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生活保護Q&A

2012-09-01 23:59:23 | 貧困と社会

区議会生活保護・高齢者生きがい対策調査特別委員会が開かれ、足立区の生活保護についての現状や、不正受給、生活保護の国際比較など議論がされました。生活保護のQ&Aを中心に報告します。

Q、生活保護利用者が過去最高になったと聞きますが?
A、人数は最高になりましたが、利用率は減っています。
※現行生活保護法のもとで、生活保護利用者数がこれまで最高だった昭和26年の204万6千人を超えたことから、この様な指摘がされています。しかし、人口も増えているので、利用率で比較すると減少しており、昭和26年度の3分の2です。

Q、それでも利用率は高くないですか?
A、日本の生活保護利用率は、先進諸外国とくらべると低い数字にとどまっています。むしろ、数百万人が保護から漏れています。
※日本では人口の1・6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。
しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。残りの8割、数百万人もの人が生活保護から漏れているのです。全国で起きている「餓死」「孤立死」事件発生の背景には、生活保護の利用率・捕捉率の低さが影響していると考えられます。

Q、不正受給が年々増えていると聞きますが?
A、不正受給の割合は保護費全体の0・4%程度で大きな変化はありません。
※不正受給の件数や金額が年々増え、不正受給が横行しているかのような
報道がされています。しかし、不正受給の割合でみると、件数ベースで2%程度、金額ベースで0・4%程度で推移しており、大きな変化はありません。もちろん、悪質な不正受給に対しては厳しく対応すべきです。


Q、働けるのに働かないで生活保護を受けている人が増えていると聞きますが?
A、働いても生活費が足りない人、そもそも働けない人の利用が増えています。雇用破壊が根源です。
※最近そのような指摘がよくなされます。いわゆる「その他の世帯」の利用者が増えていることを指してのことですが、「その他の世帯」=「働けるのに働かない人」ではありません。実際、「その他の世帯」の約3分の1の世帯は働いています。「働いているが最低生活費以下の給料しか出ない」ために保護を利用しているのです。
 雇用情勢が悪化する中で、中高年齢者、中軽度の障害や傷病を持つ人、低学歴・無資格の人、人間関係が苦手な人などの「就職弱者」から順に仕事を失い、生活保護を利用せざるを得なくなっているのが実情なのです。

Q、生活保護基準が最低賃金や年金より高いのはおかしくないですか?
A、最低賃金や年金が低すぎることが問題です。
※「生活保護基準が最低賃金や年金より高いのはおかしい。基準を引き下げるべき」という議論がなされることがあります。
 しかし、生活保護基準は、生存権の内容である「健康で文化的な最低限度の生活」を維持するために必要な額はいくらかという観点から、1円単位の積み上げで綿密に計算されています。
 最低賃金や年金が生活保護基準を下回り、生存権が守られていないことの方が問題です。生活保護費が「高すぎる」のではなく、最低賃金や年金が「低すぎる」のです。

 
Q、財政破綻を防ぐには生活保護を減らせばいいのではないですか?
A、誤解です
※日本では生活保護予算が国や地方の財政を圧迫していて、これを引き下げないと財政が破綻するかのようにいわれることがあります。
しかし、日本の生活保護費(社会扶助費)のGDPにおける割合は0・5%、OECD加盟国平均の1/7にすぎません。諸外国に比べて、極端に低いのです。
 生活保護費が財政を圧迫しているとはいえませんし、生活保護費を引き下げても、財政への影響は小さいのです。