「悪を行う者に対して腹を立てるな。不正を行う者に対してねたみを起こすな。」
詩編 37篇 1節
ああ、なんとこの戒めが必要なことでしょうか!私たちの周りにある不正を見るときに、
私たちはいたたまれなくなり、頭に来ます。キリスト教会とは関係のない、
この世の人たちの悪については、神を知らないのだから仕方がないと思いますが、
キリストの御名を口にしているところで、この世と変わらないことが起こっているのを見ると、
本当にどうしようか、公然と抗議してやろうか、という思いに駆られます。
けれども、そうしてはいけないというのがここの戒めです。
ここで腹を立てるなと言っていますが、その理由は二つあります。一つは、彼らは草のようにたちまちしおれ、
枯れるからです。神にお任せしておけば、必ずしおれていくのだから、ということです。
もう一つは、「怒ることをやめ、憤りを捨てよ、腹を立てるな、これはただ悪の道だから」というのです。
腹を立てることは、悪をもって悪に答えようとすることであり、そこから惨めな自分自身の悪がゾロゾロと
出てくるというわけです。腹を立てる代わりに、私たちはどうしたらよいのでしょう。
本当の自由人はまず神を第一として、愛する、仕える、清く生きるという原則に徹する人です。
そして腹を立てるという消極的な生き方をかなぐり捨てて、その原則に基づき、祈ったり、
親切を尽くしたりする、積極的に実行に生きる人だと思うのです。
悪に対して腹を立て、妬みを抱いてはいけないのですが、それに対抗するのは、主を信頼することです。
具体的には善を行ないます。そして、主ご自身を自分の喜びとします。自分の事柄を主にゆだねます。
そして、主の前に静まり、耐え忍 んで主を待ちます。この「待つ」は痛みを伴いながら待ちます。