「 烈しい風と嵐を避け/急いで身を隠すことができるのに。」
詩編 55篇 9節
「うめきと涙」しか出てこない、そんな日がいつ私たちに襲わないとも限りません。
外からの敵ではなく身内による裏切りは、ことのほか身にこたえるものです。
そうした経験は心の傷(トラウマ)となります。現代ならば、引きこもりの症状をあらわすことでしょう。
ダビデもそんな症状をあらわしたようです。「ああ、私に鳩のように翼があったなら、そうしたら、
飛び去って、休むものを。ああ、私は遠くの方へのがれ去り、荒野の中に宿りたい。あらしとはやてを避けて、
私ののがれ場に急ぎたい。」 55:6~8。
これはだれもが経験する思いではないかと思います。
「それは現実逃避だ ! もっと前向きに立ち向かえ!」と言われようともそうできないのです。
ここには、人生の重荷が耐えられなくなった時の逃避心が、絵のように歌い上げられています。
「とかく人の世は住みにくい、住みにくさが高じると住みやすいところへ引越ししたくなる」というのは、
夏目漱石の「草枕」の冒頭の有名な句ですが、どこに引越ししたとしても、自分が変わらない限り、
変わらないのが人生ではないでしょうか。しかし、自分が変わるなら、周りまで変わるのも人生ではないでしょうか。
今すぐに遠くに逃げ出したいと思うときは、今すぐ、神の愛と真実、神の遠大なご計画の中に深くとどまって、
そこに自分と神とを見出すべき時ではないでしょうか。