わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

自己流と陶芸 1

2014-04-22 21:20:09 | 陶芸入門(初級、中級編)
本来本日より、「焼き物の着物」で古唐津に付いて述べる予定でしたが、ここで小休止を挟みます。

昨今STAP細胞に付いて話題になっており、小保方さんの記者会見も関心を集めました。

陶芸とSTAP細胞とは、何ら関係が無いのですが、記者会見の中での彼女の発言は、陶芸の技術

習得方法にも、いささか関係があると思われますのでお話します。

「あちこちの研究室でお世話になり(本人は居候と言っています)、多くの先生にご指導して頂いた

 にも関わらず、基本的な事が身に付かず、自己流で物事を処理してしまい、私の未熟さもあり

 多くの人々に大変ご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした」と言う様な趣旨の発言をされています

1) 自己流は決して悪いわけではありません。

  他の人と同じ事をしていては、進歩発展は望めません。特に科学の世界や芸術の世界では一番

  最初に試み成功した人が、賞賛を浴びる事になります。人とは違った方法や技法は、必ずしも

  他人から教えて貰うのではなく(ヒントは貰えかも知れませんが)、自分で発見しなければ

  成りません。当然それは良い意味の「自己流」と言うことになります。

2) 多くの場合「自己流」は失敗する事が多いのも事実です。

 ① 彼女も述べている様に「基本的な事が身に付かず」に「自己流」に走る事は多くの場合失敗し

  ます。長い期間同じ様な作業(研究や制作など)をしていると、最初の基本からどんどん離れ

  「自己流」に成っていくのは、ある意味必然とも言えますが、「基本が身に付いた」人でないと

  簡単に自己流の道に進むのは危険です。「自己流」とはある意味、楽な方法とも言えます。

 ② 「基本が身に付いている人」とはどうゆう人か。

  「なぜそうするのか?」、「なぜそうしなければならないのか?」が理解出来ている人です。

  この事が十分理解できれば、その応用や自分なりの違う方法を見付ける事が可能ですし、失敗

  しても元に戻す事もできます。

 ③ 陶芸の世界でも、「基本が身に付いていない」にも関わらず、「自己流」に落ち込む人は非常

  に多い様に見受けられます。

  教える立場からすると、「自己流」を矯正させるかどうかは、判断が迷う処です。

  「自己流」でどんどん悪い方向に進みそうな場合は、矯正の必要があるかも知れませんが、

  10年も陶芸をやっている方に、注意するのも問題ですし、本人も意固地になるかも知れません

  本人が気付くのが一番良い方法なのですが・・・

3) 趣味程度でも、陶芸の道に入った方は最初に先生から基本的な事柄を学ぶはずです。

  (世の中には、先生を持たずに成功したと言う人もいますが、何らかの先生はいるはずです。)

 ① 最初に学んだ事も年月が経つにつれて、往々にして忘れて仕舞う事も多い物です。

  例えば、自動車の運転免許を取る為に学科試験があり、受かる為に勉強をし交通規則を憶え

  ますが、合格すれば、綺麗さっぱり忘れて仕舞うのと同じです。なにかの際、教本を再度引っ張

  り出し読み直す事もあるかも知れませんが、そんな事はめったにありません。

 ② 「基本」から「自己流」に成るのは自然の事ですが、その方法の目的がしっかり理解出来て

  いれば、何時でも「自己流」を修正する事も出来ます。修正できる人が、「自己流」に進める

  権利が有るとも言えます。

4) 「自己流」には、ご自分で発見したやり方と、第三者の真似まがいの「自己流」があります。

 ① 前者の場合には、創造性を含む場合がありますので、大いに歓迎しますが、後者の場合には

  大きな疑問が生じます。

 ② その第三者に直接学んだ真似であれば問題は少ないのですが、見様見真似の「自己流」は

  危険が一杯です。即ち「まがいもの」ですので、自分で勝手に解釈しているからです。

  第三者の真似まがいの例として、書籍やテレビ等で映し出された映像の真似があります。

  実演者が手早く綺麗な形の器を作っている場合、手や指や用具類を実演者と同じ様にすれば

  自分でも出来ると勝手に思って仕舞う事があります。実演者はなぜその様な方法を取るのかは

  完全に理解しているはずです。物真似者は表面的な様子を見るだけです。 

 ③ 特に、今までのやり方と異なる技法をやってみたいと思うのは良いのですが、付け焼刃的では

   上手くいきません。

5) 必ずしも多くの技術(技法)は必要有りません。 

以下次回に続きます。
 
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