバルト1%。
d) 瑠璃なまこ・・酸化コバルト1%、合成藁灰100%と松灰40%添加。
e) 青磁釉・・ 弁柄2%、炭酸バリウム20%(還元焼成)
② 酸化チタンを10%程度添加すると、白濁したパール状のチタンマット釉を作る事ができます。
③ 金鉱石と呼ばれる酸化ルチールは鉄分を含むチタン鉱石です。
10%程度添加する事で、輝きのある艶消し状のルチールマット釉になります。
その他、ネット上で各種の釉の調合例が載っていますので、検索して下さい。
以上です。 更に疑問がありましたらコメント欄に投稿して下さい。
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