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体罰・暴力を問う

2013-03-03 23:16:00 | 教育・子ども

脳を委縮させる体罰ー脳科学から見る

体罰を長期に受けた子どもの脳には、どんな影響が及ぶかI。これに世界で初めて答えを出した研究者がいます。福井大の友田明美教授です。脳科学から見た体罰の問題点とは何か。

Q、体罰を受けると脳にはどんな影響が。

子どもの時、長期に体罰を受けた人の脳は、萎縮します。感情や意欲にかかわる前頭葉の一部が最大で約19%、集中力や注意力にかかわる前帯状回が16・9%、認知機能にかかわる前頭前野背外側部が14・5%ほど、体罰を受けない人より小さくなっていました。

米国のハーバード大医学部と共同研究し、4年前に発表したものです。私は、直接、スポーツ指導者の体罰を研究したわけではありませんが、共通する部分は多いと思います。

Q、自発性をも奪うー脳が萎縮した場合には、どんな問題が。

 前頭葉は、思考や自発性(やる気)、感情、理性などの中心で、人間が人間になるための大事な部分です。これが体罰によって、育っていかなくなります。中でも影響を受けるのが前頭前野で、学習や記憶をっかさどる部分。さらに本能的な欲求や衝動を抑える機能が影響を受け、犯罪を繰り返すようなことになりかねません。

例えばスポーツの指導者は、「士気を高める」という理由で、子どもを体罰で追い込みます。それは脳科学的にいえば、逆に自発性、やる気
をそぐ行為であることも知るべきです。

Q、体罰で脳が萎縮するのはどうしてですか。

 虐待や体罰で脳が、ストレスホルモンを大量に分泌し、脳の発達を一時的に止めてしまうからです。以前に受けた体罰を思い出し、うつ状態となり、脳の萎縮が始まることすらあるのです。

Q、体罰にプラス効果があるとする意見もありますが。 

しつけ、教育効果がある「体罰」があるとします。一方には、感情のはけ口など問題ある体罰、虐待がある。では、その境界線は何か。だれが決めるのか。安倍首相ですか、文科省ですか。だれも決められない。

明確な線はだれも引けません。虐待をする親も「しつけのため」といって、体罰をします。いい「体罰」があるという考え方は、改めるべきだと思います。

Q、ストレス3原則 -大阪・桜宮高のケースをどうみますか。

自殺した主将は、もう無理というサインを送っていたハズです。それを先生は見抜けなかった。彼は急性のうつ状態にあったと私はみています。カウンセリングができていればと悔やまれます。

子どもはうっになりやすいのです。二つのうつ度の敏感期があります。一つは5~7歳の時期、もう一つは15~17歳。この時期の脳はストレスに弱く、安易に心が折れ、自殺も多い。スポーツ指導者はそうした特性も踏まえて指導すべきです。

 とくに今の子はストレスに弱い。昔は、きょうだいが多く、たくましかったが、いまは少子化で親の過干渉によって育っているからだと思います。

Q、対策はありますか。

ストレス3原則というのがあります。おとなも含め、どんな社会や集団にも通用する原則です。
一つは、要求度の高低です。仕事や成績にたいする高い要求はストレスを高めます。

二つ目は、融通性や自由度の有無です。仕事で、その人が任されている部分、裁量権がどれだけあるかが、ストレスの有無に影響します。

三つ目は、上に立つ人の理解やサポートです。会社の上司が、下の人を理解し、守れるかどうか。お前が失敗しても、俺が責任を取るといえるかどうかです。人は上司に認められないだけで、ボロボロになるほど、その影響は大きいのです。

これらは、スポーツを指導する人も踏まえるべきだと思います。 (しんぶん赤旗2/15付「スポーツ欄「体罰・暴力を問う⑥」から転載)