学校設置条例の改正前に本件工事に着手、
プール解体工事の中止を求める裁判に
8月22日、文教委員会で足立区が進めている学校統廃合(適正規模・適正配置計画)が、地域住民の声を聞かず、強行しようとしているため、プールの解体工事の中止を求める訴訟が起こされたことが報告されました。前代未聞の裁判となった学校統廃合について報告します。
千五小学校と五反野小学校を統廃合するという内容の学校設置条例の改正案は足立区議会で議決されていないにも関わらず、統廃合計画の一環であるプールの解体工事を強行しようとしたため、PTA、開かれた学校づくり協議会、地域住民からプール解体工事の差止を求める仮処分申し立てが起こされました。
前代未聞の出来事に、区議会には多数の傍聴者が詰めかけ、審議を見守りました。
審議の中で足立区の学校統廃合計画の問題点が明らかになってきました。
児童数が増え、適正規模になっても統廃合していいの?
千五小学校の児童数は平成19年度の221名から平成23年度の311名へと増加、学級数も同様に平成19年度の8学級から平成23年度の11学級へと増加しており、来年度は区が適正規模としている12学級になることも予測されているのです。このように明らかに増加傾向にあります。
また、足立区自身が作成した資料で、平成20年度、区内の小学校72校のうち,学区内に住んでいる入学前人数が増加傾向にある小学校は18校、そのうちの1校に入っているのが、千五小学校です。
開かれた学校づくり協議会も統合協議会もつくらず、強行
文部省通知において、「学校規模を重視する余り無理な統廃合を行い、地域住民との間に紛争を生じたり…(中略)…することは避けなければならない」、「学校統合を計画する場合には、十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう努めること」と指摘されています。
ところが、区教委は「開かれた学校づくり協議会」が統廃合計画に反対すると、平成24年度の学校づくり協議会委員の推薦および委嘱を拒否しました。
これに対し、両校保護者への合同説明会の開催を住民側が求めるとこれも拒否。さらに、協議の場を提案すると協議の代表者を区教委が逆指名してくるなど、区教委の勝手なやり方にさらに、住民から批判が続出しました。
災害時の避難所がなくなるー750名の児童を詰め込む
5月7日、千五小と五反野小児童の合同避難訓練(上記写真)が行われました。
生徒750名を狭い空間に押し込めて、それを「安全である」と区教委は断言していますが、文科省が定めた学校設置基準の1/6しか校庭がなく、いざという時に危険な状態が明らかになる中、2年間の我慢を押し付けようとしています。
また、災害時の拠点となる避難所が統廃合によって地域からなくなってしまいます。
東日本大震災以後、いつ来るかわからない震災に対する備えも後退させることが許されるのでしょうか。
江東区、新宿区など統廃合計画の凍結や中止に
東京都では、今後5年間で港区36%、中央区19%、江東区17%、の小学校児童数の増加が見込まれています。
足立区でも先の国勢調査で人口が64万人から68万人に増えています。2035年まで20年以上、人口は維持すると推計されています。
平成12年以降、人口急増を経験した江東区では、統廃合はかえって非効率として、小規模校に予算を上乗せし、規模の小ささを活かした取組みを促進しています。
新宿区も地域住民の理解が得られないとして統廃合計画を凍結し、結局、中止しています。こうした23区の事例を見ても足立区のやり方は異常であり、見直すべき時ではないでしょうか。
区民の皆さんのご意見・ご要望をお寄せ下さい。