会話のなかで相手の口癖が気になるときがあります。「とりあえず…」「要するに…」。枕ことばのように連発されるとうるさい。
▼ところが、自分の口癖は気にならない。それどころか、自覚さえないのがほとんどでしょう。だからこそ、心のなかにあるものがそのまま口に出る。それを探っていけば、その人の本心にたどり着くという心理学者もいます。
▼口癖は気になる程度ですが、相手を傷つける暴言となるとそうはいきません。麻生太郎副総理兼財務相がまたです。高齢者の終末期医療にふれ、「さっさと死ねるようにしてもらうとか、いろんなことを考えないといけない」。その医療費について「政府のお金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い」。
▼余命をどうすごすか。それは人間の尊厳にかかわります。天寿をまっとうしたい、望みあるかぎり治療をつづけたい。本人や家族の必死の願いに冷たく背をむけ、延命など税金の無駄遣いといわんばかりです。
▼あとで「適当でない面もあった」と撤回しましたが、彼の暴言癖は以前から。年金問題でも「80歳の人から真剣に聞かれると、あなたそんなに長くお生きになるつもりですか、といいたくなる…」。
▼麻生氏の本音は蔑視や差別につながっています。「女性に参政権を与えたのが最大の失敗」「アルツハイマーの人でもわかる」「下々のみなさん」―。そこからみえるのは人権感覚の著しい欠如です。その人物を盟友と呼ぶ安倍首相も同じ感覚の持ち主なのでしょうか。