まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

人生も書き直せたら

2016-12-13 | 北米映画 08~14
 ファンタビ日本公開記念!師走の英国男優祭⑤
 「RE:LIFE リライフ」
 若くしてオスカーを受賞しながら、その後ヒット作に恵まれず妻子にも逃げられ、中年になった今では自宅の電気も止められるほど落ちぶれた脚本家キースは、エージェントの勧めで心ならずも田舎の大学のシナリオ講師となる。適当すぎる仕事ぶりは周囲のヒンシュクを買うが、生徒たちとの交流はやがてキースに創作への意欲を取り戻させて…
 80年代に一世を風靡した英国美青年俳優軍団。その中でも屈指の人気を誇ったのが、「モーリス」のヒュー・グラントでした。90年代に入ると、ハリウッドでまさかのラブコメ帝王となり、再び大ブレイク。その後も毀誉褒貶、恥ずかしすぎるスキャンダルなど、なかなか波乱万丈というか紆余曲折というか、豊かな?人生とキャリアを送りながら熟年となったグラント氏の主演作を観たのは、思えばかなり久々かも。相変わらずなグラント氏で、すごい笑えました!いや~おもろいおっさんですよね彼。そして、すっかり爺さんになった。さすがにもう、ご本人が認めてる通り、ラブコメは無理ですね。でも、ラブコメとは違う系統のコメディで、今後は活路を見出しそう。落ち目の中年脚本家役という、ちょっと自身とカブる?自虐的な笑いに鉱脈を掘り当てたかも。滑稽ですが、やはりアメリカ俳優とは一味も二味も違う個性と魅力です。どこへ行っても、どんな役でも、やっぱ彼は生粋のイギリス人なんですよね~。それを面白く活かしてる笑いこそ、彼の真骨頂でしょうか。

 ↑だいたいいつもこんな顔して、皮肉かまし&超KYな言動するのが笑えます
 イギリス人とはいえ、スノッブな感じで気取ってるのではなく、すごいオドオドと他人の顔色うかがいつつ、地雷踏みまくり、スベリまくりな皮肉とKY言動ばかりするグラントおじさんが笑えました。気の利いたジョークのつもりなのか、はたまたホントにバカにしてるのか、どっちともとれる感じが珍妙で独特。でも、ああいった冗談や皮肉って、かなりの教養と頭の回転の速さが必要ですよね~。明石家さんまとかも頭いい人だなとは思うけど、俺を笑えない奴はおかしいと言わんばかりの自信とか、自己主張と自意識が過剰ですごい苦手。グラント氏のサラっとシレっと、知的で洗練されたライトな笑いのほが、ツボだし心地よいです。
 高田じゅんじも真っ青な、キースの超テキトーな仕事ぶりも笑えました。マット・デーモンの新作の脚本を執筆中、とか詐欺に近い大ボラとかも、映画ファンならクスっとなります。マットと聞いて、ミーハーに色めき立つゼミの生徒たち。アメリカで今いちばん人気があるスターは、やっぱマットなんですね~。他にも有名スターの実名が出てきて、業界ネタで笑いを誘います。
 キースのシナリオ教室が、すごく楽しそうでした。私も入りたいと思った。美女8割、オタク男2割なゼミの生徒たちも、みんな個性的でいい味だしてました。ディズニーやラブコメなどハリウッド王道派と、ベルイマンや黒澤明などアート志向派の対立も面白かった。どっちも素晴らしい!派もいたけど、まさに私はそこに属してます。

 名バイプレイヤーたちも、脇役を好演してました。軍人上がりの学長役は、「セッション」でオスカーを受賞したJ・K・シモンズ。セッションと同じ鬼ヅラですが、キャラは人情家のおじさん。そのギャップが珍妙かつ可愛かったです。シングルマザーのゼミ生役は、これもオスカー女優のマリサ・トメイ。彼女も、いかにも明るく気のいいアメリカ女性って役で好感。
 それにしても。アメリカにおけるアカデミー賞の威力ってスゴいんだな~と、田舎だと神扱いされてるキースを見ていて思いました。オスカー像とか、まるで水戸黄門の印籠です。アメリカ人にとって、映画は世界に誇れる最大の文化、最高の憧れの夢なんですね。アメリカ人にとっては、たぶんノーベル賞やオリンピックの金メダルよりも、オスカーのほうが上なんだろうな。オスカーといえば。前哨戦のゴールデン・グローブ賞に、「マダム・フローレンス!」でグラント氏がノミネートされましたね
コメント (6)
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