前回の続きです。
⑤ 鉢などの食器類に埋め込む。
表面に貼り付けるのとは違い、埋め込む為表面に凸凹が出来ません。
それ故、食器の内外に模様を埋め込む事も出来ます。
) 石膏型などを使う場合には、前回と同じ方法でタタラに練込み模様を埋め込みます。
これを石膏型に押し付けて、鉢などの形にしますので、さほどの困難はありません。
) 形作られた作品に練込み模様を埋め込むのは、容易ではありません。
作品はある程度乾燥していますので、容易に押し込む事が出来ません。
どうしても模様を埋め込みたい時には、次にお話する刳り貫き(くりぬき)の方法をとる事に
なります。
9) 刳り貫きにより練込み模様を嵌め込む。
壷や鉢、花瓶、茶碗などの立体的な作品に練込み模様を取り付け、表面に凹凸を付けないと
すれば作品の側面に孔を開け、模様土を嵌め込む方法になります。
この場合、内外の模様が同じになります。
① 金太郎飴風に作った練込み模様を切り出します。若干作品本体より肉厚は厚めにします。
土を締めたり、削り代を残す為です。 切り出した模様の外形を型紙に写し取ります。
複数個の模様を嵌め込むには、各々型紙を取った方が良いでしょう。
型紙の外周を切り取ります。
② 作品本体に孔を開けます。
a) 上記型紙を作品に押し当て、全体のバランス(配置)を見ます。
b) 取り付ける位置が確定したら、型紙を当てて、針で当たりを付けます。
作品が曲線の場合には、型紙に霧を吹いて軟らかくして、曲面に貼り付けます。
c) 全ての型紙で当たりが出来たら、作品の表面を型紙に沿って、針などで刳り貫きます。
作品の乾燥が進んでいると、土は「もろい」ですので、慎重に輪郭に切れ目を入れます。
針は時々水で濡らし、土が切れる様にします。又、乾き過ぎた作品には、霧吹きで水を掛け、
やや軟らかくして作業を行います。
d) 刳り貫く面積は型紙の寸法よりやや小さめにします。
大きく切り取った方が、嵌め込み易いですが、繋ぎ目に亀裂や隙間が出来易いです。
若干小さめの孔に模様土を嵌め込む方がより強固に嵌り(はまり)ます。
模様の土をやや軟らかにし、外周を縮めながら嵌め込み、嵌ったら模様の内外から圧縮し
面積を増やして、孔に密着する事も出来ます。
e) 孔の切り口の断面は、平行、「ハの字」、「逆ハの字」の三通りあります。
・ 平行が一般的です。「ハの字」は外側が広く内側が狭い孔で、「逆ハの字」はその逆です。
・ 「ハの字」の場合は、作品の外側から模様土を嵌め込みます。この方法は作業が容易ですが
内側から外側に働く力に弱くなります。即ち花瓶の様に水を入れ物では、常に外側に水圧が
掛ますので、水漏れの恐れが生じ易いです。
・ 「逆ハの字」は内側から外側への力に対し強いですが、外側から内側への力には若干
弱いです。但し作業は難しくなり、口径が大きくなければ内側から嵌め込む事は出来ません
・ 嵌め込む際には、模様が崩れ無い様に、丸や平たい「当て木」を両側から当てます。
f) 模様の外周と作品の土は同じ物を使っていますので、竹へらや指で繋ぎ目をよく撫ぜれば
繋ぎ目は目立ちません。
嵌め込む際、模様の外周と孔の内側に「どべ」を塗っておくと、よりしっかり接着できます。
g) 仕上げ。嵌め込んだ模様が、不自然に感じ無い様にします。
即ち、丸い曲線の作品に嵌め込んだ模様も、同じ様に丸みを持たなければ違和感がでます。
以下次回に続きます。
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