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高市総務相の電波停止発言ー

2016-02-25 16:32:18 | マスコミ・報道

放送局が政治的公平性を欠いた番組を繰り返し放送した場合、電波停止を命じる可能性を明言した高市早苗総務相への批判がやみません。世論調査では、同氏の発言について報道の自由を「脅かす」「どちらかといえば脅かす」が計67・4%に上っています(共同通信、20、21日実施)。批判に耳を傾けず高市氏は同様の発言を繰り返しています(22日)。

 公共性の高い電波放送に政治的公平性が求められるのは当然ですが、放送内容に対する権力者の介入が許されるかは、全く別の問題です。担当する総務相がこうした発言を繰り返し、放送事業者やメディアに強い萎縮効果を与えること自体が、憲法で保障された表現の自由を圧迫する言動です。

 重大なことは、こうした高市氏の態度は、自民党の強権的体質そのものの表れだということです。

 自民党改憲草案(2012年)は、表現・結社の自由の保障をめぐり、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行ない、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」と明記(草案21条2項)しました。「公の秩序を害することを目的」だと権力者が認める表現活動や結社は「認めない」という、驚くべき強権条項です。

 何が「公の秩序」かを判断するのは時の政府・権力者です。政権や体制を批判すること自体が「公の秩序を害する目的」とされかねません。目的=内心の制約そのものにつながる恐れもあります。

 個人の自由を保障するはずの憲法が、言論弾圧の“治安維持法”に転化するような内容です。

 昨年夏の戦争法案の審議中に、安倍晋三首相に近い若手議員の会合で、戦争法案に批判的なマスコミを「懲らしめろ」とか、「沖縄の二つの新聞をつぶせ」という発言が飛び出し、世論の厳しい批判を受けました。

 放送番組の内容しだいで電波停止命令に及ぶことを示した“高市発言”は、「秩序」に歯向かう言論は認めないという、自民党の体質と思想のあらわれです。 (中祖寅一)