まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ニュースの男

2016-01-25 | 欧米のドラマ
 イギリスのTVドラマ「THE HOUR 裏切りのニュース」を観ました。全6話。
 1956年のロンドン。BBCが新たに制作するニュース番組「THE HOUR」のプロデューサーに抜擢されたベルは、親友の政治記者フレディやキャスターのヘクターらとチームを組む。目下、イギリスはエジプトとスエズ運河をめぐって不穏な関係に陥っていた。そんな中、大学の教授が殺される事件が起き、続いて貴族議員の娘でフレディの幼馴染であるルースが謎の死を遂げる。真相を究明するため捜査を開始したフレディは、やがて恐ろしい陰謀の渦に巻き込まれて…
 最近ますます人気の英国イケメン男優軍団ですが。中でも出演作目白押しの売れっ子なのが、007のQ役でおなじみのベン・ウィショー。この陽春だけでも、「白鯨との闘い」「ロブスター」「リリーのすべて」が日本で公開される、ちょっとしたベン祭なのです。そんなベンに熱い注目と期待を寄せるファンは、他の英国男優のファンとはちょっと毛色が違います。彼のファンは、たいてい腐ってるのですゲイ役が多く、私生活でも同性婚をしているベンを、腐った女子が支持するのは当然の成り行きと言えましょう。そこがベンを、独特で異色のイギリス男優にしています。
 今や腐女子の星ベンが、社会の暗部に鋭く切り込む政治記者役、しかも!ゲイ役じゃない!

 ベンがフツーのストレート役だなんて。何だか意外…いや、違和感さえ感じてしまいました。これまでは、ゲイの役しかオファーが来ないのか?はたまた彼ご自身がゲイ役を好んで選んでるのか?と憶測してしまうほど、ほぼゲイ役専門俳優みたいだったベンなので、彼が女とロマンスとか情事とかしてる姿には、居心地の悪さを覚えてしまいました。え~こんなのベンじゃない~…みたいな。

 もちろん、決してストレート役を演じてるベンを否定しているわけでもなく、ゲイ役じゃないとダメ!なんて勝手なことを望んでるわけでもありません。むしろ、ゲイじゃないベンはすごく新鮮でした。ゲイ役じゃないけど、決して男らしくはないんですよ。女より華奢だし。なにげない表情とか歩き方に、そこはかとなくあだっぽいシナがあったり。そこにちょっと安堵でも、カマっぽくもないんです。男でも女でもないというか。そこがベン独自の魅力、個性でしょうか。
 政治記者フレディは、007のQにちょっと近いキャラ?こだわりが強い仕事オタク、皮肉屋で自信家、みんなと仲良くよりも個人プレーが好きなところとか、Qに似てます。ボンドにツンデレなQちゃんのように、フレディも好きな女やライバル男に意地悪だったり傲慢だったりしつつ、気になって仕方がないのでついちょっかい出したり助けたりする、素直じゃない男子で可愛かったです。才気煥発で勝気、信念と正義のためには巨大な力の圧力や脅しにも屈しない反骨精神がカッコいい、でも感受性が強すぎてガラス細工の脆さと繊細さが危なっかしいフレディと、堂々と同性婚を公表はしても決して私生活の切り売りはしないデリケート&ミステリアスなベンが、どことなくカブります。

 フレディとベルの、恋人未満友だち以上な関係の心地よさ、じれったさは、大人の理性と臆病さ、ズルさがないまぜになってて共感。フレディとベルは、どちらかといえば仲良し姉弟みたいでしたが。わがままでマイペースで偏屈なフレディに振り回されながらも、キーキー怒ったりせず好きなようにやらせてあげるベルの大人の女の包容力、寛容さがカッコよかったです。イチャイチャしても同じベッドで寝ても、決して色っぽいムードや展開にならない二人が微笑ましい。生々しくない男女の愛って、何か素敵。複雑な感情や思惑、事情が交錯するけど、決してキーキーキャーキャーと小娘やガキみたいに騒いだりせず、他人にも自分にも抑えを求める。これが大人の恋愛ですよね。いい年したおばさんがウジウジメソメキャーキャー言ってるオトナ女子とか、気持ち悪いだけです。

 ベルと妻帯者のヘクターの不倫ロマンスは、よくあるシチュエーションでしたが。ヘクターって、決してゲスの極みではないけど…男ってほんと勝手だな~ズルいな~。つくづく女って損!と噴飯。現在でも決して働く女性の立場や地位は向上、改善しているとは言えませんが、当時のキャリアウーマンはほんと大変だったんだろうな~と、ベルの奮闘苦闘を見ていて思いました。でも、恋も仕事もバリバリなベルは、幸せな女性だな~と羨ましくもなりました。ベル役は、「エンジェル」や「つぐない」のロモーラ・ガライ。久々に見ましたが、ケイト・ウィンスレットをソフトに優しそうにした感じの美人になってました。ムチムチした体つきは、すでに熟女のエロさが。ヘクター役のドミニク・ウェストも、シブいダンディでカッコよかったです。番組制作チームの姐御的存在の熟女特派員役の女優さんは、どっかで見たことあるな~と思ったら、ドミ公の「フレミング」でも気風のいい熟女MI6職員を演じてた人でした。ベン、彼女と酔った勢いでヤっちゃうシーンがあるのですが、女らしい美女よりも男みたいな風貌の熟女が相手で、やっぱベン的にはやりやすかったことでしょうか

 当時のスエズ運河をめぐる英国の外交問題や、緊迫の国際情勢に関わる連続殺人事件の謎。真相を追うフレディたちに迫る危険。サスペンス・ミステリーとしても面白かったです。スパイがらみなところが、いかにもイギリス。当時のTVニュースの制作過程、制作風景も興味深かったです。イギリスといえばの貴族の館、優雅な上流社会の晩餐会とか正装も目に楽しかったです。

 THE HOURチーム再結成のシーズン2も楽しみ。それ以上に、ベンの最新主演ドラマ「LONDON SPY」が待ちきれない~!こっちはガチゲイ役だもんね。やっぱベンはそうでなくっちゃね
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